成功の近道は「良い写真をただひたむきに撮ること」。仙台から写真業界の未来を切り拓く

仙台
株式会社アドステージ 代表取締役
Teikou Takahashi
高橋 禎晃

プロのカメラマンだからこそ撮れる“本物の写真”を届けたい。そのいたってシンプルな思いで、学校を中心としたさまざまな現場で写真撮影サービスを提供しているのは、仙台の株式会社アドステージです。
「写真をやりたいなんて一切思ってなかった」という同社の代表・高橋 禎晃(たかはし ていこう)さん。写真とは無縁だった彼がいかにしてこの業界に飛び込み、そしていま、どのようにして新たな風を吹き込もうとしているのか。お話を伺いました。

愚直に当たり前を積み重ねる。現場で学んだ“撮影”の流儀

会社を立ち上げたきっかけをお聞かせください。

アドステージは1999年に、大手印刷会社で営業と写真業務の部長だった2人が独立して始めた会社です。当時はいわゆる広告系の写真撮影などの業務を専門にしておりました。その後のリーマンショックを経て、どうしても広告の売上だけでは経営が困難になり、幼稚園2園と契約を結ぶなどして会社を運営していたそうです。
しかし、創業者の2人が年齢的にも業務遂行が厳しくなってきた5年前、当時から個人事業主として学校をメインに、ブライダルや商品撮影も行っていた私に、事業を引き継いでほしいと声がかかりました。業務や営業活動には慣れていたということもあって、2020年から代表として事業ごと会社を引き継ぐことになりました。

御社の現在の仕事はなんですか?

私が来る前は広告や出版が多かったのですが、現在ではほぼ8割が学校行事や卒業アルバムなどの学校関係の撮影にシフトしています。
そのほか、ブライダル・モデル写真撮影、建築写真撮影、ドローン撮影、料理・商品写真撮影なども行っています。

仙台で始めた理由はなんですか?

自分はもともと宮城県出身で、それまで宮城県の北部で岩手県の県境にある栗原市の写真館に勤めていました。やっぱり写真の仕事をやるなら、宮城では中心都市の仙台でと考えました。

大切なことは安心できるプロの仕事を提供すること

アドステージの強みとはなんでしょうか?

しっかりとした機材を使うということと、クオリティーを担保したプロのカメラマンが撮影をするということですね。保護者のなかには高性能で高額なカメラをお持ちの方もいますし、プロのカメラマンにしか撮れない写真でないと保護者のみなさんも評価してくれませんから。そのためにカメラマンには最高レベルの撮影機材を持たせています。
そうなると設備投資もかかるわけですが、弊社が写真業界で生き残っていけているのは、そういったプロの機材を当たり前に使って、お客さまが納得して安心できる撮影を提供するように心掛けているからだと思っています。
でもそれは上がった写真さえ良ければいいということではありません。例えば集合写真などを撮る時もそうですが、手間を取らせず、スムーズに撮影するなどの技術面も含まれます。そのためには現場に入る前の打ち合わせが大切で、どのような撮影を行うのかという段取りをお客さまにも知ってもらうことで、当日にイレギュラーなことが起こっても双方が確認しあっているため、納得していただけるんです。
そして、なによりお客さまとの良い関係性は、カメラマンにとって素晴らしい写真を生み出す原動力になります。

ネットサービスやドローン撮影にも対応

そのほかに御社ならではの、システムや撮影サービスにはどんなものがありますか?

撮った写真は、いまはネットで閲覧してセレクト・注文できる仕組みを導入しています。注文後は工場から直接ご自宅に届きますので、保護者の方からはいつでも「自宅で写真を見ることができて便利」と喜ばれています。
そのほかの強みとしてはドローン撮影もやっていますが、特にドローンパイロットが外注でなく自社にいるということです。実は今夜もこれから建設会社からの依頼で、東北大学のキャンパスの夜景の撮影をすることになっています。
また自社のスタジオもあって選挙ポスターも撮影していますし、総合的に撮影できるということは強みだと思っています。

仕事をするにあたっての苦労をお聞かせください。

パソコン画面で撮ってきた写真を見ながら1コマ1コマをピントが合っているか、構図はどうかなど、そういった後処理の作業に膨大な時間がかかってしまうことでしょうか。撮ってきた写真はそのまま商品にはならないので、カメラマンは撮影する時間よりもこちらの方に苦労しているのかなって思いますね。
そういった作業の苦労とは別に私には会社を経営する苦労があるんですが、それは単純にお金ですね。売上は以前の個人事業主の時と比べて、約3倍になり、支出もそれにともなって増えているため、経営は大変です。
ですからいまは、そんな写真のことや会社のことを一時的に忘れる時間を作るため、10年前からバンド活動を行っています。「アメリカンショートヘア」というバンドでドラムを担当しているのですが、私にとってアドステージを経営するうえで欠かせない大切な活動のひとつとなっています。

「良い写真をただひたむきに撮ること以外に近道はない」

お仕事をして良かったと思う時はどんな時ですか?

これはもう、お客さんが喜んでいただいた時ですね。自分はよく保護者会や打ち合わせなどで先生、保護者にお会いする機会があるのですが、写真を見た保護者の方から、「あの写真、良かったです」「良い写真ですね」とか言ってもらえるともう泣きたくなりますね(笑)。やってて良かったなって思える瞬間です。そんな時はいつも、良い写真をただひたむきに撮ること以外に近道はないんだって思います。

生きるうえで大切なことは写真が教えてくれた

高橋さんにとって、「写真」とはなんですか?

ズバリ「生きる術」ですね。もともと私が写真業界に入ったきっかけは、高校を卒業してたまたま求人票で見つけたところが写真館だったからでした。高校時代は写真をやりたいなんて一切思ってなかったのに、軽い気持ちで面接を受けたら受かっちゃったんですね。まさかその時は、いまみたいに写真の会社を経営するとは思ってもみなかったですから、人生って分からないものですね。
年々地元の子どもの数も減っていくなかで、“このさき食べて行けるのだろうか”という漠然とした不安もありましたし、なんなら写真をやめて別の業界の仕事をしたほうがいいんじゃないかなと思ったこともありました。でも結局自分には写真しかないということに気づきました。
若い人によく言うのですが、人生に目標なんてなくてもいい。何でも頑張ってやっていくうちにカタチになっていくものです。なにが自分に向いているかなんて、やってみないと分からないんですから。それが私が写真から学んだ大切な教訓ですね。

将来の展望をお教えください。

最近は安い価格で撮影をする同業者もいますが、そうなるとカメラマンなど現場で働く人に支払われるギャラも少なくなるわけで、この先カメラマンを目指す若い人がいなくなり、悪い方向に進んでいくんじゃないかなと思っています。
アドステージとしては、カメラマンを大切にしながら会社を大きく成長させていくことで、発言力を強くし、写真業界の労働環境を改善したいと思っています。

取材日:2025年10月20日 ライター:立花 加久

株式会社アドステージ

  • 代表者名:高橋 禎晃
  • 設立年月:1999年9月
  • 資本金:1,299万円
  • 事業内容:写真撮影および映像制作業務他
  • 所在地:〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町1丁目12番16号(朝川ビル2階)
  • URL:http://www.adstage.co.jp/
  • お問い合わせ先:022-722-1820

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