WEB・モバイル2019.11.20

全国各地に拠点を作り、ニアショア事業で会社を拡大していく

札幌
株式会社フィーリスト 代表取締役
Toshifumi Kino
吉野 俊文

札幌市を拠点に、Webアプリケーション開発などを行う「株式会社フィーリスト」。2015年の設立後、次々と事業所を増やし、ニアショア事業に取り組んでいます。常に先を見据えながら人を育て、会社を育てる代表取締役の吉野俊文氏に、お話を伺いました。

公務員からIT業界へ。先を見据えて独立を果たす

吉野さんのこれまでの職歴について教えてください。

札幌出身で、高校を卒業した翌年に、東京で公務員になりました。1年近く勤める中で、これが一生続くのかと思うとつまらなくなって…。そこで辞めて、飲食店で店長として4〜5年勤めました。その頃が24歳くらいでしたね。さすがにそろそろ将来的な仕事を決めようと思った時がちょうどITバブルで。じゃあ、この仕事をやってみようと思い、知識もないまま就職しました。

就職先での仕事はいかがでしたか?

まあ、こんなものかなと。入社後、たまたま3カ月くらい札幌出張があって、その時に、札幌にいる大手電機メーカーの子会社の方に気に入っていただいたんです。「帰って来たいなら仕事を紹介するよ」と言っていただいたので、じゃあ戻ってどこかの会社に就職しようかなと。そんなことを考えていたら、仕事でお世話になった東京の会社の方に、札幌に支社として事務所を開くから任せたいと言われました。

そこで転職をされたんですか?

ちょうど入社して1年くらいでしたが、退職して新しい会社に移りました。最初は1人で始めて少しずつ人を増やして、最終的に外注を含めたスタッフが40名くらいになりました。その会社には9年くらいいましたね。

何が独立のきっかけになったんですか?

その頃、新たな事業展開をするという話が上がったんです。その会社は、売り上げの9割を関連会社からの受注で締めていたので、それが無くなったら厳しい状態になってしまいます。ですから、新規事業によって売り上げを落とさずに比率を変えていくという方法もいいのではないかと思いました。ほかの事業を始める時は当然、投資要素は出てきますよね。ですから、5年後・10年後のことを見据えたら、利益を落としてでもやるべきだと思ったんです。そうしたことを考えているうちに、自分も新しいことに挑戦してみたくなったんです。幸い、支援してくれる人やお客様もいたので、私に賛同してくれる10名以上の社員とともに独立しました。

未経験者でもOK。女性雇用にもさらに力を入れたい

仕事はどのように展開していったんですか?

初めに取り組んだのが、取引先を増やすことでした。前の会社からお世話になっているお客様もいたのですが、それだけでは会社は回せませんからね。ですので、まずは札幌でいろいろな会社の仕事を業務委託し、そこからさらに新たな挑戦として、東京の仕事を社内で受けることにしました。札幌ではお客さんのところに常駐して業務委託をしていたのですが、営業を強化するという意味でニアショア事業に力を入れることにし、東京に支社を作りました。

人材の採用はどのようにされていますか?

毎年、新卒や中途の未経験者を採用しています。自分自身が未経験でもなんとかやっていけていますから、そこはあまり関係ないと思っています。魅力的なのは、それぞれの前職のスキルをうまく活かせる人ですね。やる気がある人や努力家で、さらにその上で異業種経験者の方が、現場も活性化されますし、臨機応変な対応や自分たちにはない発想を提案してくれます。

研修はどうされているんですか?

いい人材を採用した後は、1〜3ヶ月ほど、各自のレベルに合わせて研修を行います。それぞれの地域にある事業所の外部研修スタッフに依頼し、実務として小さなプログラムを作ったり、マナー研修を行います。現在社員は約70名ですが、男性の方が多く、女性は全体の2割程度です。ほかの会社に比べると多い方だと思いますが、いずれは3割ほどに増やしていきたいですね。

雇用に関しては、国内外の人材も視野に入れていますか?

まずは女性の雇用促進ですね。共働きが当たり前になる中で、女性がフルタイムで働ける環境を整えたり、フルタイムが無理でも働きに見合った報酬を支払うことで、必要な人材は揃うと思います。仮に女性雇用も厳しくなったら、その時は海外の労働力に頼ると思います。そうしたことも踏まえ、将来的にベトナムにも現地法人を作りたいと考えています。いずれは外国人と仕事をすることが当たり前になると思いますので、今から外国人スタッフと仕事をすることに抵抗感のない会社にしていきたいですね。

現場の人間を増やし、拠点も増やしていく

 

事業所は現在、何カ所あるんですか?

