WEB・モバイル2023.09.20

「育ててもらった」北海道へ恩返し。システム開発で誰かの「困った」を解決したい

札幌
ユニサイト株式会社 代表取締役
Norihide Kimura
木村 文秀

Web制作やソフトウェア開発、コンサルティング事業を行う札幌のユニサイト株式会社。東京出身の代表取締役・木村 文秀(きむら のりひで)さんは、大学時代を過ごした北海道の役に立ちたいとの思いから、自治体や誰かの「困った」の解決に尽力しています。会社の仕事の傍ら、美唄市の地域おこし協力隊としても活動することで、道内企業との密な関係づくりにも励む木村さんに、現在の仕事や今後の取り組みについてお話を伺いました。

町内会の役員経験を通して、社会の仕組みの課題に気付く。北海道に恩返ししようと起業

会社立ち上げまでのキャリアを教えてください。

北海道の大学を卒業後、いくつかの会社を経て、システム開発会社の営業職に就きました。その会社は東京本社を中心に事業を展開しており、北海道にもそれなりにお金は落ちましたが、全体で見るとやはり東京側に落ちるお金が多い。10年以上勤務しましたが、そうした流れを見ているうちに、もう少し地場でお金が動く仕組みづくりができないかと思うようになっていきました。

そこから独立を考え始めたのですか。

それもありますが、30代の頃に携わった町内会の役員の経験が大きかったですね。活動を通して、人の居場所づくりや高齢者の役割、生き甲斐の見つけ方など、社会の仕組みにおけるさまざまな課題に気付けました。
そうした経験から、ボランティアで自治体のアウトドア関連のコンサル業務を行うことにしたんです。1年ほど活動を続けましたが、その働きを通して、自分にもいろいろできることがあるのかなと。そのためには小規模な会社を作って小回りの利く働き方をする必要があると考え、2012年に退職し、翌年会社を立ち上げました。

東京ご出身とのことですが、なぜ札幌で起業されたのですか。

私は大学で北海道に来て、この土地に育ててもらったという恩義を感じています。ですから、北海道の自治体や困っている人の問題解決に役立ちたいと、札幌での起業を決めました。
独立後の2年間は、前の会社の外注という形で一部システム開発に携わり、同時にSES(システムエンジニアリングサービス)で売り上げを作りながら、少しずつ社員を増やしていきました。

会社全体の「人間力」を高めていきたい。「複雑な社会情勢のなかでも生き残れる人を」

どのような会社づくりを目指していますか?

「複雑な社会情勢のなかでも生き残れる人を育てたい」という思いが根幹にあります。スタッフたちには仕事を通じて、視野を広く持ち、創造力やコミュニケーション力、人間力の高い人材になってほしいと思っています。

「人間力」を高めるため、具体的にはどういった取り組みをされているのですか。

仕事のメインがWeb制作なのですが、システム開発や設計をする際、初期段階とされる上流行程のなかに、クライアントが求めるシステム内容をヒアリングし、まとめて提案する「要件定義」があります。これは非常に重要な作業ですが、北海道のシステム開発会社には未経験者が多いと感じています。相手の思いを汲み取った提案をせず、言われたものだけを作っているだけでは人間力は育っていきません。ですから弊社では、上流行程にも携われる営業をし、実際に開発に取り組むなかでスキルを磨くことを大切にしています。
実績としては、市町村や各種企業のHP制作、道内酒造のECサイト制作・運営などがあります。交換機を作っていた時代は通信制御が主でしたが、決まったものを作るメーカーが受注先になることが多く、人間力の高い人材を育てる目的とは方向性が違うと思い、今はあまりやっていません。

社内の制作体系を教えてください。

スタッフは30〜50代の男女8人で、プロジェクトに合わせてチームを組みます。社内だけで仕事が回らない場合は、協力会社からスタッフをお借りすることもあります。出勤して打ち合わせをすることもありますが、コロナ以前から基本的には在宅勤務が多いですね。出勤しないとスイッチが入らないというスタッフは会社で作業していますし、そのあたりは各自に任せています。

キャンプ場構想から地域おこし協力隊の一員に。企業との関係づくりに一役

21年から美唄市の地域おこし協力隊の一員としても活動されていますが、何がきっかけですか?

