WEB・モバイル2024.01.31

ゲームのように楽しく仕事が進むインターフェース。SNS型電子取引システムで業務をスムーズに

広島
スペースキャンプ株式会社 代表取締役
Eiji Fujikawa
藤川 英士

広島のスペースキャンプ株式会社は、企業のDX化を推進するクラウド製品の開発・運用を手がけています。その代表取締役である藤川 英士(ふじかわ えいじ)さんは、インボイス制度の施行を前に経営していた会社から退陣して新たに会社を立ち上げました。そんな藤川さんに、スペースキャンプが提供する新たなビジネスの形についてお聞きしました。

立ち上げ1年で複数のクラウドサービスを開発・リリース

御社の事業内容を教えてください。

弊社は企業のDX化を推進するクラウド製品の開発・運用を手がけています。デジタル技術を活用して業務効率の改善を図るサービスです。2022年10月の立ち上げからほぼ1年をかけて、幅広い業種の業務効率化に対応するクラウドサービスをいくつか製品化しました。
現在はSNS型電子取引システム「インボイスJP」を中心に、社内文書をデジタル化し、各種手続きがオンライン上で実現できる「DocuFLOW(ドキュフロー)」、社内外で使える2コーナーSNS「BIND(バインド)」などのサービスを提供しています。
さらに24年には、ビルメンテナンス業界に特化した業務効率化ソリューションのパッケージサービスのリリースを予定しています。

会社の立ち上げ前はどのようなことをされていましたか?

学生時代は大学院に進学し、6年間情報通信について学びました。卒業後は大手通信会社に就職して研究所に配属されました。検索エンジンの研究にも携わり、国産の検索エンジンを運用していました。
5年ぐらい勤めたころに全国規模だった会社が地域ごとに分割され、私は広島への配属が決まったのですが、東京で仕事を続けたくて。ちょうどITベンチャーのブームが来ていたこともあり、思い切って独立してシステムを提供する会社を立ち上げました。その会社は今も存続しています。

経営していた会社を退陣してSNS型電子契約システム開発に着手

なぜ新たに会社を立ち上げられたのですか?

数年前から構想していたSNS型電子取引システムの製品化に、本格的に取り組むためです。
もともと上場を目指して会社を立ち上げたのですが、前社は途中からある企業グループの傘下に入り、それが叶いませんでした。そのため、今度こそ上場を果たしたいという思いもあります。
グループ傘下に入る以前は業種を絞らずにBtoCの一般消費者向けシステムを開発していたのですが、HTMLの知識がなくてもWebサイトを作れるCMS(コンテンツマネジメントシステム)や、顧客管理システムといったBtoBシステムの開発を手がけるようになりました。傘下に入った後は、その情報システム部門という位置づけで、さらに企業向けのシステムを次々に開発しましたが、そこで、BtoBのシステムは何て明瞭なんだろうと驚いて。
一般消費者のニーズはトレンドもあり多様です。それを読んでフォーカスするのは難しいですが、ビジネス系のシステムなら、とにかく業務が効率化すればみんなうれしいですよね。もちろん競合が多いので特徴を打ち出す必要はありました。

「仕事が楽しくなるシステム」を提供する。直感的に操作できるUIにこだわり

 

御社の提供するシステムの特徴を教えてください。

弊社では「仕事が楽しくなるシステム」を開発しています。かんたんで安価で、使えばどんどん仕事が進んで楽しくなる。そんなメリットをお客さまに提供するため、使いやすいデザインにこだわりました。
弊社の主要製品である「インボイスJP」は、商取引をSNSのやり取りのように手軽にするシステムです。取引先とやり取りする情報はある程度決まっているので、企業ごとにビジネスに必要な情報を内包したSNSのようなネットワークが作れれば、商取引がぐっとスムーズになるのではないか。そのアイデアを形にしました。
SNSはプロフィールに相手に公開したい基本情報を登録し、相手のアカウントとつながれば、それらの情報をお互いにすぐに把握できてかんたんに請求書などの受け渡しができ、チャット感覚でメッセージのやり取りも可能です。23年12月現在、テスト版をリリースしており、取引先がそれほど多くない個人事業主や小規模事業者の方なら無料で使い続けられます。
一方でリリース予定のビルメンテナンス管理システムは、業界をぎゅっと絞り込んだ特化型のシステムです。ビルメンテナンス業は、清掃や衛生管理はもちろん、膨大な数の設備の運転保守、管理部位ごとに点検間隔の異なる設備や建物そのものに対する定期的な点検整備、警備など、業務内容が非常に多岐に渡ります。関わる業者やスタッフの数が大変多く、管理人からの報告書など、いまだに手書きの業務が残っているところも少なくありません。
弊社のシステムなら、比較的高齢者の多い管理人や警備員の方もスマートフォンで写真を交えてかんたんに報告でき、メンテナンスの間隔や業務委託先の情報なども一括して管理できます。
このシステムの開発には、マンション管理会社の傘下で培った知識と経験を生かしました。これを皮切りに、設備関係や建設関係など、ビルメンテナンスに関連する業界を中心に、特化型システムを提供できる業界を少しずつ増やしていく予定です。

製品化を前提とした受託開発で特化する業界を増やしつつ、より使いやすいシステムに

 

開発で苦労された点はありますか?

SNS型のシステムは運用ルールを決めるのが大変でした。ルールを変えると、プログラムをまた組み直す必要があるので、何回も作り直しをしてしまいましたね。
また使い勝手はテスト版で何度もお客さまに確認してもらい、修正を重ねました。例えば招待メールのアドレスを1文字間違えていて届いていなかったことがあって、サーバー側から通知を出すよう改善しました。
本来受託開発ではあまり仕様変更を認めない方がいいんですが、製品化前提で開発しているため、お客さまに寄り添ってユーザーインターフェース(UI)をどんどん改善しています。

社内の体制について教えてください。

私ともう1人の取締役が開発の指揮を執り、社員2人とともに実際の作業を進めています。企業や個人の方に外注することもあって、デザインは個人の方にお願いしました。また、営業担当のマネージャーがいます。

特化型システムを提供する業界はどのように増やしていかれますか?

ビルメンテナンスの管理システムは、製品化を前提にその業界の企業さまから委託を受けて開発しました。
別の業界でも今回同様に委託を受けてシステムを開発し、実際に使用していただきながら最適化を図ったうえで、お客さまのメリットになるシステムができた段階でリリースしていくつもりです。
私が前社で事業会社の傘下にいたとはいえ、実際の業務に携わっていたわけではありません。やはり使ってもらいながら最適化することは必要だと考えました。
ビルメンテナンス業と同様に、デジタル化が遅れている業界はほかにもあります。そうした業界から受託して共同開発すれば、一般的なシステム開発に比べ安価に受託できます。製品化が前提なのでカスタマイズの範囲には制限を設けさせてもらいますが、共同開発を依頼していただく企業さまにもメリットがある開発方法ではないでしょうか。

どこの会社でも当たり前に使われるシステムを目指して。楽しくスムーズに業務できるサポートを

ビジョンをお教えください。

この会社をずっと成長させていき、「日本中の会社がスペースキャンプのシステムを使っている」という状態にしたいですね。認められることの証として、上場を目標にしています。
お客さまには「導入して良かった」と思ってもらいたいです。そのためには、経費削減に成功するという結果を出さなければいけません。
広島で起業した理由は地元なので人脈があったことと、スキルのある技術者の単価が首都圏に比べると安いことです。広島で起業した弊社が成功することで、地元の技術者の地位向上も図りたいですね。

最後に、クリエイターに向けてメッセージをお願いします。

ビジネス系のシステムはデザインをあまり意識していないものが多いと感じていまして。使いやすさと見た目を両立するデザインを提案してもらえれば、非常に幅が広がるしお互いに面白いと思います。
デザイナーさんには感覚的なアーティストタイプの方と、理論派タイプの方の2つのタイプの方がいらっしゃると思います。仕組みや目線の動線などを理解してユーザーのクリック行動を導くデザインをしてくれる、理論派のデザイナーさんは理路整然としていてお仕事が進めやすいですね。
デザインは簡略化して何かを伝える一種の記号みたいなものだと思うんです。デザインイコール設計の一部でもあります。
日本ってゲーム文化がすごく進んでいて、あれが究極のUIだと思っているんです。あのレベルのビジネスシステムができれば、みんなピコピコと楽しく仕事が進められるんじゃないでしょうか。

取材日:2023年12月1日 ライター:進藤 真由美

スペースキャンプ株式会社

  • 代表者名:藤川 英士
  • 設立年月:2022年10 月
  • 事業内容:企業のDX化を推進するクラウド製品の開発・運用
  • 所在地:〒730-0053 広島県広島市中区東千田町1-1-6 hitoto広島ナレッジスクエア1F いいオフィス広島
  • URL:https://spacecamp.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://spacecamp.co.jp/inquiry/

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