テレビCMからVRまで。約50年にわたって広島で映像を制作してきた総合プロダクション、イマジン

広島
株式会社イマジン 代表取締役社長
Youichi Sakamoto
坂本 陽一

2022年で創立52周年を迎える株式会社イマジン。テレビ局の現業部門として設立され、現在はテレビCMからVRまで、幅広い種類の映像制作を行なっています。広島にまだ数えるほどしか映像制作会社がなかった頃から、最新の機材をいち早く導入し、品質の高い映像を作り続けてきました。今回は5代目社長の坂本陽一(さかもと よういち)氏に、現在の事業内容や、2021年から取り組み始めたVR映像の活用、若手クリエイターへのメッセージを伺いました。

 

テレビ局の現業部門から総合プロダクションへ

会社設立の経緯をお聞かせください。

弊社は、株式会社広島ホームテレビ(テレビ朝日系列)の現業部門を担当する会社として、1970年に設立されました。現業部門とは制作・放送において現場での実務を担うセクションで、主にカメラマンやディレクターなどの人材を局に配置しています。1980年代にはMA室(音声の収録・編集スタジオ)を新設し、事業の幅を拡大。CMや企業ビデオなどの各種映像制作を行う総合プロダクションになりました。

現在の事業内容を教えてください。

テレビCMや企業ビデオ、採用活動を促進するための動画、イベントで使用する動画などを制作しています。 企画から携わり、収録・編集すべてを担うこともあれば、同業のプロダクションから編集とMAだけを依頼される場合もあります(ポストプロダクション業務)。

 

50年分のノウハウと細やかな画づくり

2022年で創立52周年とまさに老舗ですね。そんな御社の強みは何ですか?

お作りする映像の、クオリティの高さです。30年ほど前まで、動画編集は非常に特殊な仕事でした。パソコンではなく専用の編集機を使い、素材が収録されたビデオテープを別のビデオテープにダビング(複製)しながら、テロップを入れるなどの作業を行なっていました。

一方、現在は、パソコンと編集ソフトが普及し、編集作業が簡単に行える時代になっています。スマートフォンでも、合成や、スタビライザーを使った撮影が気軽にできますよね。

そういった時代だからこそ弊社では、50年間の経験の蓄積を活かし、簡易な撮影・編集方法で作られる動画とは一線を画す品質の高さにこだわっています。

「高い品質」とは、どういった部分のことですか?

端的に言えば「画質」と「引き出し」です。最新の機材と質の高いレンズで美しい映像を撮り、それを編集者が持つ豊富な引き出しで、よりよい形にする。「引き出し」は、よりわかりやすい映像にするために任意の効果を入れるなどの編集ノウハウのことです。また「画づくり」を細部まで突き詰めることも、プロの仕事だと思っています。例えば、画面の中でさびしいところに木を植えたり、花を添えたり。誰も気づかないかもしれませんが、そういった細かい部分まで、絵を描くように「画づくり」をしています。

お仕事の楽しいところや、逆に大変なところはありますか?

制作はいつも大変ですが、業務を通してさまざまな業種の企業と関われたり、普段会えないような人にお会いできたりするので、毎回充実しています。一般的に思い至りにくい種類の「大変さ」で言えば、実際の撮影以外の細やかな実務作業でしょうか。ロケハンやスケジュール調整、衣装や小物の準備……特に、映像に映り込む雑貨の製作が大変です。背景に置かれる雑誌や小道具として使われる食品パッケージなどは、すべて架空のものを製作する必要があって。また、子どもたちが出演する場合は、服や持ち物にキャラクターがプリントされていないかを厳重に確認します。

 

VR事業に参入

今後の展望をお聞かせください。

2021年初夏に360°カメラを導入し、AR・VR映像の制作に取り組み始めたところです。例えば、山間部にある資料館からのご依頼で、利用者が家に居ながら館内を見学できるVR映像を制作しました。将来的には、任意の資料の前に(VR上で)立つと、その資料に関する情報が映像で流れる仕組みを作りたいです。こういったVR映像は、これからさまざまなホームページに実装されていくと見込んでいます。弊社の映像制作技術を生かして、貢献していきたいです。

一緒に働く人に求めることは何ですか?

「まじめにふざける」姿勢です。特にテレビCMは何度も目にする映像なので、見た人が「ふふっ」と笑ってくださるような内容にすることを心がけています。映像制作は大変なことも多い仕事ですが、制作者の姿勢は作品に反映されるので、どうか楽しみながら仕事に臨んでほしいです。

貴社のリクルートページに、「人間が武器(と言えるほど、従業員一人ひとりがかけがえのないプロフェッショナルである)」という記述がありますが、高いプロフェッショナル性を身につけるためには何が必要でしょうか?

コミュニケーション力と情報収集量だと思います。企画の方向性を探ったり、新たな表現方法を提案したりするためには、コミュニケーション力が必要です。また、流行りのCMを例に挙げてのご依頼もたびたびあるので、トレンドの変化に敏感であること、アンテナを立てて情報感度を高くしておくことも必要です。

若手クリエイターへのアドバイスをお願いします。

録画したドラマのCMを飛ばさずに観たり、新聞のチラシを分析的に眺めてみたりするといいですよ。その時々のフォントやデザイン、広告の流行がわかると思います。日々の暮らしの中で、自分が興味のある分野について少し丁寧に見る習慣をつけてみてください。

取材日:2021年12月9日 ライター:甲斐 寛子

株式会社イマジン

  • 代表者名:坂本 陽一
  • 設立年月:1970年8月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:テレビ・ラジオCMの企画・制作、各種企業ビデオの企画・制作、イベントの企画・制作・運営
  • 所在地:〒733-0002 広島市西区楠木町2丁目1-22 東洋ビル4F
  • URL:https://re-imagine.co.jp/
  • お問い合わせ先:082-230-1010(代)

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP