どうしましょう?

番長プロデューサーの世直しコラムVol.116
番長プロデューサーの世直しコラム 櫻木光

仕事中に若手の社員だけでなく、仕事の出来ない奴がよく使う言葉にものすごくむかつく言葉がある。それは

「どうしましょう?」

という言葉です。この言葉はいかん。なにか仕事を頼んでこの言葉が返ってくると 一発でその人と仕事をすることが不安に変わる。だめだこいつ。 もの凄く難しい局面に立たされたとしても、自分は絶対言いたくない言葉でもある。

夕方から始まった打合せが夜遅くまで終わりそうにない日は、 参加してる人達がお腹がすいて辛くなるので、ある日、若手の社員に 「晩飯用意して」とお願いした。すかさず「どうしましょう?何がいいですか?」 と平然として聞いてきた。本人は、何が食べたいか気を使って聞いたつもりだろうが、 イラッときたので「てめえで考えろ」と小声で囁いた。

若手は会議室を出て行ってどこかの弁当屋さんに電話しているみたい。 トイレに行こうと思って会議室を出たところでその若手にまた呼び止められた。 「弁当、あと一時間くらいかかるみたいなんですけど、どうしましょう?」 殴ろうかと思ったが殴ると問題なので「知るか、自分で考えろ」と相手にしなかった。 困って他の先輩に相談していたみたいだけど。

「どうしましょう?」という言葉は、 「自分は考える気がありませんから、あんたに丸投げさせてもらいます」 と同義だ。そういうことがわかっていない奴が多いのだ。 気をまわしたふりをして考えることをすぐに放棄する。 簡単に使える便利な言葉で平気で使う癖が付いているけどビジネスには向かない言葉。 「どうしましょう?」は他人に発してはいけない言葉で、 思考の中で自分に問いかける時のみ有効としなければいけない。

弁当配達してもらうだけでこの有様なのだから、仕事の少し難しい局面ではもっとひどい。

どうせ答えなんかないんだから、任された問題について自分なりの解決策を示せよ。 仕事の相談っていうのは、その解決策を持ってきて、自分の経験不足で想像のつかないリスクが 他にも存在するんでしょうか?という事を経験の豊富な人に聞くことだ。

「どうしましょう?」は家族間の甘えてもいい関係性の中で、お母さんがみんなに どうしても聞きたいことがある時にしか使っちゃいけないのだ。

会社に入ってきた若者に、「わからない事があったらなんでも聞いてください」と アナウンスするバカがいるがこれもまた、「どうしましょう」現象の元凶でもある。 「わからない事があっても当然だけど、無闇に人に尋ねたりせず とりあえず自分で考えろ。わかるまですごいスピードで考えろ」と言いたい。

以前勤めていた会社で、なんでも聞けと言われた関西から出てきたばかりの新人が 会社の中で、事もあろうに社長を捕まえて質問したことがあった。 「すみません、新橋駅へはどうやっていくんですか?」 聞いてたみんながズッコケた。会社の最寄りのJRの駅が新橋だった。 社長は優しく、関西から来た新人にそこにあったジャイアンツの帽子を渡し、 「この帽子を被って、道を歩いている人に、同じ質問をしたら、駅まで連れてってくれるよ。 東京の人はジャイアンツの帽子をかぶっている人には無条件で親切にしてくれるんだよ」 と言って去って行った。新人はその帽子を被って出て行った。やるなっ!社長。と思った。 その域に行けないんですよ。

という話はどうでもいいのだが。

自分が任されたことに対して、自分が矢面に立ってその事をやる。どの辺りまでたどり着けば それは成功したことになるのか?どのレベルでやり遂げれば頼んだ人が喜んでくれるのか? 周りの人たちは喜んでくれるのか? 弁当一つ取るにしても、そういうことを最初に思いついて実行できるようにならないと 仕事にはならないのです。

やったことないからわかりません。習ってないから知りません。どうしたらいいかわからないのでどうすればいいか教えてください。そういうことを真っ先に平気で言えるような風潮が蔓延していてすごく気分が悪くなる。学校じゃねえんだよ。俺はGoogleじゃねえからよ。 自分で考えるという装置が付いていない人が多いんじゃないかとすら思う。

そういうことにブチ切れて怒鳴ったりしたらパワハラになるけど、そのアホさ加減に怒りが込み上げくるけどパワハラにならないように我慢して気分が悪くなるのは逆パワハラじゃないのか?ヨワハラ。

自分で考えて実行して、成功して評価される。次のミッションを与えられる。また考える。 なんだかうまくいかなくて失敗する。じゃあなんで失敗だったのか考える。次はどうするか 選択肢を増やす。また知らないことがやってくる。調べる、悩む、考える。実行する。 進化はその繰り返しのなかにしかないのに、いちいち人に聞いてたら成長が遅れちゃうじゃん。 熱いか冷たいか自分で触って自分で覚える。そうやってわからない事を一つずつなくして行った 人にしかいいことは無いような気がするのです。

どうしましょう?と聞かずに、こうしましょう!って言えよ。

Profile of 櫻木光 (CMプロデューサー)

プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが、矢面に立つのは当たり前と仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。


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