WEB・モバイル2023.08.23

ネット広告でご縁をつなぎ、沖縄の「中小企業を助けたい」。飛行機を買うため起業した代表の夢とは

沖縄
株式会社AIENKIEN 代表取締役
Hirotaka Hiraki
平木 宏空

合縁奇縁(あいえんきえん)とは、「不思議なめぐり合わせの縁」という意味を持つ四文字熟語。沖縄の株式会社AIENKIEN(アイエンキエン)はこの言葉が示すように、インターネット広告を通じて人とモノの「縁」を広げ、つないでいくことをミッションに掲げる会社です。「まさに合縁奇縁な出会いが、この道に導いてくれた」と語るのは、代表取締役の平木宏空(ひらき ひろたか)氏。実は幼少期から学生時代までの長きに渡り、航空関連の仕事に就く夢を抱いてきたといいます。なぜまったく別の業界に足を踏み入れることになったのか。その経緯から展望まで伺いました。

将来の目標が、「航空会社に就職すること」から「自家用飛行機を持つこと」に代わった理由

まずは平木さんのキャリアを教えてください。

福岡県出身で、幼い頃から飛行機やパイロットに憧れて、絶対将来は航空会社で働きたいと思っていました。その夢をかなえるべく、今後航空の分野で必要になるであろう人工知能を専門的に勉強できる琉球大学へ進学しました。しかし在学中に始めたアルバイトをきっかけに、大きく人生が変わってしまいました。

何が起きたのですか?

AIENKIENの取締役となる中山拓也に出会ってしまったんです(笑)。アルバイトは、サイバーエージェントグループの株式会社シーエー・アドバンスというインターネット広告の会社が運営している、子ども向けのプログラミング教室の講師です。中山は当時その会社の社員で、私の上司でした。ある日彼から将来の夢を聞かれたとき、航空会社に就職して世界を巡ることだと答えました。すると「飛行機を自分で買えるようになれば、もっと自由に好きな国にいけるじゃないか」と言われたんです。それを聞いて「確かに!」と妙に納得してしまって(笑)。航空会社で働くことから、自家用飛行機を買うことが夢になりました。
その夢をかなえるためには莫大な資本が必要です。そのために自分で会社を起こして成功する必要があると感じ、まずは一度組織に入って勉強しようと、シーエー・アドバンスでインターンを始め、入社することになりました。

目指していた道とまったく異なる会社ですが、仕事内容はどうでしたか?

主な業務内容はインターネットの広告運用で、とても仕事量が多く忙しかったのですが、性に合っていたのか思いのほか楽しかったですね。私が携わった広告が「全国へ配信される」ということが何より醍醐味でしたし、配信後の分析も好きでした。
また、若い人たちにチャンスを与えようという社風があり、早い段階で新人育成やチームリーダーなどのマネジメント業務も任せてもらえました。広告運用だけでなく、組織マネジメントスキルも身に付けることができ、成長できたと感謝しています。
充実した会社員生活を送っていましたが、あくまでも私の目標は自家用飛行機を持てるような経営者になること。次のステップにそろそろ移ろうかと考えていた頃、中山が会社を辞めようと考えていると聞きました。いいタイミングだと私も辞めて、2020年にAIENKIENを一緒に立ち上げました。

インターネット広告を沖縄に浸透させるために。「小額からでも請け負います」

事業内容は、設立当初から「インターネット広告運用」一本ですか?

実は、前職でその忙しさを痛感していたので、最初はインターネット広告運用を主軸にしたくなかったんです。その代わり、広告運用のセミナーなどを開催していたのですが、上手くいかず売上的に厳しい時期が続きました。そんなとき、私の前職を知る経営者の方々から「インターネット広告を任せたい」と言われることが増え始め、やはり今まで培ったスキルを生かすべきだと思い改め、広告運用に注力することにしました。
現在3期目を迎えますが、おかげさまで知人を通じて少しずつ顧客も増え、業務の幅も広がりました。インターネット広告の運用代理とコンサルティングを軸に、ほかの代理店のサポートに入ることもありますし、必要であれば組織内で作業を完結させるインハウス化のための支援や社員教育も行っています。

御社ならではの強みや得意とすることはありますか?

少額からでも、できる限り請け負うことです。もちろんその分できることは限られますが、効果を最大化させるための施策や日々の運用、分析、レポートの提出まで一貫して、大手と遜色ないサービスを提供していると自負しています。

少額だと売上につながりにくいと感じますが、何か理由があるのでしょうか?

少額でも請け負うのは、沖縄という土地柄が理由です。中小企業が多い沖縄では、インターネット広告に対して苦手意識をお持ちの経営者が未だ多く、首都圏ほど浸透していません。そのせいで、素晴らしいサービスを作っている企業にもかかわらず、全国はおろか沖縄県内でも知られていない場合さえあり、非常にもったいないと感じます。もっとインターネット広告を利用してほしいという一念から、低価格でお受けしたり、地場に強いマスメディア系の広告代理店と組んで運用したりと、沖縄に根差したサービスを心がけています。

親切・丁寧な説明を心がけ、クライアントの満足度を高める

ほかにも、沖縄だからこそ心がけていることはありますか?

