WEB・モバイル2023.11.22

“IT地域商社”で「地元・沖縄に貢献したい」。徹底的に顧客に寄り添う代表、ECが拓く可能性

沖縄
有限会社ティーダネットカンパニー 代表取締役
Hideki Uehara
上原 秀輝

EC・Webサイト制作やシステム開発を手掛ける、沖縄の有限会社ティーダネットカンパニー。代表取締役の上原 秀輝(うえはら ひでき)さんは、東京でシステム開発などを行っていましたが、地元である沖縄県糸満市を活性化しようと、糸満の物産に特化した地域商社型ECサイト「ITOSTO(イトスト)」を立ち上げました。最近ではイトストから派生したEC伴走型支援サービスをスタートし、EC事業の強化を目指す上原さんにお話を伺いました。

学生からの夢である「社長になる」。賃金格差を解決しようと奮闘

会社設立の経緯を教えてください。

私の学生時代からの夢である「社長になる」。その夢への第一歩として、IT系の専門学校へ進学しました。
卒業後は将来独立することを視野に入れ、システム開発だけでなく経営まで一通り学べる規模の小さいIT関係の会社に就職することに。出向した大手IT系企業の沖縄分社で大きなプロジェクトにかかわるうちに、東京本社へ行くことになりました。3年ほど、東京本社からいろいろなメーカーへプロジェクト単位で出向していたのですが、やはり独立したいという気持ちは変わらず、2006年に思い切って退社し、有限会社ティーダネットカンパニーを設立しました。

東京で会社を立ち上げたのですね。そのあと、なぜ沖縄に戻ることになったのか教えてください。

設立当初の業務は前職と同じく月額単価でシステム開発などを客先にて行うSES(システムエンジニアリングサービス)だったのですが、このままだと会社の財産として何も残らないかもしれないと危惧を抱き、徐々に成果報酬を受け取れる受託開発を増やしていきました。そんな最中、知人の会社経営者から、沖縄県が支援するオープンソースを使ったサービスやプロダクトの開発を促進させる事業に参加しないか、と声がかかったんです。ちょうどその頃、数名しかいなかった社員がさまざまな理由で仕事を続けられなくなっていたので、いい機会だと思い、沖縄に戻ってジョインすることにしました。
そのプロジェクト終了後は県内のクライアントを開拓しながら受託開発を続けていたのですが、残念ながら東京に比べて単価が低い。埋まらない賃金格差を何とか改善しようと、売上拡大のために自社サービス開発にも着手したのですが、作っては途中で断念することを繰り返していました。

地元愛が生んだ、ふるさと納税の特産品PR・商品開発。3年で寄付額は2億円に

会社として厳しい時期があったのですね。

受託開発という基盤があったので、何とか売上の確保はできてはいたのですが、やりがいなどあと一歩が足りない状態でしたね。打開策はないかと思案を続けるうちに、ITを使って地元の糸満市に貢献できる事業がいいと考えるようになったのです。

「地元愛」からのアイデアですね。

そうですね。沖縄を一度離れてみてつくづく感じたのは、私が仕事を続けられているのは、糸満という生まれ育った場所と、そこにいる人々のおかげだということです。私を育ててくれた地元のために何かしたいと模索したところ、糸満市が今まで役所内で回していたふるさと納税事業を、プロポーザル方式にするという情報を得ました。そこで、糸満市観光協会とタッグを組み手を挙げ、1回目の受託は逃してしまったものの、数年後再び行われた公募で晴れて請け負うことができました。
従来弊社の主軸であるシステム開発とは異なる事業でしたが、社内に特設チームを作って取り組むことに。市内の事業者に対する商品開拓のための営業から、決定した商品のサイトページ制作、受領証明書発行などのバックヤード作業まで行い、特産品のPRや商品開発にかかわるようになりました。その結果、初年度の寄付額は約4千万円でしたが、翌年には約1億円、翌々年には約2億円と、3年で5倍の金額に達することができたのです。

ふるさと納税事業のノウハウを生かし、地域特化型ECサイトを開発。ITの「地域商社」へ

大きな実績を上げられたのですね。その後、現在の事業へどのようにつながっていったのか教えてください。

ふるさと納税事業を通じて地域の事業者さんと接することで、「いい商品を作っているのに売る手段を持っていない。出口戦略が弱い」という課題が見えてきました。持続的に地域貢献できる仕組みを検討する中で、もともとふるさと納税事業でも構想があった、EC事業の実現が効果的ではないかと考えました。そこで、ふるさと納税事業で獲得できたノウハウを生かし、糸満に特化したECサイト「ITOSTO(イトスト)」というサービスを開発するにいたりました。

地域の事業者さんと築いた信頼や経験あってのサービスなのですね。

糸満市は海も山もあり、多くの農水産資源に恵まれた町です。ふるさと納税事業でも、どのカテゴリーの商品も平均的に売れていたので、糸満の商品だけのECサイトでも十分成り立つと考えました。稼げる地域になることで雇用も生まれ、地域も活性化します。弊社はITを軸にした「地域商社」のような立ち位置で、地域に貢献していきたいと思っています。

EC支援サービス開発を展開し「EC専門」のIT企業へ。ワンストップ支援で顧客に寄り添う

イトストの売上は順調ですか?

イトスト単体で見るとまだまだですが、この仕組みが別の地域や自治体へ販路拡大としてECサイトを導入されるなど横展開が実現しており、プラスアルファの利益は十分出ています。
また、イトスト開発によって培ったノウハウが弊社の強みとなり、新たな「EC伴走型支援サービス」の立ち上げにつながりました。

どのようなサービスか詳しく教えてください。

ECサイトの制作から運用、プロモーションまでワンストップで請け負うサービスです。サービス内容によってあらかじめ金額を提示しており、スモールスタートからでもお申し込みが可能です。
このサービスの最大の特徴が、商品の撮影や画像加工、説明文のライティングなどの細かいことまでも請け負えることです。というのも、日本には大小合わせて20万ものECサイトがあると言われており、沖縄県内だけでも20社近くの企業が参入していますが、ほとんどが弊社ほど細かなサービスは担っていないように感じます。沖縄はITリテラシーの高い事業者さんは多くないため、直接出向いて撮影やヒアリングをするととても喜ばれます。

そこまで細かなサービスをカバーすると、人手も時間も必要になると思いますが、何か特別な対策をされているのでしょうか?

イトストも同様なのですが、もともと、ふるさと納税やイトストにて行ってきた業務をサービス化した内容です。プロモーションなどはパートナー企業と行いますが、ECサイトの構築から商品登録に関わる一切の業務を弊社で請け負うことで、事業者さんに寄り添い一緒に成長していく存在でありたいと思っています。

企業理念を変更、“ITで課題を解決”。「ゼロイチ」作業に興味がある人とともに

今後の展望を教えてください。

創業時はシステムの受託開発が主軸の事業でしたが、ここ数年は、ふるさと納税の事業から始まり、イトスト、EC伴走型支援サービスと、ECに特化した事業へのシフトを進めてきました。それにともない、従来の企業理念「人、企業との繋がりを第一に、コミュニケーション力を活用し、より良いシステムを構築する」を「ITを軸に困っている課題の解決ができるサービスを作る」と、よりECにちなんだものに変更しました。
もちろん課題解決のためには、コミュニケーション力がベースになることは変わりませんが、人や企業との繋がりを大切にしながら、よりきめ細やかなECサービスを提供し、課題解決のお手伝いをしていきたいと思っています。また、現在は沖縄内だけでサービスを提供していますが、チャンスがあれば、日本全国へ広げてみたいですね。

最後に、どのような人と一緒に今後働いてみたいと思いますか?

受託開発も弊社の事業の一つですが、今後はECに特化した自社サービスをさらに発展させていきたいと思っています。だからこそ、「ゼロイチ」で何かを生み出すことに興味があり、それに喜びを感じる方に入社していただきたいです。弊社のミッションだった「人との繋がり」を大切にできる謙虚さとともに、貪欲に自ら動けるチャレンジ精神を持った方と、ぜひ一緒にお仕事してみたいですね。

取材日:2023年9月28日 ライター:仲濱 淳

有限会社ティーダネットカンパニー

  • 代表者名:上原 秀輝
  • 設立年月:2006年4月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:システム開発(Web、スマホ・タブレットアプリ)、自社サービス開発・運営、システムインテグレーション(トータルソリューション、Webソリューション、スマホアプリソリューション)、Web制作
  • 所在地:〒901-0306 沖縄県糸満市西崎6丁目16-16
  • URL:https://www.tiidanet.jp
  • お問い合わせ先:098-880-8766

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