「クリエイティブの力で世界を変える」 CafeGroupが描く未来
CG制作にエンジニアリングと事業開発を掛け合わせ、事業の幅を広げるCafeGroup株式会社。代表の岸本浩一(きしもとこういち)さんは、モデリングとアニメーションでそれぞれ実績を重ねてきた2社を経営統合し、専門性を組み合わせて総合力を発揮できる体制が整ったといいます。
CGモデリングの専門会社として始まったCafeGroupは、どのような道を歩んできたのでしょうか。子どものころからアニメやゲームに親しんできた岸本さんに、これまでのキャリアと会社の未来について聞きました。
クリエイターの専門性を生かす会社づくり

CGアーティストを目指したきっかけを教えてください。
子どものころから、アニメや漫画、ゲームが大好きでした。中学生のときに映画『ジュラシック・パーク』やゲーム「ファイナルファンタジーVII」などに触れて、3DCGの表現に魅了されたんです。
高校時代は、家電量販店で1万円ほどの安価な3DCG制作ソフトを買って、自分でつくった作品を友だちに見せていました。本格的にCGを学び始めたのは、美術大学に入ってからです。高校時代に、その大学にはプロ向けのCGソフトを教えてくれる先生がいると知り、入学を目指してデッサンなどの受験勉強を始めました。進学後は、CG制作の勉強に打ち込みましたね。
大学卒業後は、どのような仕事をされていたのでしょうか。
新卒でCG制作会社に入り、CGアーティストとしてゲームのムービーやカットシーン、アニメーション映画などに携わりました。今はもうなくなってしまいましたが、当時使っていたソフトは「Softimage」です。約6年勤めた後に独立し、2年間、フリーランスのCGディレクターとして国内外で仕事をしていました。
そこから会社を立ち上げることになった経緯を教えてください。
あるとき、一人では対応できない規模のモデリング案件の相談をいただいたんです。それなら法人化して人を採用し、会社として引き受けようと考えました。
そうして2012年に設立したのが、日本初の3DCGモデリング専門会社、ModelingCafeです。当時の日本では、一人のアーティストが複数の工程を担当することが一般的でした。ただ、それでは一人ひとりの得意なことを十分に生かせないと感じていました。工程ごとに専門性を深める組織があってもいいのではないか、と考えたんです。
専門領域に特化すれば、クリエイターは自分の得意なことや、やりたいことに集中できます。そういう人が集まることで、会社としても技術を高めていけると思いました。ModelingCafeで手応えを得たので、2年後の2014年には同じ発想でアニメーション制作に特化したAnimationCafeを立ち上げました。
CGとエンジニアリングで広がる事業の可能性

2025年3月に2社を統合されました。統合の狙いや、社名の「Cafe」に込めた思いを教えてください。
ModelingCafeを立ち上げた当初から、いずれは各分野の専門性を組み合わせて、総合的な制作ができる組織にしたいと思っていました。そのために、まずはモデリングとアニメーション、それぞれの専門会社として実績を積み重ねてきました。その次の段階として、2025年3月にModelingCafeとAnimationCafeの2社をCafeGroupへ経営統合したんです。
「Cafe」には、国内外の優れたクリエイターが気軽に集まり、一緒に最高のものづくりを楽しめる場所にしたいという思いを込めています。一人ひとりの専門性を大切にしながら、分野を越えて協力し、チームで大きな仕事に挑める組織にしていきたいですね。
社内だけでなく、外部のパートナーや投資先の会社とも積極的に協力しながら、新しい表現や事業を生み出していきます。
現在の事業について教えてください。
CG制作を軸に、ゲーム、アニメ、映像、開発、投資の各事業を展開しています。投資事業では毎年複数の会社に出資し、事業での連携や、新しい価値を生み出すことにつなげています。会社全体で現在最も規模が大きいのはゲーム事業です。強みであるグラフィックの制作に加えて、企画から運用までゲームそのものを開発できる体制も整えています。
これまでになかった取り組みとして成長を期待しているのが開発事業です。CTO(最高技術責任者)の橋本を中心にエンジニアのチームをつくり、CGとエンジニアリングを組み合わせたインタラクティブコンテンツやアプリなどを開発しています。直近では、「Japan Mobility Show」の大手自動車メーカーの展示ブース向けに、未来の車をイメージした車両の遠隔操作とARを組み合わせた疑似試乗コンテンツの開発を手がけました。CGの制作に加え、体験の設計から実際に動く仕組みの開発・実装まで担当しています。
個人の力をチームの力に変えるために

クリエイターは、どのような体制で働いているのでしょうか。
各事業部とは別に、専門分野を持つCGアーティストが所属する「制作本部」を設けています。事業部が案件を生み出し、制作本部が制作を担う、事業と制作の2層に分かれた体制です。
約200人の社員のうち、4分の3はクリエイターです。キャラクターモデリング、背景モデリング、コンセプトアート、リグ、アニメーション、VFX、アニメCG、AIなど、専門領域ごとにチームを組んでいます。
スタッフに大切にしてほしいことは何ですか。
会社のバリューとして、「スピードファースト」「全員が挑戦者」「仕組みで強くなる」の三つを掲げています。まずは速く動き、試しながら改善していくことを大切にしています。AIをはじめ、技術が大きく変わっている時代なので、これまでのやり方にとらわれず、新しい技術や表現に挑戦してほしいと思っています。
自分が持っている知識や、仕事のなかで見つけた工夫を、周りにも伝えてほしいですね。そのきっかけとして、部署や役職を超えた交流会も開いています。自分の仕事で成果を出すことに加えて、周りの人の力も引き出し、チーム全体の成果を高められる人を評価しています。
スタッフの成長を支える仕組みはありますか。
会社が期待する能力や行動を明確にし、仕事の成果と、そこに至るまでの行動の両方を評価する制度を設けています。年初には一人ひとりが1年間の目標を立て、その後の1on1で今後の課題や目標に対する進捗を追っていきます。何を期待され、何が評価につながるのかが分かれば、本人も目標を持って取り組みやすくなります。公平に評価することと、一人ひとりの成長を会社の成長につなげることを大切にしています。
地域とともに新しい仕事を生み出す

静岡市との連携協定や、2026年4月に開設した静岡オフィスについても教えてください。
今年、静岡市と連携協定を結び、4月には静岡オフィスを開設しました。地元の企業や教育機関と協力しながら、クリエイティブやテクノロジーを生かして、地域に新しい仕事や挑戦の機会を生み出していきたいと考えています。
静岡市には多様な産業がある一方で、若い人材が東京などへ流出しやすいという課題があります。地元の産業と私たちの制作・開発の力を組み合わせることで、新しい商品やサービスにつながる可能性があると考えています。そうした取り組みを通じて、静岡でクリエイティブな仕事に携わる選択肢を増やし、地元で働きたい人が力を発揮できる環境をつくっていきたいですね。
今は現地の企業や関係者の方々とお会いして、どんな課題があるのかを聞いています。そのうえで、エンターテインメントやテクノロジーの力で何ができるかを考え、提案しているところです。
最後に、会社の今後の展望を教えてください。
会社の現状を登山に例えるなら、まだ2合目です。
これまでは、モデリングとアニメーション、それぞれの専門性を磨き、実績を積み重ねてきました。2025年3月の経営統合を経て、その制作力にエンジニアリングと事業開発の力が加わり、企画から制作・開発、事業の成長まで、一体で取り組む体制が整いました。
まず目指しているのは、日本一のCG制作力を持つ組織になることです。私たちが考える制作力とは、映像やグラフィックの美しさ、技術の高さに加え、大規模で難易度の高いプロジェクトでも、多様な専門性を結集し、チームとして高い品質を実現できる力です。
ただ、私たちが見据えているのは、その先です。磨いてきた制作力を生かして、新しい体験やサービスを自ら生み出し、多くの人に届け、事業として育てていく。そこまで担うのが、私たちの考える「クリエイティブ・テック・カンパニー」です。
エンターテインメントの最前線で培った表現力と、アイデアを形にする開発力、そして事業を構想し、実行する力。この三つを組み合わせられることが、CafeGroupならではの強みです。社内の専門人材に加え、投資先や外部のパートナーとも連携し、さまざまな産業で新しい体験やサービスを生み出していきたいと考えています。
人の心を動かす体験をつくり、事業として成長させ、次の挑戦につなげていく。そうして新しい価値を連続的に生み出すことで、「クリエイティブの力で世界を変える」というミッションを実現していきます。
取材日:2026年8月20日 ライター:カネコシュウヘイ
CafeGroup株式会社
- 代表者名:岸本 浩一
- 設立年月:2012年7月(株式会社ModelingCafeの創業)
- 資本金:1,000万円
- 事業内容:ゲーム事業、映像事業、アニメ事業、システム開発事業、投資事業
- 所在地:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町11-6 サンローゼ代官山 3F
- URL:https://cafegroup.net/ja/
- お問い合わせ:公式サイト内「Contact」ページより






