WEB・モバイル2021.04.28

SNSの可能性を信じ情熱とアイデアでサービスを生むtrevary

沖縄
trevary株式会社
Shinichiro Kinjo
金城 辰一郎

2010年代からSNSの世界に魅了され、SNSと動画を使った新しいサービス「trevary(トレバリ)」を作るまでに至った金城 辰一郎(きんじょう しんいちろう)さん。社名を「トレバリ」に変更するほど、その事業に集中しようとした矢先、新型コロナウィルスの影響で事業の成長がストップしてしまいます。

しかし挫けず新たなサービスをスピーディに立ち上げ、リリースした金城さんの、尽きることのないバイタリティと情熱の源泉を探るべくお話を伺いました。

 

社名を新しいサービス「trevary」に変更して事業を一本化

御社を設立されるまでのキャリアを教えてください。

大学進学を機に上京し、卒業後は東京のIT業界でWEBマーケティングに携わりました。その後フリーランスを経て2013年に設立したばかりのBASEに入社し、マーケターとしてさまざまなプロジェクトを立ち上げて会社を拡大させました。そこで自分だけの力でゼロから新しいプロダクトを作りたいと感じ、独立したのです。私は「SNSマーケティングの専門家が多い東京より、沖縄の方がスキルを発揮できる機会が多いのでは」と思い、Uターンして「オキナワアイオー」という株式会社を設立しました。主に沖縄の大手企業からオウンドメディアの制作やSNS運営を受託していましたね。

なぜSNSマーケティングを得意とされているのですか?

SNSの無限の可能性に魅了され、自分なりに研究を続けた結果だと思います。学生の頃にSNSが流行り始め、どっぷりはまってしまったんですよ。SNSがあれば、雑誌などでしか見れない著名なクリエイターの頭の中を簡単にのぞけますし、自分からも発信することで、そのような方と知り合えたり、新しい出会いが生まれたりします。どんどん広がるその可能性に今でもワクワクする気持ちは変わりません。

2019年にオキナワアイオーから「trevary(トレバリ)」に社名を変更されたと伺いました。その経緯を教えてください。

仕事とは関係なく沖縄グルメに特化したInstagramのアカウント「オキナワンフードラボ」を開設したところ、ほとんど放置していたにもかかわらず半年で1万フォロワーほど獲得しました。一方仕事では受託案件を進めるかたわら、新しい事業を作りたいと構想を練り続けていました。ちょうどその頃Instagramにストーリー機能が加わったり、TikTokが流行ったりと、縦型の短尺動画が注目され始めていました。そこで、自分の(インスタ)アカウント「オキナワンフードラボ」と、そのような動画機能を掛け合わせることで新しい観光メディアができるかもしれないと思い立ち、「trevary(トレバリ)」というアプリを作りました。このサービスにフルコミットするために受託案件をすべてストップして、2019年の前半に社名もtrevaryに変更しました。

本リリースした2019年の秋以降も集客のためのインスタフォロワー数が増加し、今では姉妹アカウント含め合計約25万人に。アプリに投稿される動画も3万5千までに成長できました。trevaryは、グルメやホテルなどInstagramを使って旅行先のスポットを探している方に向けた、動画アプリです。地図から行きたい場所を決めて、タップしたら動画が再生される仕組みになっています。

 

コロナ禍だからこそ生まれたサービス「amply(アンプリー)」

その後、trevaryは順調に利用者を増やしていったのですか?

2020年の3月までは順調だったのですが、新型コロナウィルスの影響を受け4月には1/4までユーザー数が一気に下がってしまいました。このサービスは動画を通して飲食店やホテルの集客支援を行い、その集客先からの手数料が売上になるというビジネスモデルなので、旅行者も来ないうえに飲食店も閉まっているとなれば、成立しなくなってしまいます。とはいえ、何とか会社を存続しなければいけないと一念発起し、新しいサービス「amply(アンプリー)」を一ヶ月ほどで作り、2020年6月にリリースしました。

「amply」とは、どのようなサービスですか?

オンラインイベントのページ制作から参加者への告知、決済、売上管理までワンストップでできるサービスです。コロナ禍でオンラインでのライブやセミナー、レッスンが増加しましたが、参加費や月謝の支払方法をリサーチしてみると、非常に手間がかかっているとわかりました例えば、申し込んだ後に参加者が費用を銀行から振込み、それを主催者が確認してからオンライン会議用のURLを参加者に送って初めて参加が可能になるとか。その煩雑な仕組みを解消するために、海外のサービスなどを参考にしながら作り上げました。

利用者は増えていますか?