今は札幌、東京に加え、前職の知り合いが仙台へ転勤となった繋がりから発注をいただくようになったので、仙台支店も作って現地採用をしました。さらに、10月末には京都の支社も立ち上げますが、こちらはニアショアに特化した事業所にしようと思っています。

こちらも現地採用されるんですよね。

支店の立ち上げが決まった2時間後には、求人を出して市場の反応を見ました。結果をすぐに出したいので、何よりもスピード感を大切にしています。決めたらすぐに動きますし、失敗しても早い方が次の手が打てますからね。京都に関しては東京の仕事を受けたり、京都の仕事を札幌と一緒に動かす形になると思います。

拠点を増やすのは、リスク回避のためですか?

そうですね。それもありますが、結局私たちの資産というのは社員なんです。社員数が多ければ、それだけこなせる仕事が増えて売り上げにも繋がります。さらに地元の人であれば、ほかの地域では分からない土地柄のニーズにも対応できますから、積極的に現地採用を推進しています。好きな土地で好きな仕事をしながら一生暮らせたら、言うことないですよね。

社員の「やりたい、楽しみたい」を応援する

御社では勉強会なども活発に行われていますよね。

勉強会は社員がやりたいといって始めて、今は少なくとも1ヶ月に1回は、自由参加で実施しています。私は、投資にはお金の投資と時間の投資があって、時間を使うことでスキルや知識、経験など、増えるものはたくさんあると思っています。しかし残念ながら、社内にはその投資を上手にできない人が多いんですよね。ですから、少しでも覚えたい・磨きたいという姿勢があれば、それは応援します。社員が講師役になってパソコン技術を教えるだけでなく、コーチングなどの専門的な知識が必要であれば、外部講師を呼ぶのに会社でお金を出すこともありますよ。

スタッフは大勢いらっしゃいますが、それぞれどのように接するのですか?

ゲームや麻雀大会、飲み会、カラオケ大会など、さまざまな催しをして、社内交流を図っています。それぞれの回の参加・不参加の状況を知ることで、苦手なものや好きなものが見えてきますよね。無理に苦手なものに参加する必要はありませんが、別の企画を提案することで楽しい思いをすると、人によっては次回も参加してみようという気になります。そこから会社が好きになったり、雰囲気がいい、居心地がいいといった感想に繋がれば、会社を辞めなくなりますよね。うちの会社が伸びた理由は実はそこにあって、社員数の採用のペースが早いのではなく、離職率が低いのだと思います。

社員旅行や部活動なども行っていますよね。

社員旅行は、私が行きたいからです(笑)。年に1度ですし、社員同士の交流の場としても必要だと思っています。プライベートでも希望者を自宅に呼んでバーベキューをしたり、社員を誘ったり誘われたりして食事に行くことも多いですよ。そこにはもちろん、社長だからという垣根はないですね。社内の部活はいくつかありますが、どれもスタッフが自主的に始めたもので、それぞれ趣味の合う人同士で、楽しそうにやっていますよ。

今後の展開を教えてください。

技術の革新はすごいですし、年齢を重ねるといずれは頭がついていかなくなります。そうするとその人の役割は、管理や営業などコミュニケーションが必要なものになりますよね。その時に困らないように、交流や部活などを通して、少しずつコミュニケーションに慣れさせているつもりです。さらに、彼らが管理職になった時に備え、現場の人間は増やしておかなくてはいけないので、社員数を伸ばすのは当たり前のことだと思います。そういう来たるべき時のために、いずれは事業所を5拠点くらいに増やして、社員数を200人規模にしたいと考えています。

取材日:2019年9月19日 ライター:八幡 智子

株式会社フィーリスト

  • 代表者名:代表取締役 吉野俊文
  • 設立年月:2015年8月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:Webアプリケーション開発、iOS、Androidアプリ開発、ホームページ制作
  • 所在地: 札幌本社 〒060-0003  北海道札幌市中央区北3条西2丁目1番地 カミヤマビル6F
        東京支社 〒101-0021 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX 4F LIFORK AKIHABARA
        仙台支社 〒980-0013 宮城県仙台市青葉区花京院2-1-61 タカノボル第5ビル 1F
  • URL:https://feelist.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より

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