グラフィック2016.07.27

デザインではなく利用されている場面のイメージを提案できるのが強みです。

福岡
株式会社トンカチ 代表取締役 右寺 武志氏
HPを見るといろんなことやっている、何やら不思議な会社「株式会社トンカチ」。CG建築パースを始め、ロゴやパンフレットデザインを通してクライアントのブランド力を上げている会社です。できることをどんどん増やしたい、会社の枠組みを広げたいという代表取締役の右寺武志(みぎてら たけし)さんにお話を伺いました。

気がついたらやりたことが増えて生まれた会社なんです

株式会社トンカチ

まずは創業のきっかけを教えてください

高校の建築科を卒業後、専門学校で、当時話題になっていたSFX(特殊撮影)やCGを学びました。就職で周りが上京していく中、地元で職を探していました。

その後、地元(福岡)のN社に入社して、そこで初めてCG建築パースに触れました。4年ほど勤めましたが、バブル崩壊後で時期的に建築業界の景気も良くなく、なにより暇なことがつらくて辞めてしまいました。それから半年くらいブラブラしていたのですが、いい加減働かないとマズイな、と思って(笑)。

出だしから意外な展開ですね(笑)

Webに興味があったのでWeb業界を中心に就職活動をしていましたが、Webの実績がなく、代わりに今まで作った建築パースを見せていました。そんな中、とある会社の社長さんに「これで飯を食っていけばいいじゃないか」と言っていただき、最初は「PCを持ってないし……」「営業経験もないし……」とネガティブなことばかり話していたのですが、その社長さんから「PC(を買う資金)は親に頼み込めばいい」「仕事は紹介してやる」と言われ、マンションの広告を作っている会社を紹介していただきました。 それが独立して「kitchenspace」を立ち上げたキッカケでした。 当初は営業のやり方がわからず、電話帳を片手にとにかく電話をしたり、DMを送ったりしていました。自分でクリエイターの方を調べて突然のアポを取ったりして、業界のコトや仕事を教えてもらいました。

私達の強みは、エンドユーザーのことまで考えたデザイン。 利用してもらえるモノを提案します。

株式会社トンカチ 株式会社トンカチ

 

そこから建築パース以外のお仕事にも挑戦するようになったのはどうしてでしょうか?

しばらくは「kitchenspace」として活動を続けていましたが、CG以外の展開をしたく、屋号を「tonkati」に変更し、さらに成長できるように脱皮を考えたんです。

建築パースの仕事をいただくのはゼネコン会社からですが、その先にはお施主さま、その先にはお施主さまの建物、その先には建物を使用するお客さまがいます。 最後に使う「お客さま」のことを見据えて、ゼネコン会社や施主さまの希望に応えるパースを描かないといけない。 そうであるならば、お客さまの希望が叶うように、いろんなことを提案できたほうがいいと考えたんです。

本音はいろいろやってみたかっただけなんですけどね(笑)。 とは言え、やっぱり最初は建築パースのお仕事が多かったです。

現在は「株式会社トンカチ」として法人化し、少しずつ人数も増え、個人では手が届かなかったことまでできるようになり、ようやく動き出した感じです。 営業は苦手で断られると心が折れそうになるので(笑)、お客さまに知ってもらうための広報活動に力を入れています。

「株式会社トンカチ」の特徴や強みを教えてください

完成時に「イメージ通りのものが出来上がった」と言ってもらえるパースを提案しています。 エンドユーザーのことまで考えたイメージを心がけることで、クライアントから「パースが褒められて終わり」になることなく、利用してもらえるモノを提案できていること。これが私たちの強みです。 施主さまへ提案する時はパースの意図はもちろん、通りに配置した人物の意図まで全て説明できます。施主さまにパースだけではなく、利用されている場面を提案できるのが強みです。

海外の有名フルCG映画では、シナリオを何本も作り、いろんな学校で試写して反応がいいものを正式に公開するそうです。 そんな作り方はなかなか真似できませんが、お客さまの反応を一番大切にしているというところは私たちも同じだと思います。

福岡市内にある天神ハイム エントランス改修工事(実施例)

福岡市内にある天神ハイム エントランス改修工事(実施例)

仕事にすると変わるのは、必ず成果物がお客さんの目に触れ、 利用される・されないで評価されること。

株式会社トンカチ

今後の展望についてお願いします

幅広いことにどんどん挑戦していきたいのはもちろんですが、特にブランディングとマーケティングに力を入れたいと考えています。 名刺やロゴ、店構えやホームページなど、一つひとつのことがすべて繋がっていることなので、しっかりブランディングしていけるように、提案していきたいですね。

最後にクリエイターの方へメッセージをお願いします

きっかけは「CGが好きだからそれを仕事にしたい」でも大丈夫。 仕事にすると変わるのは、必ず成果物がお客さまの目に触れ、利用される・されないで評価されること。 自分の好きなことより、お客さまのメリットを考えたデザインが必要になります。 好き嫌いではなくお客さまや施主さまの視点でいいものをデザインしてください。

たとえばCG建築パースに人を配置する場合、「人を置いておいて」という指示を出します。 どんなお客さまがその建物を使用するのか考えて人物を選んだり、エントランス付近に人を多く配置して現実味を出したりと、ちょっとした事で見る人の印象は変わります。目の前のことだけでなく俯瞰してみて自己満足で終わらないようにしっかり考える力を身につけてください。

すでにクリエイターとして活躍されている方は、後進が安心して業界に入ってこれるように、プレイヤーで終わらずにステップアップしていける環境づくりに力を入れてください。

他には、個人的にクリエイターの仕事は農業に似ていると思っています。 お客さまに美味しいと言ってもらえるゴールを見据えること。土作りや種をまくことなど、目の前にある一つひとつの作業と、次の作業の準備、大雨や台風といった理不尽ともいえる自然環境への対応。 農業の経験で考えると自分がどの作業をしているのか、どこに繋がっているのかを見返す練習になると思います。 クリエイターに必要な「考え方」が身につくはずです。 ぜひ、みんなで農業をしましょう(笑)

取材日: 2016年6月17日 ライター: 西村樹

株式会社トンカチ

  • 代表者名(よみがな): 右寺 武志(みぎてら たけし)
  • 設立年月: 2012年8月
  • 事業内容: 建築設計支援業務・企画デザイン業務
  • 所在地: 福岡県福岡市中央区薬院3-16-27 薬院ビル4F(シェアオフィス薬院テラス内)
  • URL: http://tonkati.jp
  • お問い合わせ先:上記HPより「Contact」より
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