WEB・モバイル2023.06.07

北陸の魅力を日本、そして世界へ発信!若者や女性の活躍のタネをまき、地方を活性化

金沢
株式会社プロジェクトタネ 代表取締役社長
Satoshi Takahira
髙平 聡

金沢、富山を中心にWebマーケティング事業を行う、株式会社プロジェクトタネの髙平 聡(たかひら さとし)さん。マーケティングとデザインを掛け合わせる手法で、潜在的な能力があるのに広く知られていない企業やその商品の魅力を発信し、多くの人に届ける仕組みを提供しています。そんな髙平さんには、東京のインターネット広告大手企業就業時に、地方の女性の就業の実態を目の当たりにした時から抱く、社会課題への強い想いがあります。Iターンをして会社を興した契機など、今後の展望について伺いました。

働く、住む、生活する場が東京である意味を考える

東京で仕事をされていたときはバリバリ働いていたそうですね。

大学を卒業後、東京でインターネット広告の大手だった株式会社サイバーエージェントで働いていました。東京での仕事はやりがいもあり、自分の可能性を広げるためにも、全身全霊で仕事にのめり込んで熱狂しながら働いていました。
そのような中、沖縄で新規事業の立ち上げに関わる機会がありました。クラウドソーシング事業に関わり、全国各地で採用活動に携わっていた際に、地方にはフルタイムで働きたいのに結婚や出産でキャリアを諦めざるをえない状況に直面している女性が多いことに驚きました。とても優秀でありながらキャリアが途絶えてしまうのはもったいないし、彼女たちの働き方のリデザインが進めば、日本の国力も上がり、真の意味での地方活性化にもつながるのではないか、と青写真を描きました。

東京から北陸へとIターンしたきっかけを教えてください。

妻の妊娠、出産を経ても私は仕事を中心にした生活を続けていたのですが、体調を崩してしまいました。この先も今までと同じ働き方を続けていたら家庭も崩壊してしまうという危機感もあり、妻の実家(富山県高岡市)に家族で移住し、金沢の出版社に転職することになりました。人の手も借りられ、のびのびと子育てできる環境になったと思います。東京には北陸新幹線を利用すれば、すんなり行き来もできますし、今もあまり不便を感じません。

東京と地方での仕事の差は感じましたか。

東京と地方では予算の桁と、それに応じた担える仕事の範囲が異なりました。東京は予算が大きい分、壮大なプロジェクトの「一角」としてWebマーケティングを担っているという立ち位置でした。地方だと予算はコンパクトになりますが、Webマーケティングに限らずプロモーション全体や、時には経営戦略まで見据えた提案と実施が担えるため、非常にやりがいがあります。さらに、その取り組みが地方のメディアに取り上げてもらえることもあり、自分たちのやっていることが価値あるものだと実感する機会も多くあるので、モチベーションにつながります。

広告を制作する上でこだわりはありますか。

長らく広告のクリエイティブを担当してきましたが、東京にいた頃はキャッチコピーなどの文字を主に扱ってきました。現在は、文字に留まらずバナー広告、動画制作など視覚に訴えるデザインの案件も扱っていますが、文字も画像も原点は人が描くイメージをいかに見える化できるか、ということですので、そこにはこだわっていますね。シンプルにわかりやすく伝えることが大切です。広告は意識しなくても自然と目に飛び込んでくるものなので、大きなきっかけを与える可能性を秘めています。キャッチコピーが自分のアンテナに触れないと、頭の片隅にも残りません。一言でわかる、見ただけでわかる「シンプルさ」に尽きると思います。

お客さまのタネまきから花が咲くまで同じ目線で仕事ができることが喜び

プロジェクトタネのキャラクター、タネオくん

プロジェクトタネを立ち上げた経緯について教えてください。

Iターン後、出版社では、媒体の営業やポータルサイトの立ち上げに関わっていました。自分では、Webについての経験も実績も申し分ないと思っていましたが、次第に経営戦略まで見据えた提案をしているからこそ、お客さまの悩みの根底に改めて気付きました。お客さまは「Webについて誰に相談していいのか分からない」、「ホームページは作ったけど、ほかに何が必要でどう活かしていいかも分からない」と悩んでいたのです。そうした要望に対応できるよう社内でデジタル部門を設立し、対応できるように働きかけました。しかし、自分が思い描くようにはなかなかことが進まず、歯がゆさを感じることもありました。
デジタルをもっとやりたいけどできないという地元企業に対して、自分なら良い提案ができるのに、と感じていた時、北陸にはインターネットマーケティング専門の会社がほぼ無いと気付いてしまったのです。
それなら自分で「北陸のサイバーエージェントを作ろう!」と会社を設立しました。

北陸にサイバーエージェントのような会社を生み出すとは、魅力的な目標ですね。

北陸で会社を設立しようと思ったもう一つの理由は、北陸に面白い会社があれば、若者も県外流出することなく、地元で就職する人が増えるのではないかと考えたからです。
また、北陸は共働きの夫婦が多い地域でもあるので、2017年の設立当初から女性の採用に積極的に取り組んだり、今でこそ女性の働き方の当たり前になりましたが、短時間勤務や在宅勤務の併用や切り替えなどの融通も利かせたりしてきました。
現在、社員の半分はクリエイターでリモートワークをしているので、定期的に全員で集まる機会を設けて、社内のコミュニケーションが円滑に行われるよう環境作りにも工夫を凝らしています。すべては当社に関わってくれるスタッフの可能性を最大限に発揮して欲しい、やりがいや自己成長の足かせになるものから開放されてイキイキと働いて欲しい、という想いからです。

プロジェクトタネのWebマーケティングへのこだわりを教えてください。

当社は、企画、広告、マーケティングとクリエイティブの要素を使って、「誰に何をどこで届けたいか」を考えて、手法を変えて創り上げていきます。
北陸の企業は潜在能力が高いにも関わらず、自社の魅力や強みを十分に表現できていない企業が多いとも感じていました。お客さまと一緒に課題解決のタネをまき、花開くまでともに汗を流し、水をやり、その事業を愛し一緒に育てていく。そのためには日々の手入れが非常に重要となりますし、今まで培ってきた経験やスキルを風土に合わせて、落とし込んでいく必要があります。そして、「誰に何をどこで届けたいか」をより明確にし、商品の魅力や企業の強みを最大限に引き出していくことで、特に地方を進化させていきたいと考えています。Webマーケティングは華々しい世界と捉えられがちですが、実は地道な作業をコツコツと積み重ねていくことが大事な世界です。それは農作物や美しい花を育てるために、日々慈しんで愛情を注いで行く過程と似ています。

Webマーケティングでローカル企業の新しい「アタリマエ」を創る

社員総会の様子

マーケティングとデザインの関係がプロジェクトタネには重要なキーワードとなっていますね。

マーケティングは実際に見えるものではありません。その見えない部分を見える形にするのがデザインの役目だと思っています。言葉や形で具現化するためには、双方のコミュニケーションを通じて、何をどうしたいのかを突き詰めて、お互いの認識を擦り合わせしていく作業が必要になってきます。

今後どのような展望を描いていますか。

まず一つは当社を地域になくてはならないものにするということです。当社はローカルの新しい「アタリマエ」を創ることを経営理念に掲げているので、ローカルが持つ資源、ヒト、モノ、コト、情報を有効活用して日本や世界に向けて情報発信するサポートをすること。そして、デジタルを使って地方や都会の垣根を越えて、共通の社会問題に切り込んでいけたら良いと思っています。
また、世の中には「一般的」と思われていることで、まだ地方では馴染みがないことが数多くあります。地方と都会のITリテラシーのギャップを埋めていき、課題解決のパートナーとしてあり続けることで、永く必要とされる会社になることも目指していきます。

クリエイターになりたいと考える方にアドバイスをお願いします。

一つの専門分野を軸に、周辺領域を広げていくことをおすすめします。現在はインターネット技術の発展により、地方に住んでいながらもオンラインで好きなことを深く学ぶことが容易になりましたが、逆に視野が狭くなってしまうこともあります。関連する分野にもアンテナを張り、鳥居のように柱を2本にして安定させます。さらに分野を広げていく、インプットを増やしていくと、クリエイティブするときに面白い化学反応が生まれていきます。
近年AIがすさまじい進化を遂げ、クリエイティブの世界においても脅威と恐れられています。しかし、AIに指示を出すのは人です。人のクリエイティブな思考がAIの活用に大きく影響することは確かです。できないことを嘆くのではなく、柔軟に頭を使ってどんどん吸収し、良いものを受け入れ、自分で形にして発信することを楽しんでください。正解が無限にあるクリエイティブの世界、自分だけで良し悪しを決めることはありません。

取材日:2023年4月24日 ライター:高井 寧香

株式会社プロジェクトタネ

  • 代表者名:髙平 聡
  • 設立年月:2017年12月
  • 資本金:700万円
  • 事業内容:デジタルマーケティング支援事業、メディア事業、採用支援事業
  • 所在地:〒920-0024 石川県金沢市西念1-3-9 オリエルビル5階
  • URL:https://www.protane.jp/
  • お問い合わせ先:076-255-2109

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP