グラフィック2020.07.08

“顧客満足”を生むデザインを

名古屋
トライ・デー合同会社 代表取締役
Issei Kanbara
神原 一世
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「浜鶏ラーメン」のパッケージ

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「名古屋モーターショー」

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トライ・デーがこれまで手掛けたデザイン

名古屋のクライアントを中心とした地域密着型のグラフィックデザインオフィスを目指して2018年に誕生した「トライ・デー合同会社」。30年以上のキャリアに裏付けられた着実なデザインワークに加え、2020年からは新事業もスタートさせました。代表の神原一世(かんばら いっせい)さんに、グラフィックデザイナーを志したきっかけや起業までの道のり、手掛けているビジネス、クリエイターへのアドバイスなどを伺いました。

小学生の頃にグラフィックデザイナーを志す

グラフィックデザイナーを志したきっかけを教えてください。

小学5年生の時、ポスターを作る図工の授業でグラフィックデザインというものを知り、「将来はグラフィックデザイナーになる!」と心に決めたんです。

その後、デザイン系の専門学校を経て就職していますが、どのような仕事に携わりましたか?

就職先はグラフィックデザイン全般を扱っている会社でしたので、ロゴマークから広告、販売促進までのあらゆる領域のデザイン業務に携わることができました。

私が若かった頃(1980年代前半)は、MacもDTPの考え方もまだなく、全てを手描きでデザインする時代です。初めからイラストレーターやフォトショップなどのソフトウェアに頼らず、実際に自分の手を動かして1本1本の線を引いていくことで、デザインの基礎が随分鍛えられました。

起業への思いは、いつ頃から?

グラフィックデザイナーは“独立するのがあたりまえ”の世界だったため、起業への思いはずっと抱いていました。そして29歳のときに、懇意にしていたデザイナー仲間とCI(コーポレート・アイデンティティ)の専門会社を都内で立ち上げました。今でいうブランディング会社の走りのような存在です。

その会社ではシンボルマーク・ロゴタイプの策定をはじめ、企業理念の開発や付随するデザイン展開の一式をワンストップで提供していました。

「トライ・デー」は、「3つのD」が躍動する会社

20代で起業されてから、「トライ・デー」立ち上げまでの道のりを教えてください。

CIブームの波に乗り、競合も少なかったため次第に有名企業のシンボルマークマークも任されるようになりました。またVI(ビジュアル・アイデンティティ)の依頼も増え、本格的にグラフィックデザインの仕事と向き合っていました。

そして、2015年頃に故郷の両親が高齢になってきたため、面倒を見ようと、名古屋にUターン。デザイン事務所に就職しました。

会社名「トライ・デー合同会社」の由来は?

トライは「3」を意味します。そしてデーは、英語の「D」。「デザイナー」「DTPオペレーター」「ディレクター」の3人で立ち上げた会社なので、そう名付けました。 また、メンバー間で話し合いをして合同会社として設立しましたが、そこにこだわった理由は特になく、資本金も創業メンバーの3人で分割して出資しました。

現在、展開されている事業は?

DTPオペレーションとグラフィックデザインを事業の柱としています。

広告や販売促進に関わるさまざまなツールの企画・デザインと、流通系の販促チラシを主に手掛けています。企業からの直接の依頼もありますが、広告会社や印刷会社経由の仕事のボリュームが比較的多い状況です。

実は、2020年から新たな事業としてオリジナルネクタイの製造販売も始めました。

なぜ、商材にネクタイを選んだのでしょうか?

理由は2つあります。

ひとつ目は、デザインをするうえで制約があることに面白さを見出したからです。ネクタイ独特の形状だけでなく、裏表や結んだ状態を考慮しながらデザインに落とし込むには豊富なスキルが必要になります。

ふたつ目は、ビジネス用途のネクタイを扱う事業者は多いのですが、日常のファッションアイテムとして(のネクタイ)は非常に少ないことです。思い切ったデザインと発色の良いデザインを表現することで、選ぶ方にとって特別な一本であって欲しい。そんな想いをカタチにしました。

ネクタイ事業を展開するうえで、PRをすることも大切になると思いますがどのように行っているのでしょうか?

現在は自社商品の販売をネットショップで主に販売を行っていますが、今後は取り扱っていただけるショップ・イベント・展示会を増やしていこうと計画しています。

「お客さまの満足」を常に考えつつ、後継者の育成にも力を注ぎたい

神原代表が仕事で心掛けていることは?

「お客さまの満足」を常に考えています。私たちが手掛けるグラフィックデザインでお客さまが満足なさって、会社の価値が上がることは、私たちの成長につながります。「作り手としての満足」と「お客さまの満足」が高いレベルで一致する、楽しい仕事ができるように日々心掛けています。

会社としての強みはどんなところにあるとお考えですか?

「デザイナー」「DTPオペレーター」「ディレクター」の「3つのD」、それぞれの豊富なキャリアに裏付けられたお客さまに納得いただける“確かな仕事”が一番の強みだと思います。

「トライ・デー」の今後の展望をお聞かせください。

会社を大きくしたり有名にしたいという野望よりも、スタッフが楽しくデザインに取り組める環境をさらに充実させたいと考えています。個々のスキルを伸ばし、切磋琢磨しあえる「良い関係」が構築できる会社でありたいです。

最後に、世のクリエイターにアドバイスをお願いします。

クリエイターとして大きく成長していくには、「常に良いものを見ること」「幅広い知識を得ること」「人々とのコミュニケーションを豊かにすること」の3つのアクションを常に意識すると良いと思います。

グラフィックデザインだけではなく、映画でも、絵画やアートでも、演劇でも、風景でも、プロダクトでも、あなたに良い刺激を与えるものに触れ続けることを心掛けてください。それが、美しいものをアウトプットする原動力になると思います。

そして、アウトプットするときは伝えるべきことをできるだけ絞ること。表現物にあれもこれも含めていくと、結局何を伝えたいのか分からなくなってしまいます。伝えることの本質を見極め、要素を絞り、その目的を達成するための訴求力のあるデザインを生み出すことが重要です。

私は、デザインもコミュニケーションのひとつと捉えています。内側に閉じたデザインをするよりは、人と人との対話が生まれるような開いたデザインを心掛けることで、仕事の幅もどんどん広がっていくと思います。

取材日:2020年4月16日

トライ・デー 合同会社

  • 代表者名:代表取締役 神原 一世
  • 設立年月:2018年8月
  • 資本金:200万円
  • 事業内容:グラフィックデザイン事業、ファッション事業
  • 所在地:〒451-0051 愛知県名古屋市西区則武新町4-4-19 SG名古屋駅ビル305
  • 電話番号:052-526-8526
  • コーポレートサイトURL:http://tri-d.jp
  • ネクタイ事業ECサイトURL:https://try-day.jp
  • お問い合わせ先:info@tri-d.jp

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