WEB・モバイル2020.09.02

「Webクリエイターの成長こそ、会社成長の鍵」クリエイティブ企業が掲げるデザイナーファーストとは?

沖縄
株式会社モノクラム 代表取締役
Mizu Sugama
洲鎌 未寿

SNSに流れるインフィード広告(コンテンツとコンテンツの間にある体裁の広告)のクリエイティブ事業を展開する「株式会社モノクラム」。約180人の社員のうち約9割がクリエイターという、クリエイティブに特化した会社です。組織づくり、社内の環境など、すべてにおいて「デザイナーファースト」を掲げる理由を、代表取締役の洲鎌未寿(すがま みず)さんに伺いました。

全国に先駆け、AIシミュレーターでインフィード広告の精度を高める

洲鎌さんのキャリアのスタートを教えてください。

インターネット広告会社サイバーエージェントグループの「株式会社シーエー・アドバンス」への入社がスタートです。Web広告という、非常に伸びしろのある業界に身をおけることと、実力次第で裁量のある仕事ができるというベンチャーならではの社風に引かれて入社しました。そこでしばらく経営本部やメディア、技術、ゲームなどの事業に携わっていましたが、シーエー・アドバンスの子会社として2014年に設立された弊社へ、組織規模の拡大に伴って2017年に異動しました。

インフィード広告の制作が主な業務とのことですが、どのような点が御社の強みとお考えですか?

全国的にも珍しいと思いますが、AIを活用したクリエイティブ制作をしていることです。今後AIやCGといったものをいかにクリエイティブ制作に取り入れていくかが大きな課題ですが、弊社ではすでにWeb広告の効果を数値化することができるAIシミュレーターを開発して使用しています。

AIシミュレーターを使うと、どのようなことができるのですか?

従来だと、インフィード広告のコンバージョン(成果)を改善する方法として、「A/Bテスト」を用いることが一般的でした。A案、B案両方を配信して比較し、良い方を採用するというやり方ですが、AIシミュレーターを使えば、AIを用いて広告配信メディアのデータを解析し、コンバージョンの最大化を実現できます。さらに、スピーディーで精度が高いので、クライアントへは今まで以上のサービスを提供できていると感じています。

他にも御社の強みはありますか?

弊社はサイバーエージェントグループのため、全国展開するナショナルクライアントのクリエイティブ制作に携われることです。沖縄の他の制作会社ではなかなかできません。デザイナーという職種は、自分の作った成果物をどれだけの人が見てくれたのかを、とても大事にする傾向にあります。だからこそ、自分が作った誰もが知る企業の広告が、多くの人たちが目にするSNSのフィード上で流れることは、大きな充実感につながるはずです。

ナショナルクライアントとの付き合いが多いのであれば、東京などの大都市に会社がある方が便利なように感じますが、なぜ沖縄なのですか?

一番の理由は、若年層の人口が増えている地域だからです。発展目覚ましいインターネット業界は特に、新しい発想を持つ若い世代の力が必要です。沖縄には意欲的な若い世代がどんどん増えてきていますので、他の地域に比べ人手不足に悩むことは少なくてすみます。

一方で、沖縄にはグラフィックやWebのデザインを学べる場が少ないため、経験者を採用できないというデメリットがあります。それゆえ弊社では若くて意欲がある方であれば、未経験でも積極的に採用し、社内で育成する環境を整えています。

「デザイナーファースト」を理念に掲げる理由

2014年の設立当初は6人しかいなかった社員が、わずか6年で180人ほどに増えたと伺いました。この急成長の理由を教えてください。

成長意欲の高い社員に恵まれたことと、社員の成長への投資を惜しまずにしてきたことだと思います。意欲あふれる人材をうまく伸ばすのは環境次第です。弊社では「デザイナーファースト」を理念に掲げ、デザイナーやクリエイターの成長機会に最大限投資をしています。

なぜクリエイターを大切にしているのでしょう?

一般的な広告制作会社には営業部門やコンサルティング部門などもありますが、弊社はそもそもサイバーエージェントやシーエー・アドバンスの制作部門ということで設立されたので、180人の社員の約9割をクリエイターが占めています。だから何よりもクリエイターを大事にし、彼らが働きやすい環境を整える必要があると考えているのです。

環境作りのために、どのような取り組みをされていますか?

オフィス環境でいうと、例えばハイスペックなPCや、長時間座っても疲れにくい椅子、奥行き・横幅ともに広いデスクなどを採用したり、勉強になる書籍をそろえたライブラリーを作ったり、休憩中リラックスできるようなカフェスペースを設けたりしています。

また社員への評価方法についても、クリエイター同士で評価し合い、クリエイターから見た技術成長を昇給や昇格の基準にするなど、徹底しています。

なぜそのような評価方法にしているのですか?

営業的な視点、つまり売上額や納期などを評価基準の軸にしてしまうと、クリエイターは窮屈に感じてしまうものです。普段からチームのクオリティを見ているチーフデザイナーが評価をすればクリエイターは安心できますし、伸び伸びとクリエイティビティを発揮し、技術を高められると思います。もちろん会社なので「売り上げ」という視点からの評価も必要ですが、その部分は私含め数人だけが担うようにしています。

御社のホームページにあった社員インタビューを拝見すると、多くの方が「やりたいことを後押ししてくれる会社」と言っていたのが印象的でした。これも「デザイナーファースト」の一つですか?

そうですね。評価方法と同様に組織もクリエイター中心のフラットな設計にしています。クリエイターの上司はチーフクリエイターだけなので、アイデアがあれば直接チーフに相談して、良ければすぐに採用されることもあります。

そのような組織だと、予算を考えずに自分の好きなように作ってしまうクリエイターが出てきませんか?

弊社の業務であるインフィード広告は、効果を出してクライアントのビジネスを成功させることが最大の目的です。それをしっかりと伝えたうえで、目的達成のためのクリエイティビティなら、どんどん発揮してくれて構わないというスタンスです。

沖縄クリエイティブ産業のリーディングカンパニーへ

これからの展望を教えてください。

沖縄でクリエイターが一番成長できる制作会社であり、沖縄のクリエイティブ産業を引っ張っていけるリーディングカンパニーを目指しています。そのためには、規模を大きくするよりも、社員一人一人の成長を促せる環境整備や組織作りが大切だと考えています。今後も引き続き社員への投資を惜しまず、優秀なクリエイターを育成していきたいですね。

最後に、クリエイターを目指す方へメッセージをお願いします。

成長するために最も大事なことは、インプット量です。優秀なデザイナーは総じて知識量が膨大。それがないとそもそもアイデアが浮かばないからだと思います。知識を増やすための一つの方法として、ぜひSNSのフィードに頻繁に流れてくる広告を見て、自分なりに分析してみてください。それぞれのプラットフォームが「価値あるもの」と判断した広告が多く流れるようになっていますので、なぜそう判断されたのかを考え、理解し、自分の中に落とし込むんです。弊社ではAIシミュレーターを使って分析できますが、これはあくまでも「人間」が分析するためのツールです。実際に見てみて、どう感じ、分析するのかが最も大事なはずです。

取材日:2020年7月20日 ライター:仲濱淳
※オンラインにて取材

株式会社モノクラム

  • 代表者名:代表取締役 洲鎌 未寿
  • 設立年月:2014年10月
  • 資本金:400万円
  • 事業内容:Webクリエイティブ事業
  • 所在地:〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち4丁目9-13 那覇新都心ビジネスセンター(旧 DH新都心ビル)6F
  • URL:https://www.monocram.co.jp/
  • お問い合わせ先:098-951-0923(経営本部)

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP