グラフィック2020.03.25

ブランディング+クリエイティブの相乗効果で「伝える力」を最大化するデザイン会社

沖縄
株式会社ユナイテッドクリエイティブ 代表取締役 クリエイティブディレクター
Hidefumi Omine
大嶺 秀史

「ブランディング」とは、いったいどのようなことを指すのでしょう? ブランディングとは何か、ブランディングに必要なことは何かを、徹底して追及しているデザイン会社が「ユナイテッドクリエイティブ」です。代表の大嶺秀史(おおみね ひでふみ)さんは、沖縄県内では数少ないブランド・マネージャーの1級資格を持つクリエイティブディレクター。「デザイン+ブランディング」の力を何よりも重視する大嶺さんにお話を伺いました。

個人商店や小さな会社とともに成長する喜び

「ユナイテッドクリエイティブ」を起業した経緯を教えてください。

長い間、東京のデザイン会社や沖縄の大手広告代理店に勤め、グラフィックデザインを中心に携わっていました。
大きい会社なので、当然お付き合いするクライアントも大手が中心です。そんな中で常々感じていたのが、「沖縄には、広告代理店に依頼できない中小企業や小売店の方が、圧倒的に多い」ということでした。 そのような小さな事業者とのお付き合いを広げていければ、独立しても十分に勝負できるチャンスはあると感じていました。

一方、私個人の夢として、安泰の会社員人生もいいけど、一回だけの人生なら思い切って冒険してみたいとも思っていました。
そこで2006年に広告代理店を退社し、「ユナイテッドクリエイティブ」を立ち上げました。

大手広告代理店を辞めて独立されるとなると、不安はありませんでしたか?

正直なところ、最初は、「これだけ労力をかけたのに、これだけ!」とショックを受けることもありましたが(笑)、最初はしょうがないだろう、と思っていたのであまり苦には感じませんでした。実際順調にクライアントは増えてきて、今では小さな事業者から大手の企業まで幅広くお付き合いをさせていただいています。

また、金銭的な成功ももちろん嬉しいのですが、人の顔が見える密接なお付き合いの方に面白さを感じました。
例えば小規模の石鹸屋さんや、個人経営のカフェの立ち上げから関わったことで、その店と一緒に成長している気持ちになりましたし、彼らの売り上げが伸びたときの喜びはひとしおでした。

「伝えることをちゃんと考える」デザイン会社

デザイン会社としての、御社の特徴や強みを教えてください。

「伝えることをちゃんと考えること」を最も大切にしています。デザインというのは、ある商品や会社の良さを伝え、売り上げを伸ばすためのツールに過ぎません。
そのために必要なことは、買ってほしい人や知ってほしい人、つまりターゲットに、商品の良さを明確に伝えられるデザインであることです。
そこをおろそかにしてしまって、見栄えの良さやおしゃれさばかりを重視するデザイナーやデザイン会社が意外にも多いんです。

「誰が買うのか」を突き詰めた結果、一般的に「ダサい」と思われるデザインを施した方が伝わりやすいのであれば喜んで作ります。
伝えることが第一の目的ということを忘れないことが基本のスタンスです。

そして、「伝えること」をちゃんと考えるうえで必要なのが、企業がターゲットに対して抱いてほしいイメージを明確にし、共通の認識を持って、そのイメージを広げるための戦略を構築すること、つまり「ブランディング力」だと思います。
ブランディングを理論的にも理解してもらい、それを軸にイメージする世界観のデザイン展開ができるのが、弊社の強みだと思っています。

ブランディング力を強化し、幅広い業務を担う

ブランディング力とは、具体的にはどのような力ですか?

企業がターゲットにどう思ってほしいかを明確にしたうえで、それをビジュアルに落とし込んだり、広告やイベントなどの媒体を展開したりと、ターゲットに伝えるための道筋を立てられる力です。
会社設立以来、常々そのことに重点をおいてきました。しかしクライアントと接するなかで、「このデザイナーは自分の感覚や好みを押し通して、この広告を作っているんじゃないか」と思われているのでは、という言動にたびたび遭遇したんです。

「決して自分の好みで作っているわけではありません」と、どうすればクライアントへ伝えられるのか、安心してもらえるのかを考えたときに、ブランド構築の専門家だと証明できる資格のようなものがあったらいいなと思いました。
また私自身、もっとブランディングについて勉強したいとも感じていたので、ブランド・マネージャー認定協会の認定資格の1級を取得しました。

ブランド・マネージャーとは、どのようなものですか?

その名の通り「ブランドを管理できる人」です。この資格を得たことで、「ブランディングできる能力を持っている人物」だと、クライアントに明らかな安心材料を与えられるようになり、より説得力のある提案だと感じていただけるようになりました。
資格取得のために東京と沖縄を行ったり来たりしなければならず結構大変でしたが、気付きも多く、いい勉強になりました。

どんな気付きがあったのですか?

ブランド・マネージャーの講師の方々でもブランディングはしても、それにひも付くクリエイティブのデザインは外注しているというケースが少なくないのに気づきました。
逆に言うと、ブランドマネジメントができるうえにクリエイティブな部分も担える自分は、有利かもしれないと感じたのです。
その方が、ブランド構築からデザインへの落とし込みまで一貫して行えるので、スムーズにクライアントの要望に応えられるはずだと思いました。

実際に、スムーズに要望に応えられるようになりましたか?

おかげさまで、多くの会社と幅広いお付き合いができるようになりました。 ブランディングからお手伝いをすることで、従来のデザイン制作の仕事、つまりロゴやパッケージ類の制作だけではなく、店舗やオフィス内装のお手伝い、CMやラジオなどのメディア制作まで請け負うケースも増えてきています。
ブランドとクリエイティブのマインドさえ持っていれば、どんな媒体へも展開できるのだと実感しています。

例えば、沖縄で歴史の長い建設会社との仕事は、非常に興味深いものでした。 その会社は、歴史はあるけれど新入社員がなかなか来ないという悩みを抱えていました。
若い人に受け入れられるようにするために、社長をはじめ多くの方と議論を交わし、ロゴをリニューアルしたり、住宅見学会の会場の装飾を若い人向けにしたりと、ブランディングのためにさまざまな施策を行いました。
他にも、住宅購入の決定権を握るご夫人を集めて料理講習会や座談会を開き、会社のファン作りをするなど、今までその会社でやったことのない試みもしてみました。

ベテラン社員などから反発がありそうな気がしますが、いかがでしたか?

反発というほどではありませんが、少しはありました。ですが、粘り強く続けた結果、協力していただけるようになりました。
会社の合同企業説明会でも学生の興味を集められるようになりましたし、ブランディングの力だけではないと思いますが、業績も伸びてきました。

この例のように、ブランディングというものは、社員さんとの深く、密なやり取りが必須です。
その際に大事なのが、いかにして皆と「チーム」になるかということなので、社員さんたちと話す際、頻繁に「僕らの課題」「僕らの会社」など、「僕ら」という言葉を使うようにしています。「対業者」として接するのではなく、「あなたと私は同じ立場」と感じられるようにすることで仲間意識を高められ、より強力な施策を講じることができると思います。

最後に、 今後やってみたいことや展望を教えていただけますか?

何か新しいものを作って、育てることに興味があります。
例えば、沖縄にはたくさんのお土産がありますが、中には売り上げが伸び悩んでいる商品や、知名度の低い伝統工芸品も多いと感じています。
弊社が手を加えることで革新的な商品に蘇らせられたら、これほど面白いことはないですね。
今は通常の業務で手いっぱいですが、出資してでも、いつかはやってみたいことの一つです。

また、社内での希望というか夢は、スタッフには、私の存在などはるかに超えるクリエイターになっていってほしいと思っています。
そのために、一人一人が個人事業主であるというマインドを持つよう指導しています。
もちろん、ずっと弊社に居てくれるのに越したことはありませんがもしもスタッフが独立を望んでも笑顔で送り出せるようにしたい、と気持ち的には思っています。

取材日:2020年2月27日 ライター:仲濱 淳

株式会社ユナイテッドクリエイティブ

  • 代表者名:代表取締役 大嶺 秀史
  • 設立年月:2006年6月
  • 事業内容:ブランディング、グラフィックデザイン、WEBデザイン、CM関連、店舗プロデュース、コンサルティング、販促企画、広告等
  • 所在地:〒901-2221 沖縄県宜野湾市伊佐3-16-20
  • URL:http://www.unitedc.jp/index.html
  • お問い合わせ先:080-1755-7515

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