インターネット広告に詳しくない方に対して、専門的な説明はできる限りかみ砕いて行うようにしています。例えば「CPC」という言葉でも、「1クリックするたびにかかる単価のこと」、と一つ一つ細かな説明をしています。私自身、教員免許を持っていたり子ども向けの教室でバイトの経験があったりと、細かに説明することの重要性を徹底的に叩き込まれていたこともあり、相手に合わせて話すことはコミュニケーションとして当たり前。相手が理解できない専門用語で圧倒するのは間違っていますし、お客さまの満足度を高める上でも、「親切・丁寧」は必須です。
そのおかげか、長くお付き合いしているクライアントが多く、また弊社のサービスを通して、インターネット広告未経験から集客に効果が出たというクライアントもいて、うれしい限りですね。

逆に大変なことはありましたか?

沖縄に限らず首都圏にもクライアントを持っているのですが、お客さまの知識が高いケースも多々あり、より詳細な分析結果や説明を求められ胃がキリキリ痛むことも……。その分勉強にもなり、身が引き締まります。
どのようなクライアントも、もちろん結果を求められますが、この仕事の特性上「必ず結果を出します」とは口が裂けても言えません。精一杯運用を行ったとしても、広告を受け取る側、つまり消費者の状態によって結果は大きく変わります。このように、どうしても読み解けない点があるのが広告運用の難しさでもあり、おもしろさでもありますね。

インターネット広告に関する課題を打破し、県内で業界No.1へ!「沖縄の発展に寄与したい」

今後の目標や展望を教えてください。

日本には、最大手と呼ばれるインターネット広告代理店がすでにいくつもありますので、日本一を目指すことは考えていません。一方沖縄は、インターネット広告はまだ未成熟な場所なので、ここで一番になることが当面の目標です。それが達成できれば、他県にも展開していけると考えています。
「沖縄一になりたい」という根底には、やはり発信をうまくできていない多くの中小企業を助けたい、という思いがあります。インターネット広告は、紙広告より、マスメディアよりも効果的なPR方法だと信じていますので、少しでも企業の魅力を伝えるお手伝いができれば本望です。

沖縄のインターネット広告市場に対して可能性を感じるとともに、歯がゆさも感じられているのですね。

歯がゆさ、というより危機感に近いかもしれません。沖縄は昔からの付き合いを大事にする企業が多く、新しいマーケティングをしなくてもある程度はお客さんが呼べたり、売上を立てられたりする状況にありますが、今後もこの状況が続くとは到底思えません。
時代は確実に進みますので、若い世代のお客さんを獲得したり、全国に目を向けて発信したりと、新しい顧客獲得は必須のはずです。しかし未だに、インターネット広告自体に目を向ける経営者は少なく、弊社のような新参者は参入しづらい。この現状を打破したいと日々試行錯誤しているところです。「古い体質の企業」という壁は高く厚いですが、なんとかチャレンジして、沖縄の発展に寄与したいですね。

「ワクワク」する事業づくりに力。社員は「一つの駒」ではなく「ワンチーム」

「沖縄一」のインターネット広告代理店を目指すのは、自家用飛行機を所有するためでもありますか?

あくまでも個人的な夢としてはそうですが(笑)、会社の長期的な目標は、インターネット広告以外でも、ワクワクするような事業が生まれる会社にしたいと思っています。私はもちろん、社員がそれぞれワクワクできることを見つけられて、事業化できるまでをサポートできるような、広がりと柔軟性を持った会社にすることが大きな目標です。

最後に、どのようなスタッフと一緒に働いてみたいですか?

弊社は今年3期目に入ったばかりで、まだまだ成長途中です。これから先は荒波ばかりだと思うので、そんな状況を悲観せず、ワクワクしながら挑戦できる方なら大歓迎です。
広告業界は忙しいせいか、経験上、人間が人間らしくいられないというか、自分を一つの駒や部品のように感じてしまうことがあります。弊社の社員にはそのような思いをしてほしくないんです。一緒に働いている以上、全員で「ワンチーム」。皆が成長できるよう可能な限りサポートしたいですし、弊社をうまく利用して、意欲的に仕事に取り組める方にぜひ参加してほしいですね。

取材日:2023年7月5日 ライター:仲濱 淳

株式会社AIENKIEN

  • 代表者名:平木 宏空
  • 設立年月:2020年10月
  • 事業内容:インターネット広告事業
  • 所在地:〒900-0004 沖縄県那覇市銘苅3-9-22 KAキャンディービル2階
  • URL:https://aienkien.com/
  • お問い合わせ先:080-9850-9710

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