ゲーム2021.02.03

自社製競技かるたゲームソフトで足場を固め、スマホアプリでヒットを狙う!

金沢
Beta Computing株式会社 代表取締役社長
Masaki Yoshimura
吉村 真幸

大手企業に勤めていた吉村真幸(よしむら まさき)さんは、同僚に誘われるままに会社を辞めて、仲間3人で「Beta Computing株式会社」を立ち上げました。同社ではスマートフォンアプリに特化したソフト開発を目指し、確かな技術力を顧客に示すために開発した自社製品の「競技かるたONLINE」というゲームソフトが好評で、ダウンロード数が10万を突破!

金沢市近郊の一軒家を借りてオフィスとしたのは、仕事が佳境に入ったときなどに自宅同様に泊まれるようにとの思いもあったそうで、今回はそこのオフィスにある、こたつを囲んでゆったりとお話を伺いました。

失敗しても次がある、そう思えたから踏み出せた

会社は3人で立ち上げたとのことですが、その経緯を教えてください。

僕は以前IT大手に勤めていたのですが、そこで同期だった村松俊臣(むらまつ としおみ)に一緒に起業しようと誘われました。「大学の同級生の東雲友哉(しののめ ともや)の技術力がとにかくすごいから、一緒に起業して、今、世の中にあるアプリよりいいものを作ろう」と言うのです。

村松は大学の頃から東雲と起業したいと思っていたようですが、人脈作りや視野を広げるために卒業後いったん就職したんですね。東雲も技術力に磨きをかけるために東京のベンチャー企業に就職して、早々に開発したアプリのダウンロード数が世界1位になるという実績を作りました。

2人とも3年勤めた頃には、自分たちでやっていけると思えてきて「そろそろ起業したいね」という話が出始めたものの「ソフトを作るのは好きだが人間と話すのはそんなに好きじゃない。営業マンが必要だ」と気付いて、僕に声がかかったようです。

 実は僕はお笑い芸人を目指して大学を休学して、吉本の養成所に入っていたことがあって、村松に「営業向きの面白いやつがいる」と思われていたようです(笑)。

 

しかし誘われたからといって、大企業を辞めて起業するにはかなりの覚悟が必要だったのではないですか?


それが、話を聞くと面白そうで、やりがいを感じましたし、「やれる」と思いました。村松とは気が合うし、一緒に仕事したら楽しいだろうなと。それに東雲の技術力があまりにもすごい。

「この3人ならやっていける。もし失敗したとしても、その失敗をもとに何かできる」と思ったんです。失敗してもいいと思えたから、その直感を信じて踏み出すことができました。

 

「Beta Computing」という社名の意味を教えてください。


ソフトの開発では、アルファ版、ベータ版、そして製品版と、段階を踏んで作っていくのですが、ベータ版は「もっと良くしよう」という段階です。自分たちは「これで完成と思わずにより上を目指そう」という思いを込めています。

 そして後付けになりますが、「B」がビジネスで、「e」がエンターテイメント、「t」がスリーで、「a」がアロー。僕ら3人で起業したので「”三本の矢”という意味も込められるよね」と、社名にしました。

 

「エンジニアファースト」で確かな仕事をやり抜く

起業してから事業展開は順調でしたか?


初めての仕事は前職からのつながりで、割と大きな規模のアプリ開発を請け負いました。それをやり終えて達成感に浸っていたんですけど、気が付けば「あれ、次の仕事ないぞ」と。一つの仕事をしながら次の仕事を探さなきゃいけなかったんだと、初めて分かりました。

僕らは勢いで起業したので、事業展開の仕方を分かっていなかった。起業してから起業セミナーに行ったら、セミナーで「こんな起業はだめだ」という例に見事に当てはまっていて(笑)。それでもやってこられたのは、自分たちの技術力に絶対的な自信を持っていたからだと思います。

その技術力を武器に、吉村さんはどのように営業をかけたのですか?


「弊社は技術力に自信があります」と営業するのですが、「じゃあ何か見せて」と言われたときに、他のお客さまに納品したものは中身を見せることができないので、PR用の自社製品を作ることにしました。

弊社はスマートフォンアプリなら業種やジャンルを問わずに開発できますが、PRのためにはゲームが一番いいと考えました。ゲームは見栄えもするし、技術力が高くないと作れないからです。

その頃、競技かるたを題材にした未次由紀さんの人気漫画『ちはやふる」がテレビアニメや映画化されて、僕らも面白いなと思っていて、調べてみると競技かるたのアプリが一つもなかったので、「それを作ったらPRにもなるし人気も出るんじゃないか」と思って作ったのが、全国の競技者とオンライン対戦できるゲーム「競技かるたONLINE」です。

これを作るために、地元のかるた教室に通いました。小学生に混じって学び始めて1年以上経つと、大会にも出られるようになって(笑)。そのおかげで、競技かるたのルールにのっとったアプリを開発することができ、初心者から競技者まで遊べるゲームとして高評価を得ています。ダウンロード数が10万を超えました。

「競技かるたONLINE」を制作して、どのような営業効果がありましたか?


全国に向けて、一気に営業しやすくなり、技術力を理解していただき、東京や北海道の会社と取引できるようになりました。

また、このアプリを見た地元の学生が、うちに入社したいと言ってきて。東京のベンチャーに入って技術を磨こうと思っていたらしいのですが、「地元にこんな会社があるならぜひ入りたい」と言うので会ってみたところ、即戦力になる優秀な人だったので、昨年4月に入社してもらいました。だから現在は社員4人で仕事をしています。

今後どのように仕事を進めていきたいですか?


僕たちはモットーの一つに「エンジニアファースト」を掲げています。エンジニアがやりたくない仕事を無理やり押し付けたり、無理なスケジュールを組んだり、そういうことはやめようと。

将来的には社員10人くらいの会社にしたいと考えているのですが、それは、あまり人数が多くなると意思の疎通も大変になりますし、待遇面の管理も難しくなると思うからです。

一人一人が、やりがいを感じる仕事を責任を持って進めていく。自分の責任でやれるからこそ、楽しく仕事ができるのだと思っています。

取材日:2021年1月13日 ライター:松井 能子

Beta Computing株式会社

  • 代表者名:吉村 真幸
  • 設立年月:2015年4月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:ソフトウェア開発
  • 所在地:〒929-0343 石川県河北郡津幡町南中条へ 11-4
  • URL:https://betacomputing.co.jp/
  • お問い合わせ先:076-256-1884

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