WEB・モバイル2022.07.27

テクノロジーの力で人生にワクワクを 未来に挑戦する人を支える「縁の下の力持ち」

広島
株式会社アンコード 代表取締役CEO
Minoru Maruta
丸田 稔

「テクノロジーを使えば、より人間らしいクリエイティブな時間が増える」。そう話すのは、広島を拠点にスマートフォンアプリやWEBアプリ開発などを行う株式会社アンコードで代表を務める丸田 稔(まるた みのる)さん。中小企業診断士の資格を持ち、この世にない価値を作る人の「挑戦」を支援する丸田さんに、起業からこれまでのこと、将来の夢について話を伺いました。

ミュージシャンからエンジニアに転身 得意のプログラミングで起業

これまでのキャリアを教えてください。

実は僕とコンピュータの付き合いは長くて、4、5歳の頃から親しんでいました。コンピュータはマイクロコントローラを略した「マイコン」とか呼ばれていた時代で、プログラムも言語ではなく0と1の2進数だけで表現していた頃ですね。プログラムを書くのは好きでしたが、大学卒業後はその道には進まず、プロのミュージシャンを目指して活動していたんです。作曲などでそれなりに収入は得ていたのですが、30歳になるのを機に定職に就こうと思い、転職しました。かつてアルバイトでお世話になっていたIT企業に、エンジニアとして就職しました。

珍しいご経歴ですね。また就職後になぜ独立しようと思われたのですか?

仕事にやりがいは感じていましたが、エンドユーザーの顔が見えないことがとても残念だったんです。公官庁など大手の仕事が主で、種子島宇宙センターのロケット発射や、ダム放流ゲートの開閉などのプログラム開発に関わっていたので、案件がどれも大きすぎました。
もっと顧客の顔が見える仕事がしたいと思っていた矢先に、知人から誘われて、アプリ開発やWebサイト制作の会社を共同で立ち上げました。しかし結局、方向性の違いからその会社も離れることになり、2015年に自分一人でアンコードを設立しました。

経営に強い中小企業診断士を取得 お客さまの戦略まで踏み込んだ提案ができるように

中小企業診断士の資格をお持ちと聞きました。難易度が高い資格ですが、いつ頃に取得されたのですか?

資格試験に合格したのは、アンコードを立ち上げた2年後ですね。知人と会社を立ち上げた時に、エンジニアとしての経験や技量はあっても、それだけでは経営はできないと考えるようになり、3年かけて取得しました。

資格を取得されてから、変化はありましたか?

視野が広くなりましたね。自分の事業はもちろんですが、顧客の事業についても客観的に見られるようになりました。それゆえ、顧客への提案の仕方も変わり、成長戦略や経営計画に合った最適な策を提示できるようになりました。最近では「サイトを作りたい」などの具体的な相談より、「ちょっと、話を聞いてあげて」と紹介をいただいて、お付き合いが始まる顧客が増えています。

この世にない価値を作る人の「挑戦」を支援 対面で関係性を構築

現在の事業内容を教えてください。

アプリやWebサイトの制作だけでなく、新規サービス開発の企画からマネタイズまでを経営コンサルティングしています。僕が中小企業診断士として経営のアドバイスできるのが最大の強みですが、スタッフ全員エンジニアなのでワンストップで丁寧にサポートできるのも我々の会社の特徴です。
例えば自社で開発しているのは、塾などで活用していただいている入退室管理システム、ECサイトのカートシステムの開発や、データ分析サービスなどです。最近では、まだITの導入が進んでいない分野にも、新しい技術の導入を進めています。
中でも力を入れているのはデータ分析サービスで、将来はその積み上げてきたデータを活用することで、顧客のニーズに最適な提案ができるようにしたいと考えています。

顧客との関係を築くうえで、大切にしていることはありますか。

心から応援したいと思える人の仕事を選ぶようにしています。その時に大切にしているのは、県外など遠方だったとしても必ず対面で話すことです。会って話すことで分かることってたくさんありますからね。その人となりを知って、仕事をするかどうかを決めています。
僕が仕事を決める時は、儲かるかどうかはあまり重視しません。既存のビジネスよりもイノベーションを感じる「次に来るようなビジネス」や「今までにない価値を生むビジネス」を生み出す人かどうかを見極めるようにしています。
イノベーティブなビジネスや人に出会えると、ワクワクして応援したくなるんですよね。そして、イノベーションそのものに関わるよりも、もっと縁の下の力持ち的な支援を僕はしたいと考えています。新しいことに挑戦する企業の体力をつけてあげるというか。

テクノロジーを使えば、より人間らしいクリエイティブな時間が増える

具体的にどのようなことですか?

テクノロジーで顧客の悩みを解決しています。業務を改善したり、属人化している仕事を誰でも扱える状態にしたり。テクノロジーの力で業務の無駄をなくして、それによって生まれる時間をクリエイティブな時間として使えるようになったらいいじゃないですか。
その時間の使い方は、将来の事業について考える、カフェに行ってお茶をする、運動をする、友人とおいしいものを食べる、なんでもいい。より人間らしいクリエイティブな時間を過ごして、人生を楽しくすることがイノベーションだと思っていますね。

ほかに大切にされていることはありますか?

初めの提案に固執せずに顧客にとって必要なものを作ることでしょうか。通常であればヒアリングをして「これを作りましょう」と決まったものを制作していくのですが、我々はそこにこだわっていないんですよね。制作していく中でコンセプトなどの方向性が変わったとしても、柔軟に対応するので、当初の予定とは違うものができることもよくあります。顧客にとって最善のものをお渡しできているという自負もあります。
あとはできるだけデザインも機能もシンプルにすること。例えばWebサイトでは、「なんでも」は搭載しません。ターゲットに合わせた必要な機能だけにそぎ落とすようにしています。実はこれって、なんでも搭載するより難しいんですよ。
「使いたくなるものになっているか」も大切にしています。見た目や使い心地がいいと、ワクワクして使いたくなるものです。ワクワクできる感覚を大切にしたいんです。

優秀なエンジニアを増やして世界を豊かにするために、未経験者も歓迎し教育に力を入れる

スタッフは何名いらっしゃるのですか?

現在社員は6人、他にパートで手伝ってくれているスタッフもいます。起業してから3年目ぐらいまでは1人でやっていたのですが、「もっと得意なことに注力したい」と考えるようになり、社員を増やしていきました。
やはり1人で生み出せるものには限界があります。仲間が増えるとできる仕事も増えましたし、個々のスキルが上達すると、仕事の幅も広がりましたね。うちは全員がエンジニアですが、未経験から始めた人がほとんどです。僕もイチから教えますし、社員間で教え合う文化も定着しているので、未経験から始めても問題ないです。

未経験者を育てるのは大変ではないですか?

優秀なエンジニアを増やして良い仕事が生み出される方がいいじゃないですか。エンジニアはこれからもっと必要とされる職種だと思っていますが、業界としてまだまだ優秀な人が足りていないのが現状です。人材を増やすことで、世界のクリエイティブの底上げができればいいなと考えています。スタッフにはこのままうちでスキルアップしてもらってもいいし、独立したい、他社で働きたいというなら応援したいですね。

「楽しい」を見つけて豊かな時間を過ごすことが、クリエイティブを育む

一緒に働くスタッフに期待することはありますか?

無理をせず楽しんで仕事をしてほしいです。制作会社は締め切りや時間に追われるようなイメージがありますが、当社はそうでもなくて。残業しても19時ぐらいまでとかなんですよ。比較的、時間に余裕もある会社だと思うので、その時間を活用して勉強してほしいという思いです。会社でもTOEIC、情報処理、中小企業診断士に関する勉強には助成金を出して、応援する体制は整えていますが、それ以外でもなんでも学べばいいと思っています。

最後にクリエイターへのアドバイスをお願いします。

よく寝てください(笑)。作業に追われるのではなく、おいしいものを食べたり、ワインを飲んだり。自分の「楽しい」を見つけて、豊かな時間を過ごしてほしいと思います。一見無駄のように思える時間が、クリエイティブを育みます。そして、こんな世の中があったらいいな、そのためにできることはあるかなと自分の頭で考えてください。もう一歩先の未来を描いて、仕事を続けてほしいと思います。

取材日:2022年6月8日 ライター:山名 恭代

株式会社アンコード

  • 代表者名:丸田 稔
  • 設立年月:2005年8月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:Webサービス開発、アプリ開発、システム開発、サービス開発コンサルティング
  • 所在地:〒730-0812 広島県広島市中区加古町13-2
  • URL:https://uncode.co.jp/
  • お問い合わせ先:082-533-6961

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