努力をすれば才能はついてくる! 気持ちこそが結果を生み出す条件

東京
株式会社グランツ 代表取締役社長 村上倫弘氏
今回ご紹介する株式会社グランツは、テレビ番組から、CM、イベント撮影、プロモーション映像、音楽のプロモーションビデオまで、オールジャンルの映像を手がける制作会社です。BtoBを中心に、遺言映像サービス「つたえびと」で今後はさらにBtoCへの展開をスタートします。代表取締役社長の村上倫弘(むらかみ ともひろ)氏に、設立のきっかけから、映像の仕事を目指した衝撃的な体験、映像業界への貢献の夢、一緒に仕事をする人に対して求めることまで、さまざまなお話を伺いました。

ビデオカメラで映した自分をテレビで見た、子供の頃の衝撃

ドイツ語で「輝き・栄光」を表す「グランツ」。前向きな意味合いを社名に。ロゴデザインはスタッフの投票で決めた。

ドイツ語で「輝き・栄光」を表す「グランツ」。前向きな意味合いを社名に。ロゴデザインはスタッフの投票で決めた。

「グランツ」を設立されたきっかけを教えてください。

映像制作会社に所属してADから始めてディレクターとしてテレビ番組等を作っていました。当時は経営者になりたいという意識は全くなく、「映像作品を作って世の中に出したい」という気持ちだけでした。3社ほど会社を変えながら、その夢が現実化した時、「今度はもっともっと世の中のために、より良い作品を仲間と楽しみながら作っていきたい」と夢の形が変わっていったのです。それまでの会社で見てきた良い点・悪い点を「自分ならこうしたい」という気持ちが湧いて、映像制作会社「グランツ」を立ち上げました。

映像の仕事を選んだのは、どんな理由ですか?

僕が小学生の頃、ちょうどビデオカメラが普及し始めました。ある時、父親が「テレビに自分が出ることができるよ」と言ったのです。僕は「芸能人でもないのにテレビになんて出られるわけがないのに、何を言っているんだろう?」と思いました。そして父親がビデオカメラを買ってきて、僕を撮影しテレビ画面に映したんです。すごく衝撃的でした。ブラウン管に自分の姿が映るとは全く想像もしていませんでしたから。 その後、高校生の頃、「自分は何のために生まれてきたんだろう」と考える時期がありました。結局答えは見つからなかったのですが、「この時代に、ここにいた」という生きた証を残したいと思うようになりました。そう考えた時に「映像なら残せる」と、映像の専門学校に進みました。

専門学校の卒業後に、映像会社へ就職したのですか?

それが、映像関係の仕事は休みがなくハードだと聞いていたので、専門学校を卒業した時に、「まだ遊び足りないな、これ以上遊べないくらい遊んでから就職しよう」と思い、ニュージーランドへ1年間行きました。語学学校に通ったり、いろいろな場所を見て回りました。言葉が通じず、ジュースひとつスムーズに買えない自分を「小さく」感じました。文化も人間性も違う国でのいろいろな体験や考え方は、現在に活かされていると思っています。私にとって貴重な時間を過ごした後、帰国して映像制作会社に就職しました。

社名「グランツ」の由来について教えてください。名付けたのは村上様ですか?

はい、そうです。まず、前向きな社名にしたいと思いました。「グランツ(glanz)」はドイツ語で「輝き・栄光」という意味です。同じ意味でも、英語はありがちですし、日本語だとストレート過ぎる…ので、いろいろな国の言葉を探しました。その中でドイツ語の「グランツ」が一番しっくりきてこれに決めました。

幅広い仕事のための考え「一流を目指さず、超一流を目指せ」

事業内容について教えてください。

ほぼ、オールジャンルの映像を手がけています。テレビ番組の制作協力、新商品や企業紹介などのビデオ、広告代理店のためのイベント撮影、プロモーション映像制作、あとは音楽のプロモーションビデオやWeb用CMなど、さまざまです。 スタッフには、「一流を目指さなくていい。超一流を目指せ」と伝えています。超一流の人はCM、テレビなど何をやらせてもできます。幅広い範囲で仕事を受けることにより、スタッフが超一流を目指せる環境作りを構築していっています。なので、弊社の得意なことを聞かれると逆に困りますね(笑)。

ホームページで紹介されている「映像書籍」は御社オリジナルの名称ですか?

