故郷・北海道の映像業界のレベルアップに貢献!培った技術を惜しみなく提供して全面サポート

札幌
株式会社Three-P 代表取締役社長
Yuki Nagao
長尾 有樹

「株式会社Three-P」は、東京・大阪で、映像制作、動画編集の第一線で経験を積んできた長尾有樹(ながお ゆうき)さんが、地元・北海道で立ち上げた映像制作ンサルティング・プロダクションです。「起業しようと戻ってきたわけではないのですが」と話す長尾さんですが、東京で技術の最先端を担ってきたからこそ、東京と地方との違いや、地方が抱える課題を強く感じたそう。これまでの経験から感じた課題や、それを解消するために立ち上げた新たなサービス、映像業界への想いなどをお聞きしました。

コロナを機にUターンし、地元に力を還元したいと起業

会社の事業内容を教えてください。

2021年に会社を創業してから、テレビCMを仕上げるオンライン編集、映像制作のサポートやティーチングなどを中心に行っています。映像編がほとんどで売上全体に占める割合が大きいのですが、今後は映像制作をクライアントが各社内で完結できるようにする内製化サポートをメインにしていきたいと取り組んでいます。これは企業の広告やSNS、インナービデオ(企業内で使用する動画)などで使う動画の制作をフルサポートするサービスです。企画だけでなく、機材準備、撮影、編集までの全工程をレクチャーし、ゆくゆくは短期間で質の高い映像を自社で制作できるようにすることを支援します。

長尾さんはずっと映像業界にいらっしゃるのですか?

そうですね。今まで、一貫して映像制作に携わってきました。大阪芸術大学で映像を学んだ後、大阪のデザイン事務所の動画制作部の立ち上げに3年ほど参加しました。その後は、東京のポストプロダクションに8年ほど在籍し、Autodesk Flameを使ってテレビCMの編集を行っていました。映像編集は細かく分業化されていて、私は編集の中でも主にオンライン編集(合成関係)を担当していました。2019年に退職して北海道に戻り、起業しました。

北海道ご出身なのですね。

北海道苫小牧市出身です。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに戻ってきました。起業するつもりでではなかったのですが、私と同じように東京から札幌へ戻ってきた映像業界の人たちとつながる中で、東京で培ってきた経験やスキルを地元に還元していきたいと思うようになりました。

身につけた高度な技術を持ち込み、
北海道の映像業界のレベルアップに貢献

札幌にも制作会社や広告代理店はたくさんありますが、就職しようという発想にはならなかったのですか?

札幌の制作会社で試用期間の3カ月だけ働いたこともあるのですが、物足りなくなってしまって。東京と地方とでは規模やレベルが違うことをわかっていたつもりでしたが、私が身に付けてきたスキルが存分に生かせないのはもったいないと感じました。

東京と地方とで、具体的にどのような違いを感じたのでしょうか?

思っていた以上に何もかも違いましたね。CM制作の場合、地方では予算が潤沢ではないため、規模が大きなものや技術の凝ったものはできないだろうと思っていました。しかしそれ以前に、技術的にやり方がわからない、ディレクター人材の不足により、企画として出てくるものの幅が限られているのです。
例えばローカルCMでは、BGMや効果音、テロップを付けるような単純なタイムライン編集だけで制作されているものが多く、商品の色を整えるカラーグレーディングや人物の肌修正・バレ消し・CG合成をするオンライン編集が施されているものはほとんど見ませんでした。
そこで、私が身に付けてきたスキルを持ち込むことで、北海道の映像制作技術がレベルアップするのではないか、自分がその一端を担えるのではないかと思いました。

編集技術の内製化やワークフローの改善で
どの企業も高品質な動画制作が可能になる

内製化のサポートを主軸にしたのも、北海道の映像制作のレベルを上げていきたいという思いからでしょうか?

もちろん、前提としてその思いがあります。しかしそれだけではなくて、自分たちで動画制作をすることで見る目が養われれば、「映像を良くするためにもっとこうしたいけれど、自分ではできない」というポイントが必ず出てきます。そこで我々、プロの出番が来るはずです。全体のレベルが上がれば、我々の仕事にもつながるだろうと考えたのです。
そして実際に、サポートをしている企業から、制作の依頼をいただいています。自社で制作しながら専門的な部分はプロに頼むなどして、メリハリを付けるのが理想的ではないでしょうか。

印象に残っているプロジェクトなどはありますか?

「1本の動画編集に3日かかっている」というクライアントがいたのですが、「自分が同じ
ものを作るには4時間程度かな?」と思える案件でした。適切な編集ソフトや操作方法をレクチャーしたり、ワークフローを改善したりして、劇的に時間短縮できた案件はとてもうれしかったです。適切な方法を知らないから「この作業はこのくらいの時間がかかってもしょうがない」と思い込んでいるだけで、まず王道の方法を学ぶことですぐに改善できる部分は多いです。
また、インバウンド(訪日外国人客)向けに観光動画を制作している「Visit Sapporo」では、北海道在住の外国の方が北海道を母国語で紹介している動画に、話している外国語を文字に起こして字幕テロップを入れていくという編集を行いました。聞き慣れない言語のためセリフが文法的にどこで区切れるのかもわからず、かなり苦戦しました。最初は誰にも依頼できない状態でしたが、これも効率的なワークフローを確立することで、最終的にはどのエディターでも同じように編集できるようになりました。

最先端の技術を提供することで、同業者からも頼られる存在へ

会社の強みはどんなところだと思いますか?

東京で培った最先端の技術を提供できることです。他の制作会社さんでは気付かないようなきめ細かい作り込みやサポートをさせていただいています。そのおかげなのか、同業者でもある周りの制作会社さんから相談を受けることもあります。競合ではなく、動画制作で困ったら、「Three-Pに聞いてみよう」と気軽に相談してもらえるような関係性を築いていきたいです。

YouTube動画の企画・提案で、多くの企業のレベルアップを図る

今後新たに挑戦したいプロジェクトなどはありますか?

動画制作サポートの一環として、YouTube動画の企画・提案をやりたいと考えています。すでにYouTubeチャンネルを持っている会社はたくさんありますが、もったいないなと感じる部分が見ていて多いのです。先ほども言ったように、王道の方法を知るだけですぐに改善できる部分があるはずです。

クリエイターとして、“好き”という熱意が全ての土台となる

今後、採用の予定はありますか?また、どんなクリエイターと一緒に働きたいでしょうか。

現在は案件数にバラつきがあるのですが、事業が軌道に乗ってきたら増員したいと思っています。映像編集が好きという気持ちを持っていて、新しいことに挑戦できる人、常に前向きに考えられる人と一緒に仕事をしたいですね。映像編集の技術はどんどん進化していくので、どうすればもっと効率的に、良いものが作れるのかを考え、自分で課題を発見し、学んでいく姿勢が大切です。教えるのが好きなので、採用時点の技術レベルにはあまりこだわっていません。

最後に、クリエイターを目指す人へメッセージをお願いします。

大切なのは、「好きでい続けること」ではないでしょうか。“好き”を仕事にしたいという思いで、映像編集の分野に進む人が多いと思いますが、仕事としてやっていくとなると、大変なことや嫌だと思うこともたくさんあります。でも、それを乗り越えられる人が上達し、周りをリードしていけるものです。ぜひ、熱意を持ち続けて突き詰めていってください。

取材日:2022年5月25日 ライター:小山 佐知子

株式会社Three-P

  • 代表者名:長尾 有樹
  • 設立年月:2021年3月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:映像制作、撮影サポート、ワークショップ運営など
  • 所在地:〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西3丁目6 北海道新聞本社ビル2F SAPPORO Incubation Hub DRIVE
  • URL:https://www.three-p.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://www.three-p.co.jp/contact/

 

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

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