届かなかった想いを可視化し、社会に発信。震災後の福島で感じた“もどかしさ”を原動力に
福島を拠点に、ブランディング、デザイン、生成AIのテクノロジーを横断しながら事業支援を行うコンセプト・ヴィレッジ。同社は自らを、デザイン会社でも広告会社でもない“クリエイティブ会社”と定義しています。そこには、「人の想い」や「まだ言語化されていない価値」と真摯に向き合い続けてきた代表・馬場 大治(ばば だいち)さんの信念がありました。そんな馬場さんに、創業の原点から現在の事業、そして今後の展望までを伺いました。
震災後の農業の現場から見えた、“もどかしさ”が原点。ストーリーを伝え、人の心を動かす

まず、コンセプト・ヴィレッジの成り立ちから教えてください。
私の祖父母が福島で農業を営んでおり、小さい頃から農作業を手伝っていました。そこで感じていたのが、「良いものなのに、価値がうまく伝わっていない」というもどかしさです。
震災や風評被害の影響で、福島の食品や農産物が正当に評価されにくい時期もありました。「一級品なのに、届かない」。その悔しさが、ずっと胸の中にあって。だからこそ、良いものの価値をしっかり伝えることで、人の心が動く瞬間をつくりたいと思うようになったんです。2013年に創業した当初は、福島の食材を使ったお弁当のプロデュースを行いました。東京駅の駅弁や羽田空港の空弁として販売し、「生産者のストーリーが伝わると選ばれる」という手応えを実感しました。
単に商品を店先に並べるだけではなく、生産者の背景や想いを伝える。すると、人の行動が変わる。この経験が、今の事業の原点になっています。
貴社のビジョン・ミッションについてもお聞かせください。
ビジョンは「唯一無二が溢れる、カラフルな社会へ」です。すべての事業には、その人にしかない背景やストーリーがあります。それは唯一無二の価値だと思っています。
その価値を見つけ、可視化し、社会に広げていく。そうすることで、より多様性のある社会になると考えています。
一方のミッションは「未来の青写真を一緒に描き、形にする」というもの。クライアントと一緒に新たな価値をつくっていきたいと考えています。
ビジョンやミッションはこれまでに何度かアップデートしていて、その都度メンバー全員で議論しています。手段の話よりも、「どんな社会をつくりたいか」という概念を共有することを重視しているんです。
想いを言語化し、可視化し、テクノロジーで強化する

現在の事業内容について教えてください。
弊社はブランディングやデザイン、Web制作といったクリエイティブ領域と、生成AIを活用したサービス開発や社内導入支援などのテクノロジーの領域の2つの軸で展開をしている会社です。
でも、どの仕事でも根っこにあるものは同じ。「隠れた価値を見つけて、言語化すること」です。
私たちが特に重視しているのは、ビジョンやブランドをつくる上流工程です。コンセプトがぶれると、その後の施策がどれだけ頑張ってもちぐはぐになってしまう。だから最初に、ここをしっかり固めることを大切にしています。
貴社は“クリエイティブ会社”と名乗られているとお聞きしました。
おっしゃるとおり、私たちはデザイン会社でも広告会社でもなく、“クリエイティブ会社”だと考えています。Webサイト制作でもパッケージデザインでもAI活用でも、あくまでそれらは手段の一つに過ぎません。
それよりも、クライアントの事業やサービスに込められた「人の想い」や「背景」にフォーカスしています。その価値を丁寧に整理して、クリエイティブで可視化して、テクノロジーも武器に強化していく。その流れが私たちの仕事です。
弊社が“クリエイティブ会社”という表現にこだわるのは、この可視化のためにクリエイティブが必要だからです。そのため、Webサイト制作やデザインなどは、あくまでもそれを実現するためのツールだと言えます。
なぜ農業プロデュースから生成AIまでと領域を広げられたのでしょうか?
正直、意図して広げたというより、クライアントの想いと向き合ってきた中で自然と広がってきた感覚です。
例えば、ブランディングだけでは解決できない課題があります。PRが必要なこともありますし、最近では生成AIが重要な選択肢になるでしょう。でも根底にある考え方は、創業時からまったく変わっていません。クライアントの想いや熱量をお預かりして、それを形にする。そのために必要な手段を選んでいます。
企画から実装までクライアントと伴走できることが強み
他社との違いはどこにあると感じていますか?
言われたことをそのまま実行するのではなく、本質的な課題を捉えることを大切にしているところでしょうか。
例えば、Webサイト制作の相談であっても、そもそもの事業課題やブランドの整理から一緒に取り組むことがあります。
「言われたことを形にする」のではなく、「何を解決すべきか」から一緒に考えることが、私たちのスタイルです。また、課題の再定義から実装まで一貫して対応できるのが強みだと思います。
あるプロジェクトの例だと、大手企業が担当していた領域を引き継ぎ、より柔軟な形で実装まで行いました。これは、少人数のチームで動くフットワークの軽い弊社だからできることだと思います。
「心理的安全性」と圧倒的に成長できる社内環境づくりを大切に。その理由とは

組織として大切にしていることはありますか?
心理的安全性を大切にしています。 メンバーのバックグラウンドは本当にさまざまで、元保育士やアパレル出身者もいる。でも、そういう多様な視点こそがクリエイティブの源だと思っています。それぞれが安心して仕事ができる環境でないと、プロジェクトの中で本質的な答えにはたどり着けませんし、クライアントの想いは表現できません。
また、リモートワークも可能にして、家庭環境との両立も大切にしています。学びたいことがあれば研修費用の支援もする。
そう考えると、メンバー全員が圧倒的に成長できる環境にいるのかもしれません。少人数だからこそ、一人ひとりがコンセプト設計からデザイン、進行管理まで幅広く担いますが、それがかえって個人の成長を加速させているように感じています。
人の想いを大切にしながら、果敢に新しいことに挑戦
馬場さんの仕事のモチベーションは何でしょうか?
私は学生時代、文化祭実行委員で文化祭の運営に携わっていました。1時間ほどのプログラムの中で、多くの観客の感情が動き、最後には涙する人もいる。その光景を見たときに、“人の心を動かす体験には底知れぬ力がある”ということを強く感じたんです。
そして同時に、その感動の裏側にある構造や仕組みに、ものすごく興味を持ちました。人の想いやストーリーが伝わることで、心が動く。その瞬間をつくることが、今の仕事におけるモチベーションとなっています。
今後の構想について教えてください。
生成AIの活用、コミュニティづくり、DX支援——取り組みの幅はどんどん広がっています。でも、その中心には常に「人の想い」があります。
手段にこだわらず、本質的な価値を見つけて、社会に届ける。そのスタンスは、創業からずっと変わっていません。これからどんな形で新しい価値が可視化されていくのか、私自身もワクワクしています。
福島の農場で土を触っていた頃から、人の想いや価値を届けるという意味では、追いかけているものは何も変わっていないのだなと感じますね(笑)。
取材日:2026年4月8日 ライター:安齋 慎平
株式会社コンセプト・ヴィレッジ
- 代表者名:馬場 大治
- 設立年月:2013年3月
- 資本金:500万円
- 事業内容:コンセプト設計、ブランディング、グラフィックデザイン、webサイトデザイン制作、PR、プロジェクトコーディネート、ディレクション、生成AI、DX及び未来の青写真を形にするためのあらゆる業務
- 所在地:〒963-0117 福島県郡山市安積荒井三丁目497-B号 cv-studio
- URL:https://concept-village.co.jp/
- お問い合わせ先:https://concept-village.co.jp/contact/






