企業と労働寿命

Vol.151
CMプロデューサー
番長プロデューサーの世直しコラム
櫻木 光氏
僕らが社会人を目指して勉強していた頃の風潮は、いい大学に入って

大きな企業に就職するのが一番だ。安泰だからだ。と言われていました。

そらそうだよな。と思っていました。

終身雇用、年功序列。ひどい失敗こかなきゃ生きていけるんだもんな。

 

人間の価値基準が偏差値で、入る大学で、就職する企業でした。

未だにお受験とかに躍起になってる親がいるところを見ると

この価値観は大きく変わってはいないんだと感じます。変だよなあ。

 

最近会社に入ってくる新入社員はすぐに会社を辞めてしまいます。

辞めたあと何をしているかは調べたことがないのでわかりませんが

日本全体で、大卒の新入社員の入社3年以内の離職率は3割だと言われています。

 

親が躍起になって、子供をいい学校に入れていい会社に入れてもすぐ辞めちゃうんだから

目も当てらんねえなあと思っていました。医者や弁護士でも多難だそうです。

まあ、他人のことだから知ったことではありませんが。

 

普通に考えて、22歳で就職して60歳で定年を迎える。38年働くことになります。

最近は65歳定年や70まで働けと言っているんですから、長くて48年働く時代に

なってきています。100年生きるとしたら長く働かざるを得ないですよね。

生涯現役ってのが当たり前になるかもしれません。

「昔、定年ってのがあってさ」と。

 

老後に年金をもらっても2000万円持ってないと破綻するとかしないとか言われている時です。

健康で元気に楽しく生きたら、多分2000万では足りません。

 

そんな中、おいおいそんなことよりそもそもが無理あるじゃん、と感じたことがありました。

経済誌を読んでいるとたまに出てくる話題ですが、

企業の寿命ってどんどん短くなってきているそうです。

 

東京商工リサーチの調査によれば、2017年に倒産した企業の平均寿命は23.5年。

また、倒産した8,405社のうち、業歴が判明した7,318件のなかには業歴30年以上の「老舗企業」が2,288件含まれています。いろんな理由があるんでしょうけど。

 

実績のある企業といえど、時代の変化に対応する柔軟性がなければたちまち倒産してしまう時代だそうです。

ずっとそうだったんでしょうけど、それは今に始まったことではないんでしょうけど。でも、今後は変化のスピードがかつてないほど加速し、多くの企業を窮地に追い込んでいくんだとその記事の経済アナリストは言っています。

 

ちなみにアメリカの企業の平均寿命は15年だそうです。流石に流れの速い国ですね。

前の会社で、「日本で一番トラディショナルなCM制作会社のプロデューサーだ」と紹介されて

「老舗の映像製作会社に価値はない」とアメリカ人に言われたことがあります。

 

 

で、何が言いたいかって言うと、

 

個人は48年働かなきゃいけないのに、企業は20年くらいしか寿命がないと言うことです。

終身雇用なんて夢のまた夢だと言うことですね。

正社員になったからってなんなんだよ。その場しのぎか?と言うことになります。

こう言う時代に「お受験」とか言っていることがちゃんちゃらおかしくなりますね。

努力はしといたほうがいいけど、もう、学校の勉強じゃないよなあ。子供をどうにかして海外に出すことを考える方がいいかもしれないし。

お受験を真剣にやってる人たちは大変なんだろうけど。世の中は複雑化してスピードが上がっているのです。

それに対応した人生のことを親と一緒に考えなければ、世に出て、聞いたことと違うって

子供たちはとっとと引きこもってしまうかもしれない。

 

「働く者、特に知識労働者の平均寿命と労働寿命が急速に伸びる一方において、雇用主たる組織の平均寿命が短くなった。今後、グローバル化と競争激化、急激なイノベーションと技術変化の波の中にあって、組織が繁栄を続けられる期間はさらに短くなっていく。これからは、ますます多くの人たち、特に知識労働者が、雇用主たる組織よりも長生きすることを覚悟しなければならない」とドラッカーの本にも書いてあります。

 

入社3年目で辞めてしまう人たちは、実はこのことに気づいているのかもしれない。

だから嫌なことを心を壊してまで我慢しても、いいことは無いと思っているんじゃないのか?

 

で、僕たち中高年はいい歳こいてどうするか?ですね。

 

いくつか違う仕事をする覚悟をしなければいけない。今更。

 

そのためには、何というか、知識みたいなものを見直さなければいけないと思うのです。

自分のいるこの世の中の仕組みや裏側や変化や予測。法律や経済、アート。天候や食の事。

いろんなデザインが大事になってくると思うのです。そういう知識。

視覚的なデザインから体験、導線的なものまで。相手のことを思いやるデザイン。

 

自分のこととして広く浅くでもいいから膨大な知識が必要だと最近感じます。

自分が今までやってきたことからの派生でもいいし、そうでなくてもいい。

今までやってきたことを無理やりやめることもない。

いろんなことを関連づけて知っていく中で、何ができるか、何がしたいか考える。

 

本当は子供の頃にしなければいけなかったこと。どう生きるか?

それを2ラウンド目にやっと考える機会が回ってきたのかもしれません。

いい学校に入っていい組織に属する。その必要もないからです。今更。

 

コツは現状が厳しくても悲観的にならないこと。

「ハコ」や「ガワ」のことばかり考えないこと。基本的にはいいから具体的に言って。

定型文ではなくて自分の言葉で思考すること。始末書のような言葉は要りません。

もう一回挑戦できるんだから、めんどうくさがらずにワクワクしてみたいものです。

その体力を維持すべく体を気遣う、的な。

 

とはいうものの、日本は結構切羽詰まった状況だということが調べていくとわかります。

結構ヤバイと感じる。まさに失われた30年。加えて政治もひどい。

統計データを改ざんする人たちですから。イカサマし放題でしょ?

東京にスラム街がデキ始めますよ。本当に。村上龍の小説みたいになっちゃう。

打つ手がなくて後数年で逃げ切れるやつらが先延ばしにした問題が山積み、らしい。

 

そこを何とかするところからある程度の年長者のやることはあるような気がします。

ちゃんと未来を想像して意思表示をする、とか。テメエの事ばかり考えない、とか。

組織や行政に頼らないでやっていける何か。

逃げられなくなってきましたからね。

プロフィール
CMプロデューサー
櫻木 光氏
プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが、矢面に立つのは当たり前と仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。

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