オンライン観光ツアーをはじめ、インフルエンサーのファンイベント、映画の試写会イベント、さらには沖縄の闘牛や伝統芸能イベントなど増えてきました。また注目しているのは沖縄の観光系企業のオンラインツアーや学習塾のオンライン授業に、OEMとしてシステム導入されることが増えてきたことです。コンシューマー向けに作ったつもりが、企業向けのサービスとして需要があったようで、今後もその方向で伸ばしていきたいと思っています。

 

バーチャルな体験を提供して、リアルな体験を促進

御社のHPに、「Our mission is to increase people’s experiences and maximize their imagination.」というビジョンを掲げられていました。この理由を教えてください。

私は五感を刺激するようなリアルな体験をすればするほど、想像力が増え、自分の可能性やビジョンも広がっていく、という信念を持っています。周りにいる若い方を見ると、自分は何をやりたいのか、そもそも自分は何に興味を持っているのかさえ、わからない方が多いように感じます。そんな方々でも、五感を使う体験の総量、つまり質の高いインプットを増やすことで、「自分の本当に興味あるもの」に気付けるのではないでしょうか。弊社のサービスがそのきっかけになってくれればいいな、と願っています。

trevaryは外出を促すサービスではありますが、amplyはバーチャルな体験を促すサービスです。ビジョンとの矛盾は感じられませんか?

確かに、一見矛盾しているかもしれません。しかし情報が具体的であるほど、それを目にすると実際に体験してみてくなるものです。例えばネット上で飲食店のおいしそうな写真をたくさん見ると、その店で食事してみたくなったり、ライブ配信を見たら実際に行きたくなったりしますよね?trevaryもamplyもバーチャルな体験を提供するからこそ、リアルな体験を促進できるツールになり得ると思います。

 

新しいサービス「trevary clip」で、SNSクリエイターの健全な収益化をサポート

これからの展望を教えてください。

trevaryはコロナが落ち着くだろう秋以降に、再び本腰を入れようと思っています。amplyはOEMが主体になってきているので、その方向を伸ばしていきますが、本来私はコンシューマー向けのサービス作りに興味があります。10年近くSNSに向き合ってきたという点もあり、インターネットは個人をエンパワーするツールだと信じているからです。 実は、やはりコンシューマー向けの、その二つとは異なる新しいサービス「trevary clip」を近日リリース予定で、しばらくはそれに注力したいと考えています。

どのようなサービスになりますか?

SNSで発信力のあるクリエイターやインフルエンサーの収益化をサポートするサービスです。

YouTubeやInstagramを筆頭にSNSは稼げるツールとして認知されつつありますが、まだまだそれは一部のトップクリエイターのみです。

「trevary clip」は、信念をもって発信しているクリエイターがより多くの収益を得られる仕組みを提供したい。

例えばクリエイターとファンがSNS上で繋がれて、そこで売上を作れたり、クリエイターの情報発信を後押しして個人の影響力を強め、ブランド化できたり。SNSを利用するクリエイターをエンパワーできるようサービスとして発展させていきたいです。

最後に、起業や独立を目指すクリエイターへメッセージをお願いします。

一般的に「得意なこと」「儲かること」「好きなこと」の3つが交わる部分を事業化するのが成功の秘訣だと考えられています。ただ私の経験から言うと、まずは「得意なこと」と「儲かること」が交わる部分から手を付けるべきだと思います。

そこで成功できれば「得意」が「好き」に変わるんです。私の場合、マーケティングが得意だったにもかかわらず「好き」という理由だけでエンジニアリングが必要なプロダクト開発に注力してしまっており、非常に楽しいのですが正直苦労している最中です。私と同じ轍(てつ)を踏まないためにも、ぜひ「得意なこと」を生かしていただきたいです。

また自分の得意とする領域の中で、すでに他者の成功事例がある場合は、そのノウハウを上手にハックして自分のサービスに活かせば、さらに成功する確率は高くなるはずです。

これから動画、トラベル、クリエイターという切り口を軸に事業を大きくしていきますので、もしご興味のある方は僕のTwitter( https://twitter.com/illshin )をフォローしたり、DMを頂けると嬉しいです。ぜひお茶しましょう。

取材日:2021年3月18日 ライター:仲濱 淳

trevary株式会社

  • 代表者名:金城辰一郎
  • 設立年月:2016年8月
  • 資本金:1,006万円
  • 事業内容:インターネットメディア及びアプリケーションの企画・開発・運営、マーケティング、ブランディング、各種コンテンツの企画・制作
  • 所在地:〒900-0003 沖縄県那覇市安謝35-311
  • URL:https://trevary.webflow.io/
  • お問い合わせ先:hello@trevary.com

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