WEB・モバイル2022.12.14

「マーケティングができる県内企業を1万社に増やす!」理論を見える化し、ものづくりの街・燕市の企業を伴走支援

新潟
株式会社サマンサハート 代表取締役
Mayumi Takahashi
高橋 真由美

新潟県燕市に拠点を置き、県内の企業を中心にマーケティング支援を行う株式会社サマンサハート。代表の高橋真由美(たかはし まゆみ)さんは、美容業界で営業の仕事をされていた経験からマーケティングを勉強し起業。ものづくりの町、燕市をマーケティングでサポートするべく、伴走型支援に取り組んでいます。今後はクライアント企業のマーケティング内製化を目指しているという高橋さんに、マーケティング活動の支援を通して描く将来について伺いました。

「売上が上がるのが面白い」販促ツールを活用していた営業時代の経験が、独立の原点

高橋さんはどういった経緯でマーケティングの会社を設立したのですか?

独立前は美容業界の卸売会社に営業として勤めていました。売上が上がるのが面白くて、営業の仕事をしていたのですが、ある時、ただ商品を売り込むのではなく、お得意先のお客さまのためになる情報を見える化して共有すると、お客さまに納得して買っていただけると気付いたんです。例えば、商品を使ってくださる美容師の方々にわかりやすく伝えるために、新製品の特徴や具体的な活用方法などを図式化した資料やスライドにまとめたり、ポップを書いたりしてツールを作成していました。当時はこれがマーケティング活動だと気付いていませんでしたが、とにかく楽しくて。

意図せずマーケティング活動をされていたんですね。

そうです。そのうちに自分で販売促進やコンサルティングの会社をやってみたいという気持ちが高まり、2008年にサマンサハートを立ち上げました。最初の3年くらいは1人で活動していました。軌道に乗るまでは苦しかったです。

資格取得のため、燕市の会計事務所でアルバイトをしながら東京通い。企画に加えて伴走型のスタイルを確立

そこからどうやって軌道に乗せたのですか?

燕市の会計事務所の先生がマーケティングの講座を開いていると聞き、自分でも事業をしながら、その先生のところでアルバイトを始めました。また、マーケティングの勉強のために東京まで通い、試験を受けてアドバイザーの資格も取得しました。アドバイザーの資格取得後は、コンセプトやターゲットを明確に決めることに重点を置くようになりました。また、企画を決めて終わりではなく、コンサルティングではなく、クライアントと一緒に販売促進をどうするとか、どうやったら数字が上がるとか、ホームページをどうやって作ったらいいとか。今回の企画は、コンセプトは何で、ターゲットはどこでと、決めていくことが重要だと思ったので、そんな話をクライアントとしながら伴走していくスタイルが出来上がりました。

どのクライアントも伴走型で進めているんですか?

そうですね。動き始めると、たいていの場合はわからないことが出てきます。クライアントには本業があるので、マーケティングがおろそかになってしまわないように、私がお手伝いしています。

技術があるのに売れていない現状を打破したい。マーケティングでお客さまに「それ欲しかったのよ!」と言わせる仕組みを作る

なるほど。クライアントは新潟県内の方が中心ですか?

95%が県内の方です。起業当初は美容室さんがお得意様で、ポップやチラシを作ったり、キャンペーンの企画を提案したりするところからスタートしました。今は製造業、建築関係、サービス業関係の卸売会社など幅広いクライアントがいらっしゃいます。

どういった悩みが多いですか?

燕三条はものづくりの町と呼ばれていて、技術レベルは高いのですが、マーケティング力がないためにいいものを作っても売れていない現状があります。よくあるのは「提案の仕方がわからない」という相談。マーケティング活動をしっかりしていれば、こちらから提案する必要はないので、相手から「それ欲しかったのよ」と言わせる仕組みを作るようにしています。他にも「情報発信の仕方がわからない」といった声もあります。

具体的な事例を教えてくささい。

例えば、クリーニング店さんの事例では、技術力が高いのに、今までずっとお付き合いのあるお客さんはいるけれど、新しいお客さんが増えないと悩んでいました。そこで、お店の良さを知ってもらうために、LINE公式アカウントを用いた集客方法をご提案しました。他にも、ホームページでキャンペーン企画を立ち上げ、誘導して来店してもらう方法を考え、内容も具体的にこういう内容を書きましょうと提案。新しいお客さんを増やす、一連のご提案を企画書とともにお渡ししました。
そしてその過程で必要なSNSのコンテンツや、チラシも紙面の構成からお手伝いしてすべてを納品していきました。

リサーチ、企画立案、販売促進、アフターフォローの4ステップで、売上を上げる

現在マーケティング部門が行っている事業内容を教えてください。

大きく分けてリサーチ、企画立案、販売促進、そしてアフターフォローの4つです。
リサーチは、自社分析やSWOT分析をすることもありますし、一般市場のアンケートデータを集計して解析するサービスもあります。その結果を企画書としてまとめて、提案していきます。
企画立案は、準備からフォローアップまでを設計してご提案することです。例えば展示会に出店する場合、出品したのはいいけど、経費だけ使ってお客さまを獲得できなかったという話がよくあります。本気でお客さまを獲得するなら、準備から当日の動き、フォローアップまでの設計が必要です。
販売促進は、企画書やポップ、SNS、さらに、会社の見学会や新製品展示などを使って集客をしていくこと。活動内容を明確にし、どうやって売り込んでいくか企画を立案します。
以上の3つをどこまでやったら結果が出たのか、その場で感動して終わってしまうことも多いんです。成功事例を繰り返しできるようにしたら売上アップにつながるので、そのためのアフターフォローがあります。

クライアント社員へマーケティングの勉強会を開催 赤字企業が一転して黒字化

特に印象的だった案件を教えてください。

赤字だった防水業者さんは、これまでのマーケティング活動の中で一番の成果だと思います。基本的なマーケティング活動のサポートを中心に、展示会の企画や社員さんに向けたマーケティングの勉強会も伴走型で行いました。今も成長し続けている企業です。

クライアントの社員さんに向けた勉強会も実施されているんですね。どういった内容ですか?

どこかに集まっていただいて開く勉強会ではなく、対象企業に私たちが個別に訪問し、4〜6ヶ月ほど時間をかけて行います。参加してくださった社員さん1人1人が実際に企画を立て、売上を上げることで、マーケティングを実践しながら覚えてもらいます。
クライアントはマーケティングの部署が設置されている企業よりも、マーケティング担当者がいない方が多いので、勉強会を通して最終的には会社の中でマーケティングを内製化してもらいたいと考えています。

この仕事をやる上で何が一番難しいですか?

クライアントが求めているものとこちらの提案を一致させることです。マーケティングは日々の継続によって効果が出るものですが、やっぱりすぐ売上が欲しい。クライアントはマーケティングのノウハウが知りたいのではなく、結果が欲しいんです。なかなか結果が出ないと提案とは違う活動をされてしまうこともあります。

その場合、どうしますか?

違う方向性の視点を持っているはずなので、そこだけを聞き出します。例えば、SNS運用の提案に対して、チラシがいいと言われた場合、なぜSNS運用ではなくチラシを出そうと思っているのか、チラシに対して何の効果を求めているのかなど。そういったところを聞き出して、クライアントが求めているものを把握します。クライアントのリサーチ、分析が先になりますね。マーケティングは顧客心理に合わせて行うものなので、相手がどんな状態なのか分析し、改めて攻め方を考えていきます。

需要の高まりを受け、SNSマーケティングにも注力。SNSは明確な目的を立てて使い分ける

特に力を入れている事業はどれでしょうか。

今はやはりSNSのマーケティングが大きくなってきていますね。ものづくりをしていると、SNS用の文章作成まで手がつけられず、情報発信がおろそかになってしまうことが多いのです。情報発信はこまめにやると、営業に行かなくても連絡が来るので大事です。情報発信が今一番やりやすいのはSNS、あと広告ですね。

SNS運用は、なかなか結果が出なくて悩む企業さんが多い印象です。何かアドバイスはありますか?

SNSは種類や活用方法が増えてきたので、「誰に何を売るか」を決めてから運用することが重要です。目的を持たずとにかく始めるのは、ほぼうまくいかなくなってきているのではないかと思います。
また、Facebookは応援してもらう方法にする。Twitterは告知をする投稿にする。Instagramは商品紹介の写真をメインにした投稿にする。というように使い分けるのもポイントです。

結婚や出産、育児など女性ならではのライフイベントの中でも、うまく活動できる会社にしたい

一緒に働く方には何を求めていますか?

まずは人の話を素直に受け入れることと、笑顔を心がけることですね。マーケティング業務は幅広く、すぐに理解するのは難しいですが、素直さがあれば、知識や技術はあとからついてきます。そして、自分の生活も豊かにしていきたいと考えられる人になってほしいですね。

この先、どのような会社にしたいですか?

弊社の社員は女性だけなので、結婚や出産、育児など女性ならではのライフイベントがある中でもうまく活動できる会社にしたいです。自分の考えできちんと数字を上げられ、仮に違う会社へ行ったとしても、身につけた力を活用できる社員を育てていく必要があると思っています。

新潟県内の企業を中心に、マーケティング活動ができる企業と店舗を1万社に増やしたい

今後、やりたいことは何ですか?

「マーケティング活動ができる企業と店舗を1万社に増やす」という目標を掲げています。新潟県内の店舗さんとか企業さんに、マーケティング活動が落とし込まれて、ゆくゆくは内製化して自分たちで動いていけるようになってもらうのが私たちの理想としているところです。
そのためにも、マーケティングプランナーやアドバイザーの養成講座の立ち上げを考えています。これまでは多くの企業で営業担当がマーケティング業務を兼務していましたが、最近はマーケティングを専門に行う人や部門が増えてきました。営業部門とマーケティング部門がより連携できるような講座を考えています。

最後に、クリエイターの方にメッセージをお願いします。

クリエイターの仕事は相手のことを考えたり、自分のことも調整したりと、バランスが必要で大変ですよね。好きなことだからと根を詰めて一生懸命やる人が多いからこそ、ちょっとした楽しみを見つけられるといいと思います。

取材日:2022年11月10日(オンライン取材) ライター:坂本 彩

株式会社サマンサハート

  • 代表者名:高橋 真由美
  • 設立年月:2008年10月 2012年12月株式会社へ変更
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:各種マーケティング支援サービス、ジェルネイル専門店「ハートネイル」運営
  • 所在地:〒959-0215 新潟県燕市吉田下中野703-4
  • TEL:0256-92-3724
  • MAIL:
  • URL:https://samanthaheart.com
  • お問い合わせ先:https://samanthaheart.com/contact/

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