職種その他2015.12.02

専門家とタツグを組んだ商品開発で 顧客に最高の満足を

名古屋
株式会社ドリーム 代表取締役社長 大橋 秀男 氏
株式会社ドリームは、100人以上の様々な分野の専門家とタッグを組み、年間約80商品を開発・販売する。これまで、19万台以上売り上げた「背筋がGUUUN美姿勢座椅子」のようなヒット商品から、ユニークなアイデア商品まで累計約1200商品を開発してきました。商品開発から販売、広告まで一手に担うドリームの代表取締役社長大橋秀男氏に、ドリームのこれまでとこれからを伺いました。

1冊の本との出会いで起業の夢を実現

起業までの経緯を教えてください。

大学を中退し、数年間、プー太郎をしていました。学生時代にサッカーに打ち込んだ経験から、人生で何かを成し遂げ「覚悟を刻んだ生き様」をしたい、「生きていて良かった」という達成感を感じたいと独立を考えました。独立出来そうな成長中の業種の1つとして通信販売を考え、「いつか必ず独立します」と宣言し、22歳で通信販売会社に就職しました。

それから5年後、「独立」を実行されました。どうやって会社を立ち上げたのですか?

実は、起業した当初、どんな会社にするかも決めていなかったんです。(笑) ただ独立するということだけで、「いつ」するのかも決めていなかった。「なかなか僕の夢は叶わない」と日々悶々としていた時に、ある1冊の本に出会いました。C.M.ブリストルの『信念の魔術』という本で、「強く信じ思い続けたことは実現する」という内容でした。それなら後は、行動あるのみと思って、6か月後の8月に照準を合わせて準備を始めたところ、6月15日に会社が出来ました。

すさまじい行動力とスピード感ですね。当初はどんな事業をされていたのですか?

最初は電機屋の一角に机を置き電話線だけ引いて始めました。アパレルやアイデア雑貨などをメーカーから仕入れて卸すノーリスクの卸売業でした。当時流行した布団圧縮パックを仕入れてドラッグストアに売るなど、出来ることは何でもしました。3年間は1人で会社を切り盛りし、資金を貯めました。

同じことをやっても大手相手に勝ち目はない

社内を案内してくださった管理部の小川 咲子さん。

社内を案内してくださった管理部の小川 咲子さん。

当時は今のような商品コンセプトはなかったのですね?

まずお金がなかったので、仕入れて売って現金を回収し、やっと仕入先に払えるという感じでした。しかしそのうち、仕入先と販売先が直接取引したり、販売先が安い競合他社に乗り換えたりして……。 それで、自分たちにしか出来ない物を作って、独自性や存在価値のあるビジネスに変えていかないと会社としてやっていけないことを痛感しました。

当時の業界はアイデア雑貨を台湾などから大量に仕入れて売る大量生産時代。御社は、大手に負けないために、どんな戦略をとられたのでしょうか?

海外から仕入れる商品と自社で開発した商品の両輪で、流通手段は通信販売という独自路線を開拓しました。当時は、通販で物を売ったり買ったりすることが、マイナーな時代だったので、以前勤めた会社で学んだ知識と「如何に売るか」を考えてきた経験が活きました。 どんなコピーで、どんな写真で、どんな専門家と組んで、どのように売ったらいいかを考えて、仕入れと販売広告を同時に全て用意して提案できる強みがお客様から重宝がられました。

それが現在の事業の原点なのですね。

お客様は商品だけを見て買うわけではないんです。何か納得できる情報が必要なんです。どこで使われているとか、こんなデータがあるとか、そういう情報を元に購入を決断します。だから整体師や医師、美容関係者などの専門家の技術や知見を活かして商品を開発し、売れるためのノウハウを持つ自社で流通させるビジネスモデルを確立しました。

たとえ売れなくてもやってみる価値はある!

御社の商品には、ユニークなものが多いですね。発案は社員と専門家、どちらが多いのですか?

ほとんどは社員からです。 現在、開発に5年を費やした商品があり、いよいよ来年、販売を予定しています。私も開発に関わっている商品なのですが、お金も時間も相当かかっていて「もういい加減にしとけよ」と思いながらも、練りに練った渾身の一品です。サンプルを作り、モニターの感想を得て、ブラッシュアップして世に送り出すので時間がかかります。

"物作り"へのこだわりはありますか?

発売する商品は全て「売れる」と思って出していますが、たとえ売れなくても、世に送り出すことに意味がある商品も中にはあると思っています。ユニークでおもしろいものは、売れなくてもやってみる価値はあります。明日食うためにだけやるのではなく、ワクワクする"物作り"の醍醐味を味わいながらやることも大切だと思っています。

専門特化と社会貢献の2本柱

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主力ブランドである「ラボネッツ」について教えてください。「骨盤」をテーマにした理由は?

いろんな専門家と様々なジャンルで商品を作ってきました。その一方で、時間をかけて、マーケットニーズ捉えながら、同時に自社の強みを活かし、日本一になれるようなテーマを設定し、専門特化したのが「ラボネッツ」です。すでに、自社に骨盤関連の商品が多かったこと共同開発をした大学などの専門機関のエビデンスがあったため「骨盤」をテーマにしました。 医者に行っても腰痛の原因はよくわからないことが多いと言います。歪みが様々な症状を引き起こすこともあり、謎が多く、健康や美容において要になることから、悩みを抱える人も多いと思います。大学などの専門機関との共同開発により、社会的認知度や信頼度も獲得でき、「骨盤といえばラボネッツだね」と言われるのを目指しています。

昨年新たに「アイソシアル」という社会貢献ができるブランドが加わったとうかがいました。

「アイソシアル」は「ワタシサイズの社会貢献」がテーマです。先進国の中で日本は「女性の社会進出」と「社会貢献」が、平均より低いというデータを見つけました。「アイソシアル」の商品を使うことで社会問題に気づき、自分の幸せだけでなく他の誰かの幸せにつながる消費を促すブランドです。動物愛護のブランド「リオニマル」の商品が2015年のグッドデザイン賞を受賞し、話題になりました。他にも、お好きなカラーのリボンのプロダクトを購入するとそれぞれのカラーに割り当てられた寄付先に自動的に寄付されるリボンズプロジェクトのトートバックを展開しています。トートバックを購入すると、ピンクは乳ガンの早期発見、ブラウンは森林保全、ブルーは子供と地域の自立支援、ホワイトは途上国の妊産婦と女性を守る団体へ売上の一部が寄付されます。

2児の父だからこそ起業

ビジネスを軌道に乗せる秘訣は何だったと思いますか?

何がいいかは人によって違うと思いますが、自分の場合は、とりあえず行ってみる、やってみるというのが、成功のパターンだったと思います。 本で読んだことをとりあえず実践し起業したことは、自分にとって1つの成功体験です。「営業ってどうやるの?」と思えば営業の本を読み、経理がわからなければ経理の本を読み、時には、人に聞くこともしました。 最初の大きな取引先である九州の宅配事業会社さまは、日経流通新聞を読んで知り、電話でアポイントを取って愛知県の東海市から佐賀県まで訪ねました。すると「これまで、本州の人でうちの会社に営業に来た人はいなかった。お前はすばらしい」と言われました。それも自分にとっては、大きな成功体験で結果的に大口顧客になりました。

行動力が成功の鍵だったんですね。なぜそんなにがむしゃらになれたのですか?

起業した時、私は27歳で既に妻と2歳と0歳になる娘が二人いました。 それでも「今やらせておかないと大変だよ。歳とってからやって失敗したら取り返しつかないよ。どうせ失敗するなら早いうちの方が取返しつくよ」と奥さんを説得しました(笑)。 普通は独り身の方が起業しやすいと考えると思います。家庭があって、小さい子どももいて、おまけにお金もない……。だから起業は無理だと考えがちです。しかしそれは違います。リスクがあるからこそ、必死に考えます。リスクがなければ、何も考えないと思います。崖っぷちに立たされると、潜在能力が出てくるものです。

そんながむしゃらな大橋さんから、今の若者に対して「喝」はありますか?

先ほども言いましたように、何がいいかはその人によって違うから、自分の価値観を強制したくはないのですが、ただ、出来ないことが出来るようになったとか、そういう達成感や充実感はあった方がいいと思います。私の場合はサッカーに打ち込んで充実した青春時代を過ごせました。何かに打ち込めたことの充実感は格別です。

ずばり好きな言葉は何ですか?

「男」です。「男たる者」が好きなキーワードです。何か残したい、生きていてよかったなと思える人生にしたいと日々思います。自分の意志を達成できて、多くの人を愛し、また、愛される人でありたいと思います。人には、自我があって欲もあります。欲しい服や車を買うのもいいですが、それだけではなく、より広い視野で社会のためにという欲に進化・昇華していくことが、人としての成長につながっていると思います。 社会のためを思って会社を作ったわけではないですが、会社は社会に役立つ存在でないと継続し繁栄することはできないし、自分の欲を社会的な欲望に昇華していくのが、修行ではないかと思います。

時代は二極化へ

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今後の展望を聞かせてください。

現在、物を大量に安く集めて販売するか、自社で開発した商品を独自の流通で販売するか、という二極化が進んでいます。今後、我々は「通販会社に卸して売る」から、「自分たちで作って自分たちで売る」体制へとシフトして行きます。そのために自分たちの存在やブランドそのものを一般の人々に認知してもらえるようにしなければなりません。そこで、「プロイデア」と「ラボネッツ」、「アイソシアル」という3ブランドを強化していきたいと思っています。

現状の課題は?

今までは流通に頼っていた小売りの技術、つまりエンドユーザーへの浸透、信頼、それをいかに作っていくかです。消費者の声が聞こえてこないと、物は作れないし売ることもできません。今後は、消費者の生の声が、常に肌身に感じられる体制作りに取り組んでいきたいと思います。

具体的には?

「アイソシアル」のターゲット層を中心に、フェイスブックやツイッターなどのSNSで消費者との「つながり」を強固にしていきたいと考えています。直接販売にすることで、配送も自社で行い、お客様の生の声を聞いて、一方的ではなく双方向で、関係性を強くしていきたいと思います。また、SNSを使ってコミュニティを形成し、ブランド認知度の向上や消費者との信頼関係を構築していきます。直接、物を届けて、その後のコミュニケーションをより円滑にしていくことも考えています。 もう一つ、デザインを磨いていきたいと思っています。 個別の商品デザインはもちろんのこと、ブランドや事業そのもののデザインに注力していきます。

取材日:2015年11月12日 ライター : 望月佑香

企業名:株式会社ドリーム

  • 代表者名: 大橋秀男(おおはし ひでお)
  • 設立年月: 1990年6月
  • 資 本 金: 1000万円
  • 事業内容: 通信販売会社・生協向け商品の開発および自社商品・仕入・輸入商品の企画販売
  • 所 在 地: 愛知県名古屋市東区徳川町403番地 I・C・C クオリアビル
  • URL: http://mydream.co.jp/
  • お問い合わせ先: 本社代表:052(930)6021、プロイデア事業部:052(930)6162、個人のお客様専用フリーダイヤル:0120(559)553
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