「企画と言葉と表現」を武器に全工程をワンストップ!好奇心が生む思想と実践

仙台
株式会社WONDERVOGEL(ワンダーフォーゲル) 代表取締役
Hiroyuki Sato
佐藤 浩幸

仙台を拠点に、広告やウェブのデザイン、CM映像、コピーライティングなどをプランニング・コンセプトづくりから制作まで「ゼロからイチ、そして100まで」責任を持って手掛ける株式会社WONDERVOGEL(ワンダーフォーゲル)。代表の佐藤 浩幸(さとうひろゆき)さんは、学生時代からさまざまなものづくりに関わり、クリエイティブの根底にある「魂」に磨きをかけてきました。東北地方の有力紙「河北新報」のテレビCM、仙台市議会議員選挙のプロモーションなど、東北をクリエイティブで盛り上げる同社。ものづくりの魂とは何か、ぶれずに仕事を全うするのに必要なことなど、佐藤さんの話にたくさんのヒントがありました。

根っからのやりたがりで、好奇心を持ったらやってみる“クリエイティブ魂”の持ち主

クリエイティブ関連のお仕事に就くようになったきっかけや経緯を教えてください。

高校3年の終わりごろから放送局でアルバイトを始めました。最初はADのような立場でしたが、自分から希望して技術や番組の企画制作、番組のカメラをやらせてもらうようになりました。大学卒業後も1年ほどそのまま放送局で仕事をしながら、フリーでデザインの仕事を受けていました。
その後、映像やデザインの仕事をしたくて、イベント会社のクリエイティブ部門に就職しました。最初はコピーライティングを任されたのですが、朝までコピーを100本書いても1本も使ってもらえない、そんなハードな時代でした。
ただその会社の社長は、会社経営のマネジメントもしっかりやりながら、クリエイティブやイベントなど、さまざまなことにも挑戦する方でした。「クオリティにもこだわらないといけない」と言い続けていた、その人の影響は大きいですね。
コピーだけではなかなか仕事が成立しませんでしたが、あるイベントのコンペで自分の企画が選ばれたことから、企画やディレクションの仕事をするようになりました。

根っからものづくりがお好きなんですね。

そもそも“やりたがり”なのかもしれません。放送局のアルバイトでも、せっかく現場にいてプロのカメラがあるのに使わないのはもったいないと勝手にカメラを操作したことで採用されたこともありました。
何かをつくりたいという思いや、その好奇心を行動につなげること。そういう面が大事だと思っていますね。

「代表の立場で会社を動かしてみたい」。会社員時代から独立心を持ち続けて

会社員から独立して2020年に会社を立ち上げた経緯、思いをお聞かせください。

会社勤めはしましたが、ずっと独立心があって、自分で何かしたいと思っていました。人から何か文句を言われたくないというのが一番ですね。
会社員のときはプロデューサーや取締役にもなりましたが、お客さまや外から見て法人の「代表」は全然違うと感じたこともあり、やはり一度は代表の立場で会社を動かしてみたいというのも大きかったですね。

いつか独立したら、どんな会社をつくりたいとイメージされてましたか。

考えてはいましたが、どんな人と会社をやるかという部分は想像できていませんでした。というのも、外部のパートナーと仕事をすることが多かったから社内スタッフでも外部スタッフでもひとつのプロジェクトに取り組む上では、違いはないと思ってたんです。
けれども、同じビジョンを持って、個々のプロジェクトだけじゃなく、会社として、チームとして同じ方向に向かえる人がいたら、すごく幸せなことだろうと思うようになりました。

プロジェクトの「魂づくり」を共有し、ゴールにつなげる

御社の得意分野、強みを教えてください。

特定の分野ではなく、何でもできます。企画・コンセプトをゼロから立ち上げ、100までしっかりコーディネートできることがワンダーフォーゲルの強みだと思っています。

その企画・コンセプトづくりを「魂づくり」と呼んでいらっしゃいますが、詳しく教えてください。

いい企画をつくっても、クライアントを含む全員で「何のために」「誰のために」を共有しながら進めないと、どこかで破綻します。目指すゴールが違えば、せっかくのいい企画も好き嫌いで選ばれることもあります。事例も含めて明文化、ビジュアル化して、全員で同じイメージを持つことがとても大事です。しっかりとした企画をつくって、最終的なアウトプットの表現、ゴールまでつなげていくことが弊社の仕事です。

社名を「WANDERVOGEL」ではなく「WONDERVOGEL」という綴りにした意味を教えてください。

「WANDERVOGEL」はドイツ語で「渡り鳥」という意味ですが、英語の「WONDER(驚き、奇跡、驚くべきもの)」を掛け合わせた造語で、「驚き、ワクワクやドキドキを届けられる集団でありたい」という思いを込めました。ワンダーフォーゲルという言葉は日本ではよく知られていますが、本来の意味や綴りを知っている人は案外少なく、話の糸口になったりもします。

1日1本企画を書いて送る。自ら発信しなければ何も始まらない

地元の新聞社や放送局と連携した情報発信なども行っていますが、どういう経緯で仕事を発注されたのでしょうか。

TikTokで新聞記事のオンライン動画を視聴する企画は、大学時代にお店をやっていたときに取材してくれた新聞記者と独立後に再会して、「信頼が担保されている新聞記事を使って若者向けの情報発信のメディアをつくりたい」と話したことがきっかけです。
さらにそのご縁から、「自分で考えたコピーを使ってほしい」と提案したら、CM制作につながったこともあります。別の部署とのつながりもでき、今いくつか仕事になっています。

仕事を待つのではなく、自分から提案して仕事になるのはすごいことですね。

プランナーや広告をつくる人たちは、製品を売り込むような営業はできないですが、「何か困りごとはありませんか」「企画をつくったので見てもらえませんか」といったことならできます。
東日本大震災後にイベントの仕事がなくなったときは、1日1本企画を書いて誰かに送ることをずっと続けていて、それがきっかけで大きなイベントをまかされることになったので、そういう企画の売り込みは大事だと思います。

SNSをサポートする別会社、株式会社SENSEを立ち上げたのはどうしてでしょうか。

これからもっとブランディングマーケティングの要になってくるのがSNSだと思いますが、それを専門でやってる会社は少ないんです。投稿の代行や運用のお手伝いをする会社はありますが、弊社はSNSで“魂づくり”をやっていきたいと思い、2020年の8月に立ち上げました。2、3年後にSNSが伸びてもっと予算をかける会社が出てきたときに、広告会社の中のSNS部隊ではなく、あくまでもSNSを熟知したクリエイティブのプロフェッショナルの会社だと言い続けていくための法人化です。

自分の納得より、結果としていろいろな人が満足することが喜び

どんなときに仕事のやりがいを感じますか。

作り手として一番大事にしなければならないのが、クオリティです。限られた時間で、できるだけ多くの検討材料を出して、納得したものを出す。これでいい、という判断基準をきちんと持てるかどうかがクリエイティブの仕事をする上でとても大事なことです。
自分が納得できるものをつくれること、それをクライアントに「いいね」と言われるのは、作り手としての面白さがあります。けれども、広告を見た人がどんな行動をとるか。お客さんが来てくれるとか、商品が売れるとか、そこまで見て初めて、やりがいを感じますね。
自分が100%納得できなくても、最終的にいろいろな人の満足が得られみんなでつくり上げたと言えたときに、本当の喜びとか楽しさがあると思います。

会社としての未来の展望や今後の計画、事業展開について、教えてください。

もともと映像が好きなので、映像の仕事の割合をもっと増やしていきたいですね。映画やドラマのようなストーリーのある映像をつくる、自社のコンテンツにも力を入れてやっていきたいと思います。
会社の規模で言うと、来年には他県に1、2カ所拠点をつくって全国的な仕事、もしくは別エリアの仕事を受けていくような体制をつくっていきたいです。さらに外国語ができる仲間も増えているので、海外でも仕事をしたいと思います。
仕事を通じて目指すゴールは、クリエイティブで世界平和をもたらしたい。我々の仕事は平和じゃないと成り立ちません。地域貢献というより、何かものづくりで平和に貢献ができると楽しいと思います。

好奇心を原動力に。「スペシャリストでありゼネラリスト」であれ

事業を展開する上で、どのようなクリエイターと一緒に働きたいですか。

ものづくりへのこだわりと素直さがある人は、素敵なクリエイターになると思います。また、自分が持つ知識にとどまらず、好奇心から手を広げることができるといいですね。
今は、ひとつの技術だけで食べていく時代ではなく、自分で企画や現場の演出、最終データの分析まで全部自分でやるクリエイターもいます。「これだけできます」「これしかできません」という人ではなく、自分の得意分野があるスペシャリストでありゼネラリストであることが、必要だと思いますし、そういう人を望みます。

最後に、地方でクリエイターや起業を目指す人にメッセージをお願いします。

どこにいても仕事のエリアはその人次第で広がるので、地方にいることをプラスに考えて取り組んでほしいと思います。
東京は遊びでも仕事でも面白いしワクワクがありますが、自分が住んでいる場所をもっと素敵にできるのがクリエイティブの力だと思います。クリエイティブを通してその土地を盛り上げることができたら面白いので、ぜひ頑張ってください。

取材日:2022年12月7日 ライター:佐藤 由紀子

株式会社WONDERVOGEL(ワンダーフォーゲル)

  • 代表者名:佐藤 浩幸
  • 設立年月:2020年7月
  • 事業内容:マーケティングおよびブランディング全般、広告・イベントの企画・演出・制作、マーケティングやクリエイティブ等のプランニング、企業スローガンやステートメント、キャッチコピー等のコピーライティング、クリエイティブディレクション、映像プロデュースおよび制作
  • 所在地:〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡1-1-1 2F WeWork内
  • URL:https://www.wondervogel.jp/
  • お問い合わせ先:Mail:

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