グラフィック2017.10.04

独自のセンスでアパレルショップとデザイン事務所を展開。フレキシブルな対応で街のクライアントの支持を得る

仙台
deeplaid WORKS 尾形 健二 氏
仙台の住宅街にあるアメリカンカルチャーが漂うアパレルショップ兼デザインオフィス、deeplaid WORKS(ディープレイド ワークス)。「ひっそりとたくらむ」という意味を持つこの店の代表である尾形健二(おがた けんじ)さんは、他業界からデザインの業界に飛び込んだ、いわば挑戦者。独自のセンスで展開するアパレル部門はバイカーやローライダーなどのコアなファンの心を掴み、一方のデザイン業務では、いかなる業種のクライアントであっても彼らのニーズに則した提案で着実に信頼を得ています。開業からすでに10年。決して王道ではなくてもオリジナルのビジョンに基づき、地に足をつけて一歩ずつ進化を続けています。

「何もないところから始めたい」
コネもなく仕事の予定もゼロ。それでも独立する決意は固かった。

起業までの経緯を教えていただけますか。

高校卒業後は大手乳製品会社に就職し、工場に10年ほど勤務しました。その後、スポーツメーカーのデザイン部に転職し、ユニフォームやTシャツ、帽子の名入れやプリント用のデザインを学び、2年ほどで退職しました。そして、何のコネクションもない状態で独立しました。最初は、趣味の延長のような感じで『deeplaid』のオリジナルウエアを作り、仲間内で販売していたんです。自分がずっとアメ車のオーナーだったこともあって、アメ車のミーティングで販売したり、同じ趣味を持つローライダーやバイカーのオリジナルウエアの製作を請け負ったりするところから始めました。そして店舗兼事務所を借り、So-CAL(アメリカ西海岸/South Californiaのファッションやカルチャー)のアンダーグラウンドなスタイルをコンセプトに、セレクトしたウエアを販売したり、オリジナルウエアの製作・販売を始めました。最初の頃は苦労もありましたが、ウエアを中心にリピートしていただくことが増え、何年もかけてデザインの事業を拡大して少しずつ軌道に乗ってきたという感じです。

お客様がゼロの状態で独立するのは勇気のいることだと思いますが、不安はありませんでしたか。

それが、あまり不安に思うことはなかったですね。働きながら、ずっと「いずれ独立しよう」という思いが強くあり、スポーツメーカーに就職した理由も独立を見据えて勉強させてもらうためでした。何もないところから自分の力だけで事業を切り拓きたいと考えていたので、コネがなくお客様もいないのは当たり前だと、一から自分でどうにかするしかないと思っていました。

現在は印刷物やサインなどのデザイン業務も行っているそうですが、 グラフィックデザインは尾形さんが手がけているのでしょうか。

ええ、そうです。開業当初はウエアの名入れやシルクスクリーンでの一部転写が多かったのですが、現在は、フライヤー、パンフレット、名刺やカード、ステッカーなどの印刷物やサインのデザインや設置なども行うようになりました。グラフィックデザインは、ほぼ独学で学んできました。スポーツメーカーに勤めていた頃にはデザインソフトの基本的な使い方を覚えたくらいで実践的なデザイン手法を学ぶというよりは、お客様との関係や仕事の流れを学ばせてもらいました。開業してからずっと手探りですが、「こういうのが欲しいんだけどできる?」というお客様のニーズに応えることによって、自分のスキルも引き上げられてきたと感じています。

どんな時も変化することを楽しみ、 自分自身マルチに成長していきたい。

現在はどのような業務に力を入れているのでしょうか。

お客様の要望に応えるための設備投資は重要だと考えていて、先日、業務用の新型の刺繍機を購入しました。これによってオリジナルデザインで刺繍ができる幅が広がりました。これまでよりも短納期でオリジナリティを出せるようになったので、お客様にも選択の幅が広がると思います。また、ステッカーを作るためのカッティングマシンも導入していますし、次は大型のプリンタを購入する予定です。お客様にとってリーズナブルでスピーディな仕事をご提供することが大事だと考えています。いつも正確で堅実な仕事をすることを心がけていますが、現状に甘んじずいつでも変化し成長し続けていたい。そのために情報収集も力を入れ、次の展開を楽しみながら考えていますね。

現在スタッフはいらっしゃるのでしょうか?

アルバイトが1名います。私が打ち合わせや納品、サインの設置などを行っている時に店を任せ、制作作業も担ってもらっています。彼は元々ショップのお客様でしたので、店のコンセプトや私の人間性を理解した上で「働きたい」と言ってくれたのでコミュニケーションも円滑だと思います。スタッフが居ると「今後はこうしよう」という目標も気軽に共有できていいですね。

クライアントにはどのような業種が多いのでしょうか。

保育園や美容室、建設会社、フラワーショップなどさまざまですね。どの業種が多いと一概に言えるわけではないですが、事業主の知人が多いこともあって小さなショップや事務所が比較的多いかもしれません。ありがたいことにご紹介いただくことも多いですね。また、「看板作ってもらえるの?」とすぐご近所から初めて来店される方も少なくありません。それはこの事務所が10年変わらず同じ場所にあり、通りかかる人にいつか使おうと思ってもらえているからだと思っています。その後、看板からショップカード、名刺、ユニフォームなどを次々にご依頼いただくこともあります。

失敗を恐れず、自分の心に正直に。
これからもできることをやるだけ、やってみたいことをやるだけ。

事業をする上で大事にしていることはありますか。

まずはお客様のニーズに正確な仕事で応えることですね。自分は行動を起こしてから考えるタイプということもあって、自分の行動や事業に制限を設けるのではなく、挑戦することで一つずつ段階を経て変化し、成長することを楽しんでいきたいと思っています。理想論かもしれませんが収益を考えて新たな事業を始めるのではなく、自分の心に正直にやってみたいことを恐れずにやっていくというのが信条なのだと思います。これからもそういう想いを大事にしていきたいです。

今後の目標を教えてください。

実は、現在の店舗兼事務所の拡大を予定しています。はす向かいのテナントを新たに借りて事務所と倉庫の機能を移動させ、現在の店舗スペースを拡大します。アパレルをやっているとどうしても在庫を置くスペースが必要となり、いつのまにか大量の在庫で溢れてしまうことがあるのですが、移動によって店舗が広くなり事業が広がることが楽しみです。また、遠くない未来には、ショップよりも気軽に人に集ってもらえるバーを作りたいと考えています。想像するだけでわくわくするので、ぜひ実現したいですね。

取材日: 2017年8月31日 ライター: 門馬 祥子

deeplaid WORKS

  • 代表者名:尾形健二
  • 設立年月:2007年11月
  • 事業内容:アパレルショップ運営、広告・デザイン制作(オリジナルウエア製作、ステッカー製作、看板制作・設置・撤去)
  • 所在地:〒982-0032 宮城県仙台市太白区富沢1丁目12-1
  • TEL/FAX:022-743-6675
  • URL:http://deeplaid-ksw.com
       http://deeplaidworks.com
  • お問い合わせ先:上記URLお問い合わせよりご連絡ください。
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