そうです、当社で名称を作りました。電子書籍が世に出始めた頃です。電子書籍に映像を組み込めば、より分かりやすい本ができるのではと思い、映像書籍を作りました。当時、アメリカの医療系の大学等では、iPadで画面をタップすると手術の映像が現れる、といった授業が行われていました。それを知って、動画と本を組み合わせれば、より理解が深まりやすいと思い制作しました。展示会などのデモンストレーションで紹介しましたが、日本ではまだiPadが普及していなくて、少し早すぎました(笑)。今後利用が増えていけばと良いと思います。

設立して苦労したこと・良かったことを教えてください。

細かい苦労はたくさんありますが、大きな苦労はないですね。思い返すと、以前、共同経営していたことがあって、その頃は経営というものが分かっていませんでした。1人で始めてから、今まであった甘えや頼っていた気持ちなどがなくなり、会社を経営する上で必要なものがたくさんあることに気づかされて、ひとつひとつ、経営者の考え方を学んでいきました。

苦労というよりも、むしろ得たものが多いのでしょうか。

「グランツ」を始めて、異業種の経営者の方々と知り合う機会が増えました。それまで経営者である友人がいなかったので、経営に関して相談できなかったのですが、同じ立ち位置の人ですと気持ちを分かってもらえます。中には男が男に惚れるような、カッコイイ経営者の方もいます。そういう方は、目標にもなりますね。

優れた人たちにお会いすると、大きな刺激を受けますよね。

いろいろな経営者が集まって運営しているNPO法人「日刊スゴい人!」というメールマガジンがあります。知人の紹介でそのメンバーの一員となり、仕事の合間に取材して記事を書いています。いろいろなジャンルのすごい人に会って話を聞く中で、どんな人が成功するのかを知ることができました。それが非常に勉強になっていて、良いことを常に取り入れながら経営している感じです。 傍から見れば苦労しているのかもしれませんが、本人は「なんとかなるだろうと」いう気持ちですね(笑)。一見マイナスのことでも、考え方次第ではプラスに転じることもありますから、ダメだと思わず「試されている機会だ」と考えるようにしています。

仕事は「人のためにするもの」。それが感謝され、自分に返ってくる

オフィスやホームページに社訓がありますね。

社訓は本来、代表がスタッフに対してこうあるべきだと伝える訓示だと思いますが、僕の中で「グランツ」は「みんなの会社」という意識が強いので、社訓は社員みんなで決めました。みんなから集まった案を組み合わせて作ったのが今の社訓です。社名のロゴマークも投票で決めました。みんなで作り上げる会社ですから、意見も聞きますし、良ければ取り入れます。「グランツ」という会社を僕が一番好きだから代表に就いているだけであって、僕以上に「グランツ」を好きな人間がいれば譲ってもいいなと思っています。

会社を運営する上で、特にどういったお考えを大切にしていますか?

面接の時などに「何のために仕事をしますか?」と聞くと、「お金のため」「生活のため」という答えが結構多いのですが、私は「仕事は人のためにするもの」だと思っています。親や兄弟、恋人等の誕生日や記念日には無条件でお祝いをして、見返りは求めませんよね。お祝いを受けた人はありがたいと感じ、今度は自分が返そうとするものです。仕事も一緒で、人のためにすることで感謝され、それが自分に返ってくるのだと思います。 自分のためだけに仕事をしていると、独りよがりな面が出てきます。映像制作はチームワークですので、周りがついてこないと良い作品は生まれません。たとえば、ディレクターが演出をする時、カメラマンに対して感謝し、自分を犠牲にすれば、カメラマンは最高の映像を撮ろうとするでしょう。そういう循環がすごく大切だと思います。

他にもご自身で大切にしている考え方などはありますか?

先ほどお話した「日刊スゴい人!」の編集長から聞いた取材を通じて得たという、成功するための法則です。成功するために大切なのは、「感謝すること」、「努力すること」、「素直であること」の3つだそうです。「感謝」も「努力」も大切です。そして、相手の話を「素直」に聞かないと自分勝手になります。確かにそうだと思っています。それらのことを守りながら仕事をしていきたいと思っています。

遺言映像サービス「つたえびと」をスタート! (2015年12月サービス開始予定)

今後の展開について教えてください。

今秋より、遺言映像サービス「つたえびと」をスタートする予定です。(2015年12月サービス開始予定)。親しい仲でも面と向かって言えないことがあるもので、それをビデオメッセージにして我々がお預かりし、亡くなってからお渡しに行くというサービスです。遺産相続は遺言を元に手続きをしますが、家族間のトラブルが多いのが実情です。生前に撮影した遺言を映像で見ると「伝わり方が全然違う」と遺産相続関係のお仕事をしている方から聞き、そういったトラブルをなくすため、お役に立てるのではないかと考えました。シミュレーションを行ったところ、故人の肉声と映像で遺言を伝えると、納得度が違ったのです。 その他に大切な人への感謝や、三回忌などの区切りにメッセージを伝えるサービスなども行います。数年前から「終活」が話題になり、需要があるのではと思い始めました。現在の仕事に加え、こちらのBtoCのサービスにも力を入れていきたいと思っています。

大切な思いをお預かりし、お伝えする。「グランツ」が新たに手がける、遺言映像サービス「つたえびと」

大切な思いをお預かりし、お伝えする。「グランツ」が新たに手がける、遺言映像サービス「つたえびと」※サービス開始前のため内容を一部変更する可能性がございます。

一番大切なのものは「気持ち」「やる気」 努力をすれば才能はついてくる

夢や抱負などを教えてください。

いつか「映像系の学校を作りたい」と思っています。今、この業界は人材不足です。若い人達の映像への興味が薄れていると感じています。映像が気軽に撮れてウェブにアップできる時代、ハードルが低くなった分、それをわざわざ勉強して職業にしたいと思う人が減っているのではないかと思います。映像業界の活性化のためにも、まずは「グランツ」という会社の価値を高めて、その先に、映像の楽しさや魅力を伝える場ができればと思っています。そうすることで、学校と働く場所を繋げたいと思います。

一緒に働く人に対して、会社としてどのようなことを求めますか?

「気持ち」の部分は大きいですね。どれだけ仕事ができる人でも「気持ち」や「やる気」が伴っていないとダメだと思います。仕事は経験値によってできる・できないという差は出てきますが、やる気がなければ向上心は生まれませんから、気持ちの面がすごく重要だと思っています。 面接の時によく説明する話があります。ある実験の話ですが、医者が同じ程度の病気の患者をA・B、2つのグループに分けて、Aには薬を、Bにはビタミン剤を渡して、決められた量・時間で飲んでください、と指示しました。数ヶ月後、具合を調べたところ、Aの方が良くなっていました。薬を飲んでいるから当たり前の結果だと思われますが、実はどちらも同じビタミン剤だったのです。

なぜ、結果に差が出たのですか?

唯一の違いは「気持ち」でした。Aの「薬を飲んでいるから、病気は治る」という気持ちが、病気を治したのです。仕事も一緒だと思います。「この病気は治るんだ」と自信を持ったAのようにこの仕事を「成功させるんだ」というポジティブな気持ちと、「ビタミン剤?治るかどうか分からないでしょう」というBのように「嫌だなあ・不安だなあ」というネガティブな気持ちで仕事をするのでは、結果が全く違ってきます。前向きな気持ちで仕事に臨むことが、いい結果を生み出すための条件だと思っています。だからこそ、「気持ち」を大切にしていきたいと思っています。

なるほど「気持ち」こそが、結果を生み出すということですね。

クリエイターには才能が必要だと言われがちですが、私は才能はいらないと思います。努力をすれば才能はついてきますし、自分次第で才能は作れるとも思います。映像を制作している最中は大変かもしれませんが、それを見た人から評価してもらえると「作ってよかったなあ」と、疲れも一気に吹き飛ぶ喜びがあります。若い人たちは、ぜひ、それを、一度体験して欲しいと思います。

取材日:2015年9月24日

株式会社グランツ

  • 代表取締役社長:村上倫弘(むらかみ ともひろ)
  • 設立年月:2006年10月
  • 事業内容:企画・演出、映像制作業務/映像制作スタッフの派遣業務/イベント・芸能興行の企画・運営業務
  • 所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-2-4 ミッテウメハラB1F
  • URL:http://glanz.vc
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より

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