WEB・モバイル2020.08.19

「デザイン×ICT×若手の育成」で、高い評価を受けるオンリーワン企業へ

大阪
株式会社エスピーアイティ 代表取締役
Tetsuya Oka
岡 哲也

「日本一長い商店街」として知られる大阪市の天神橋筋商店街。その中にあるビルの一室に、ICT(情報通信技術)による経営支援をはじめ、広告・販促に関わるサービスを展開する株式会社エスピーアイティのオフィスがあります。代表取締役の岡哲也(おか てつや)さんは役者志望から一転、デザイナーとして独立、さらに起業した異色の経歴の持ち主。仕事に対するこだわりや大切にしていること、若きクリエイターへのアドバイスなどを伺いました。

自分を探し続けた10代を経て、デザイナーという天職をつかむ

役者志望からデザイナーという転身をされたそうですが、その理由は?

高校卒業時は自分が何をしたいのか見つかっていなかったので、「役者になっていろんな人生を演じれば、何かをつかめるかも」と思ったんです。そこで俳優養成所に通いながら、東映太秦映画村のスタッフをしていました。ある大物俳優の付き人にならないかというお誘いもあったのですが、付き人になると全国巡業について行かないといけないんですよ。当時はまだ若く、付き合いはじめたばかりの彼女と別れたくなくてお断りしました(笑)。

その後、子供の頃から大好きで得意だった絵の才能を生かそうと、グラフィックデザインの仕事を探しはじめました。でも未経験の私を雇ってくれる会社はなかなか見つからず、20社目でやっと大阪・南森町のデザイン事務所に採用されました。20歳のときです。ここで9年間、紙媒体のグラフィックデザインから制作ディレクション、営業までいろいろ担当しました。

その頃から独立を希望されていたのですか。

そんなつもりは全くありませんでした。独立した理由を先にお話すると、「支社を作ってほしい」という希望が社長に却下されたからなんです。入社当時は7人程度だった社員が、50人程まで増えていたのですが、私は京都のクライアントをメインに1人で億近くの売り上げを続け、常にTOP3に入る成績をキープしていました。そこで京都支社の立ち上げを提案したのですが断られたので、29歳で会社を辞めて独立したんです。

その後、エスピーアイティを立ち上げられたのですね。

そうですね。独立してから2、3年は1人で仕事をしていたのですが、少しずつ人を雇うようになり、2006年に当時の取引先だった小さいマーケティング会社を、今で言うM&Aをし、社名を株式会社エスピーアイティにしました。「Sales Promotion & Information Technology」の頭文字をまとめた社名です。

ICTと若手の育成に注力し、次世代に向けて挑戦を続ける

現在の業務内容について教えていただけますか。

いろいろ展開していますがメインはICTによる経営支援で、簡単に言うとWebを介したコンテンツ提供です。こだわっているのは、PCやスマートフォンなどさまざまなデバイスで表示を柔軟に調整し、見やすく表示するレスポンシブデザインでありつつ、PCとスマートフォンで異なるデザインを提案すること。それもテンプレートではなく完全オリジナルです。2案を作るので時間がかかりますが、完成度を高めるための手間は惜しみません。ラフの段階から原稿もきっちり入れ、クライアントから原稿が出てこない場合は弊社でライティングから行い原稿までも作成しています。

弊社の強みは、成約前にここまでのレベルのものを作って、プレゼンできること。自社で全てを制作できるので外部に出す必要がなく、コストをかけず且つスピーディーに動けるのです。クライアントに見せると「もうできているじゃないですか! これでいきましょう」と喜んでいただけて、7割くらいは成約に至りますね。おかげさまで弊社が制作したコンテンツはクライアントから高い評価をいただいております。

若いクリエイターを支援する、自社コンテンツも展開されていますね。

2016年に立ち上げた「デザ魂(でざたま)」は、一言で説明するとクリエイターを目指す学生のためのデザイン・イラスト公募サイトです。専門学校を出たのに就業経験がなくて就職できない生徒たちを支援するために、さまざまなテーマで作品を募り、入賞者には企業が用意した賞金が渡される仕組みになっています。企業と学生をつなぐと同時に、学生には就活でアピールできる作品制作が行える場として活用してもらっています。

「デザ魂」に続き「デザ魂活(でざこんかつ)」というサービスも始めました。弊社がいわゆる「萌えキャラ」を募集し、学生の作品を版権ごと買い取ります。弊社と契約したクライアントに使用料をいただき、作品データをダウンロードして活用してもらうんです。萌えキャラを選んだ理由は、他のイラスト素材サイトにはあまりないから。差別化を狙っています。

社会貢献的な面もある事業のようですが、支援をはじめた理由は?

私がこれまで積み重ねてきたデザインスキルや経験を生かし、ちゃんとプロとして活躍できる若い世代を育てたいからです。「ちゃんと」の意味は、自分好みのデザインしかできない、中途半端なデザイナーになってほしくないということ。そういう人は、言い方は悪いですが「なんちゃってデザイナー」ですよ。

例えば、プロのデザイナーは印刷時、図版がずれないようにつける目印センタートンボなどの専門用語やその意味、紙の種類など、必要な周辺知識も身につけておかないといけません。やりたいことができるアーティストと違い、商業デザイナーはクライアントが求めるデザインを制作できることが大前提。その厳しさを若いうちに知ってもらいたいんです。

若い世代と向き合うときに、意識されていることはありますか。

膝を突き合わせ、うわべだけでない深い会話をすることです。特に相手の思いをちゃんと聞いてあげることですね。仕事でも大切にしていますが、若い人とコミュニケーションするときはいっそう強く心がけています。

先日も社会人5年目の若いクリエイターと話したのですが、「できることは増えたけれど、仕事に対して昔のような楽しさや成長を感じられない。立ち止まったまま進めない」と悩んでいたんです。「いったん立ち止まる時期が来たんだろう。今だから見える景色を楽しんでみて。きっと気付くことはたくさんある」とアドバイスしたら、「肩の荷が下りました」と言ってくれました。

「そんなことで悩むな」と説教することは簡単ですが、そうはしたくない。安易に批判したり怒ったりせず、若い人の声に耳を傾け、寄り添ってあげたいですね。

仕事をする意義は、たくさんの人を幸せにすること

仕事で大切にしていることを教えてください。

利益より「面白さ」重視で選ぶこと(笑)。面白そうな仕事ならもうけを度外視して取りかかることもあります。もちろん経営者として採算はきっちりさせますけれど。

弊社の得意技は「必殺・手弁当」。この手弁当とは「報酬を当てにせず、自分の負担で物事に取り組むこと」ですが、最大の成功例は大手住宅メーカーグループのリゾートホテルの広告でした。夏休みの観光客をターゲットに、当時はまだ主流ではなかったスマートフォン専用ページで、ホテル周辺の観光スポットやイベントを掲載するサイトを提案しました。しかし「効果が見込めそうにないものに予算は割けない」と断られてしまったんです。

でも私は反響があると確信していましたし、スマートフォンユーザーが増えているのはあきらかでしたので、「予算が出ないなら弊社で無料でやりますよ」と、100万円レベルの仕事を全て社内で負担し制作しました。結果は大好評で、スマホからの問い合わせや申し込みがたくさんありました。「岡さんの言う通りだったよ」と、次の期からそのクライアントに予算を取ってもらえるようになって、お付き合いは今も続いています。

「面白い」仕事とは、どのようなものでしょうか。

「その仕事をすることで、いろんな人にいい影響を与えられるかどうか」が面白さの基準です。私が面白いと思ったことを具現化し、それを世の中に出すことで、幸せになる人や考え方、価値観が変わる人が増えることに価値を見出しています。それが私の生きた証だと思っているんです。

会社は利益を出すのが必須ですが、私自身はあまり金銭に執着しません。お金を稼ぐより「岡さんに出会い、岡さんの手掛けた仕事を通じて、自分はいい方向に変わった」とたくさんの人に思ってもらう方がうれしいし、やりがいを感じます。若いクリエイターを支援しているのも、その一環ですね。

60歳からは海外でクリエイターを育てたい! 「ワクワク」はまだまだ続く

今後の目標を教えてください。

現在50歳なのですが、あと10年は会社を大きくすることに力を尽くし、人材育成も続けます。60歳以降は会社を誰かに引き継ぐか売却して、海外でクリエイターを育てたいと思っています。この目標を持つようになったきっかけは、過去に仕事でカンボジアを訪れたことです。

目覚ましい発展をしているタイやベトナムに比べ、カンボジアは立ち遅れている分、計り知れない可能性を秘めていると思います。資金援助はできますが、それより現地の若い人たちに技術を伝えて、自分たちの手で仕事をし、お金を稼ぐお手伝いをする方がいい。私はデザイナーですから、クリエイティブな知識やスキルを教えてあげたいです。

そのバイタリティはどこから出てくるのですか?

もちろん体力は若い頃に比べてガクンと落ちるでしょうね。でも年を取るにつれて人脈は広がっていくので、気持ちのワクワク感はむしろ上がります。他社の社長さんと知り合って、「こんな企画をこの会社に持っていったら面白そう」とか、「この人とあの人をつなげて、コラボ企画をやったら面白いのではないか」とか、そんなことを考えると楽しくて仕方ないですよ。年齢と経験を重ねてきたから感じられる醍醐味(だいごみ)じゃないですか。

最後に、若いクリエイターおよびクリエイター志望の皆さんにアドバイスをお願いします。

将来について、できるだけ具体的な目標を設定してほしいと思います。そこにたどり着くまでのルートが見えてきますから。例えばデザイナー志望なら、腕を磨いていい会社に就職したいのか、すぐに独立したいのか、起業したいのか。自分はどうしたいのかが明確でないとなかなか前に進めないし、成長もできません。

最初は「お金持ちになりたい」「高価な車や時計がほしい」など、フワッとした考えでも大丈夫。そこから具体的な目標に落とし込んでいけばいいのですから。分からないときは何でも相談に来てほしいですね。もちろん相談無料です!(笑)

最後に・・・ 関西限定にはなりますが、コロナ禍で疲弊した店舗や企業を元気づけるべく、来店促進や売上拡大を目的としたクーポンサイト「LOCAPO(ロカポ)」を立ち上げました。無料で店舗や企業のサービスを登録することが可能です。大阪商工会議所の期間限定サービス「売りまっせ!OSAKA応援プロジェクト」に付随サービスとして提供しています。 関西圏の店舗経営者さまは是非、ご登録下さい!

取材日:2020年6月25日 ライター:櫻井 靖子

株式会社エスピーアイティ

  • 代表者名:代表取締役 岡 哲也
  • 設立年月:2006年4月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:ICT経営支援サービス、広告・販促支援サービス、商品販売支援サービス、自社コンテンツ企画・制作・運営
  • 所在地:〒530-0041 大阪府大阪市北区天神橋6-6-19 エレガントビル南館1003
  • URL:https://www.spit.co.jp/
  • お問い合わせ先:06-6352-1006

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