YouTube総再生11億回超「クマーバ」を育てたノウハウで企業支援。未来に残るIPを創出
未就学児向けテレビアニメやYouTubeで親しまれているキッズ向けIP(キャラクター知財)「クマーバ」の企画・運営をはじめ、映像制作やYouTubeチャンネル運用支援、IPプロデュース事業を展開する東京の株式会社アカツキメディアスタジオ。テレビディレクターとして数々の人気番組に携わってきた代表取締役社長の樋渡 昇一郎(ひわたし しょういちろう)さんは、自社IP「クマーバ」をYouTubeやテレビアニメへと展開してきた経験を生かし、多くの企業を支援しています。今回は創業に至るまでの歩みや、自社IP開発で培ったノウハウを生かした事業展開、未来のビジョンについてお話を伺いました。
テレビ番組制作会社のディレクターからの転身

まずは、アカツキメディアスタジオの前身となる株式会社Kumarbaを立ち上げるまでの経緯を教えてください。
大学を卒業した2008年に、老舗のテレビ番組制作会社「IVSテレビ制作」に入社しました。当時自分が好きな番組が多かったことが志望動機です。そこで『ザ!鉄腕!DASH!!』のADから経験を重ね、ディレクターとして『ハモネプ』『ネプリーグ』『THEカラオケ★バトル』、そして総合演出として『ポケモンの家あつまる?』などの番組に携わらせていただきました。
その後、2017年1月にエンターテインメント事業を行う「株式会社アカツキ」に転職しました。代表取締役CEOの香田哲朗が幼馴染で、当時アカツキが新しく映像事業を始めたことがきっかけです。
それからキャラクターを制作、子会社化までの経緯を教えてください。
当時、社内で「IP(知的財産)を作ろう」という動きが出てきました。そこで、自分の強みである「映像」と、当時1歳になりたてだった我が子への視点を掛け合わせ、キッズ向けのキャラクターをYouTubeで始めようと考えました。そうして2019年5月に生み出したのが「クマーバ」です。

自社IPのノウハウを武器に、企業向けYouTube運用・アニメ制作へ事業拡大
そこから現在のようにさまざまなチャンネルや他社映像の制作へと事業が広がっていったのはなぜですか?
ありがたいことに「クマーバ」が業界内で認知されるようになり、「クマーバのようなことをやりたい」という企業さまからのお声掛けが急増したからです。「子供向けの映像を作りたい」「自社キャラクターをクマーバのようにYouTubeで展開したい」といったご相談を多くいただき、2年ほど経った頃から他社さまの映像制作も本格的に走らせるようになりました。
現在の具体的な事業内容について教えてください。
現在は、企業向けの映像制作とYouTube運用支援事業、キャラクターIPのプロデュース事業を大きな柱としています。
「クマーバチャンネル」は現在、登録者数63万人、総再生回数11億回(※インタビュー時点)と、YouTubeで多くの視聴者へ届けてきたノウハウを持っています。そのため、企業のYouTube動画制作・運用では、単に動画を作るだけでなく「どう設計して、どう伸ばしていくか」というYouTubeの運用・設計まで一気通貫でサポートしています。
テレビアニメ制作では、自社の『クマーバ』もテレビ東京系列でシーズン3を放送中(2026年6月現在)です。また、他社さまキャラクターの『ンめねこ』のテレビアニメ制作も担当しました。さらに今年、そして来年も他社さまIPのテレビアニメ化案件が複数決定しています。

ゼロからIPを育て上げたノウハウが、御社の最大の強みになっているのですね。
YouTubeを伸ばす運用力はもちろんですが、自社でゼロからキャラクターを生み出し、商品化やメディアミックスまで自分たちですべて実践してきたノウハウがありますので、企業さまから高く評価いただいています。
サンリオさんやサンエックスさんのような大手企業は別として、我々のようなベンチャー規模で、ゼロからIPを作ってマルチに展開している会社はほとんどありません。だからこそ、お声掛けいただきやすい環境にあると感じています。
ゼロから育てた『クマーバ』。ヒットのカギは“50人へのアンケート”
これまでで特に大変だったエピソードを教えてください。
やはり『クマーバ』で、“0から1”を生み出していくプロセスが一番大変でした。当時、リサーチによって「子ども向けの歌やダンス動画は再生数が伸びる」ということは分かっていたのですが、一番こだわったのはキャラクターの見た目です。
デザインは、東京2020オリンピック・パラリンピックマスコット(ミライトワ・ソメイティ)を手掛けられた谷口亮さんに描いていただきました。最初にいただいた三案の中から選ぶ際、自分たちだけで判断するのが怖かったので、ターゲットとなる子どもたち50人にアンケートを取りました。
実は最初はブルーのキャラクターだったのですが、アンケートの結果を受けて今の「黄色」に変更しました。また、「胸に星が入っているのがカッコいい・かわいい」「目がキラキラしているのが良い」といった子どもたちの意見をすべて洗い出し、細部まで妥協せずにブラッシュアップしていきました。ここで手を抜いていたら、今のクマーバはなかったと思います。
その「50人アンケート」の手法は、現在もキャラクターづくりで実践しているのでしょうか?
はい。他社さまのキャラクターを制作する際にも、必ず同じように50人規模のアンケートを取っています。リサーチを続ける中で分かったのは、「未就学児は等身が低いキャラクターを好み、少し大人っぽい等身になると好まない」という明確な傾向です。この0〜6歳向けコンテンツのノウハウは、我々の大きな強みです。
企業向けのYouTubeチャンネル(実写)において、伸ばすための苦労やポイントはどこにありますか?
最初は「伸びる動画の型」を見つけるまでに非常に苦労しました。例えば、アパレル企業のYouTubeチャンネル立ち上げ・運用事例では、当初は社員のファッションチェック動画などを配信していましたが、なかなか伸びませんでした。
しかし、約2年半前に「社員の1日に密着する動画」を出したところ、これが大ヒット。そこからは密着動画を継続的に制作する方針に切り替え、会社のリアルな雰囲気が伝わったことで、結果として採用のエントリー数が2.3倍になるという明確な成果につながりました。
YouTubeはアルゴリズム上、一つ伸びる動画が見つかれば、同じ傾向の動画も推奨されやすくなります。最初の3カ月をベースにトライ&エラーを繰り返し、最低でも6カ月〜1年ほど継続して運用させてもらえる企業さまほど、結果が出やすいと感じています。
未来に残る、おもしろいIPを創るために
今後の展望や目指している目標について教えてください。
「未来に残る、おもしろいIPを作る」というミッションを掲げています。ここで言うIPとは、キャラクターだけでなく、YouTubeチャンネルや番組、コンテンツそのものも含みます。
具体的に言えば、現在は「100のレギュラーIP、つまり同時に稼働するコンテンツを作ること」を目標にしています。
なぜ数にこだわるかというと、歴史に残り続けるコンテンツは本当に一握りだからです。『ドラえもん』や『アンパンマン』のように50年、100年と続くIPを作りたい。100年後は自分が生きていませんが、50年後なら私も生きている可能性があるので、生きている間に「50年続くIP」を打率高く残すために、今は打数を増やし、規模を拡大していきたいと考えています。
新規事業などはありますか?
今年の4月から、水面下で「ライブコマース事業」をスタートしました。TikTokにグルメアカウントを立ち上げ、生配信をしながら商品を販売する取り組みです。
現在は他社商品の販売手数料(アフィリエイト)を中心に取り組んでいますが、今後は地元の長崎県佐世保市にある水産加工会社と共同で、新しい取り組みを行っていく予定です。2026年度中に形にし、2027年度にはマネタイズを安定させたいと考えています。
求める人物像は技術よりも「素直さ」、そして「映像への熱量」

組織拡大にあたり、一緒に働くクリエイターにはどのような人を求めていますか?
大きく分けると、「素直な人」と「おもしろいものを作りたいという熱量がある人」の二つです。
学歴はまったく見ていません。経験者採用が多いからこそ、これまでの自分のやり方に固執せず、新しい提案やアドバイスを柔軟に取り入れられる素直さを重視しています。
また、おもしろいものを作りたいという気持ちが大切です。ここで言う「おもしろい」とは、単に笑えるということではなく、作品にこだわりや意図が感じられること。デザインやテロップの一つひとつにも想いを込め、「もっと良くしたい」と試行錯誤しているクリエイターには惹かれます。ポートフォリオを見たときにそうした熱量が伝わってくる人と、一緒に仕事ができたらうれしいですね。
※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。
取材日:2026年5月29日 ライター:徳永 卓司
株式会社アカツキメディアスタジオ
- 代表者名:樋渡 昇一郎
- 設立年月:2020年9月
- 資本金:5,400万円
- 事業内容:映像制作事業、オウンドメディア運用支援事業、IPプロデュース事業
- 所在地:〒141-0021 東京都品川区上大崎2-13-30 oak meguro 8階
- URL:https://mediastudio.aktsk.jp/
- お問い合わせ先:https://mediastudio.aktsk.jp/contact