会社でキャンプ場を作って運営しようと思い立ったのが始まりです。場所探しのためにさまざまな自治体に顔を出していたら、美唄市が地域おこし協力隊としてアウトドア関連に携わる人を募集していることを知り、活動しながらキャンプ場候補地を探すことにしました。
ちなみに、なぜキャンプ場運営を思い立ったかというと、今の子どもがアナログなものを経験せずに育っていくことを危惧したからです。時代の進展により、今の子どもは生まれたときからスマホやタブレットなど、デジタルグッズに囲まれています。WebやITと聞くと最先端なイメージかもしれませんが、若い世代はそれ以前の泥臭い部分や不自由なことを知らない。それでは、仕事をするうえでも、お客さまが何で困っているかを分かってあげられないと思うんです。ですから最先端と真逆のことをやりたいなと思って。そこからキャンプ場構想が始まりました。
現在は、美唄市内を巡りながら、ちょっと不便そうな場所やペットも同伴できそうな場所を見つけてはキャンプをして、ここだ!と思える場所を探しています。

その活動は、御社の事業にも反映されているのですか。

キャンプ場事業は、現段階ではそれだけで成り立つとは考えておらず、地場企業と連動していくきっかけになればと思っています。
実際、美唄市役所では、IT会社の社長が協力隊になったということで、Webの相談を持ちかけられることもあり、現在は国のデジタル田園都市構想の一環として、紙ベースだった各種書類申込書のWeb化に取り組んでいます。
ほかにも、美唄市のふるさと納税サイト「びばふる」の運用にも携わっています。美唄市には面白い農家さんがたくさんいますので、彼らの頑張りに少しでもスポットライトが当たるお手伝いができたらなと思っています。

地域おこし協力隊終了後はどうされるご予定ですか。

この2年間で美唄市内のさまざまな企業の方と知り合いましたので、ここからさらに仕事につながっていくと思っています。

誰かの「困った」を放っておけない。迅速に対応し解決へと導く

コンサルティング的なお仕事が多いように感じます。

そうですね。最近は相手側の「ちょっと相談していい?」や、私が問いかける「何か困っていますか?」から始まって、仕事になっていくケースが多いですね。Web関連はもちろんですが、ほかにもさまざまな相談があちこちからきますので、まずは話を聞き、自分たちでできるなと思ったらマネジャーを連れてきちんと話を聞きに行きます。難しい場合は、知り合いの会社や業者さんを紹介します。そこで話すうちに課題が見えてきて、また新たな相談が生まれ、仕事につながることも多いですね。

困りごとを放っておけないんですね。

仕事を通して、いつの間にかさまざまなジャンルの方と知り合いになっていましたので、そこから寄せられる相談に乗っているだけなんです。昔、町内会にいた物知りの爺さんみたいに、何かあったらみんなが話に来るイメージですかね(笑)。とりあえず相談されたら、何かしら解決のための方法を考えます。

今後の展望、将来のビジョンを教えてください。

現在、雑音を含むデータをわずかなデータ学習で正確に識別する次世代AIのゆらぎシステムの設計に大阪大学と取り組んでおり、この先、実証実験を通して実践可能なことをある程度証明できたら、システム応用の仕方についてのコンサルティング営業をしていけるかなと思っています。大手SI(システムインテグレーター)は何億もの予算をかけられますが、私たちが関わったシステムは高性能PCくらいで作れますので、価格も抑えられて導入しやすくなると思います。
さらに、せっかく美唄市との関係も作れていますので、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも関わっていきたいですね。

社会をより良くし「誰かの居場所づくり」を。他者の“当たり前”を受け入れる姿勢を

「村をつくる」というビジョンもあるようですが。

「村をつくる」というのは、私たちが関わる方みんなが便利に暮らしていける世の中のシステムを作るということです。せっかく北海道は高いポテンシャルを持っていますので、それをうまくブランディングしたり、発信したりすることで、新たなサービスや誰かの居場所づくりができるはずです。それをお客さまと一緒に目指していきたいと考えています。

最後にクリエイターを目指す人にアドバイスをお願いします。

そうですね。“当たり前を当たり前と思わない”ようにするということでしょうか。なぜなら、その当たり前は家族のなかで幼少期から学んだことが基準になっているだけで、それは家庭ごとに違うからです。クリエイターなら特に、ほかの人の“当たり前”を聞く耳を持つ柔軟性が必要ですし、同時に自分に自信を持って発信し続けることが大切だと思いますよ。

取材日:2023年7月31日 ライター:八幡 智子

ユニサイト株式会社

  • 代表者名:木村 文秀
  • 設立年月:2013年4月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:Web制作、ソフトウェア開発、コンサルティング
  • 所在地:〒064-0810 札幌市中央区南10条西1丁目1番65号 11.CONCEPT SPERARE BLD. 7F
  • URL:https://www.unisight.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記の「お問い合わせ」へ

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP