AIとの共創時代を反映、30周年を迎えたウェビー賞
過去のコラムでも何回か取り上げていますが、インターネット上の優秀な作品を表彰するウェビー賞。そのウェビー賞が今年で30周年を迎え、2026年4月21日に今年の受賞者が発表されました。
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30年前の1996年というと、家庭にインターネットが広がり始めた頃。ネットはパソコンからダイヤル回線で接続、ブラウザはNetscape、当時はディレクトリとしての役割が主だったYahoo!やAOLが台頭。まだGoogle創業前(創業は1998年)、YouTube、SNS、iPhoneがない時代です。
そんなインターネット黎明期だったウェビー賞の第1回目には、Reuter’s Health Information(ロイター通信による健康情報サイト)、Internet Movie Database(現IMDb、映画やセレブリティに関するオンラインデータベース)、ESPNet SportsZone(現ESPN、アメリカ最大のスポーツチャンネル)といったニュースメディアや、美術館のホームページ、音楽好きなどのコミュニティのウェブサイトが受賞。この時代は「パソコンからホームページを閲覧する」形がほとんどでした。
第1回目の受賞者リストはこちらから。文章多めの堅いもの、もしくは手作り感のあるカラフルなものが多く、インターネット黎明期の“あの感じ”のデザインが見られます。
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そして30年後の現在。今年のウェビー賞はどうなっているのかと言うと、「AI」が完全にメインストリーム化した、という感じです。
昨年もAIに関するものの受賞はありましたが、Special AchievementやWebsites and Mobile Sitesと同列に「AI」として独立したカテゴリーが設けられたのは今年から。
そして、インターネット文化に特別な影響を与えた人物や団体に与えられる、Special Achievementの一つであるWebby Person of the YearではClaude(クロード)が受賞。
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Claudeは、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiと並ぶ、Anthropicが開発したAIシステムです。
Webby Person of the Yearは、「今年のインターネットにおける顔」に当たる対象が受賞者になるので、それが人ではなく、AIシステムが受賞したというのには驚きです。ウェビー賞のプレス発表によると、Claudeが受賞した理由は、
Webby側はClaudeを、単なるAIツールではなく、「人間とAIが協働する新しい時代」を象徴する存在として評価しています。
文章作成、ソフトウェア開発、リサーチ、ビジネス業務など幅広い領域で活用されている点に加え、人間らしい文脈理解によって、新しい創造や問題解決の形を生み出していることが受賞理由として挙げられています。
また、安全性・透明性・人間の価値観を重視するAnthropicの「Constitutional AI」アプローチも評価されており、「より責任あるAIの未来」を形作る存在として位置づけられています。
とあります。
確かにClaudeは、Claude Codeのような高度なコーディング環境を使うことで、あらゆるタスクの自動化と効率化の新しい可能性を切り開いています。複雑で煩雑な作業も、Claudeに委ねることで一気に実行・自動化できる時代が来ており、人々はより創造的な部分に集中できるようになっています。
ChatGPTは?と思われた方、実は2023年に「Webby Breakout of the Year(その年のインターネット文化を象徴する急浮上した人物や団体)」としてすでに受賞しています。ChatGPTは2022年11月30日に公開されたので、それ以降、急速に広まったことによる受賞だと思われます。
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Special Achievementではもう一つ、Special Achievement in Creative AI(クリエイティブAI特別賞)という賞が設けられていて、シアトルを拠点にして活動している映像クリエイターのJames Gerde(ジェームズ・ガード)さんが受賞。ジェームズさんは、Adobeが提供するクリエイティブ特化型の生成AIソフト、Adobe Fireflyなど生成AIを使った映像作品を生み出しています。
ウェビー側によると、ジェームズさんは「AIを創作パートナーとして使う映像クリエイター」であり、「AIは人間を置き換えるものではなく、人間が行う表現を拡張するツール」として活用している点が、今回の受賞理由として強調されています。
以下はジェームズさんの作品。ジェームズさんしか作り出せない世界を表現した映像作品で美しいです。
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それでは、AIカテゴリーの中で気になった受賞者を挙げてみます。
Entertainment & Media部門のPeople’s Voice Winner(一般投票による受賞)では、生成AI音楽の代表格、Suno(スノー)が受賞。
音楽好きの方はすでにご存じかと思いますが、Sunoは音楽理論や演奏スキルがなくても、驚くほど高品質なオリジナル楽曲を生成できます。AIによって、誰もが音楽を作り、アイデアを即座に形にできる時代が始まっています。これは「音楽を聴く時代」から「音楽を生成する時代」へと変化し始めているということ。
生成AIの登場によって、人々は自分の気分やシーンに合わせて誰かが作った楽曲を聴くのではなく、自作の曲をその場で生み出せるようになりつつあります。
次は、Travel, Transportation & Hospitality部門とBest Responsible AI Implementation部門をダブル受賞した、AIで走行する自動車を開発しているWaymo(ウェイモ)の Safety Hubです。
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元々はGoogleの「Self-Driving Car Project」としてスタートし、その後Alphabet傘下の独立企業となったWaymo。
今回Waymoが受賞した “Safety Hub” は、自動運転AIの安全性や検証方法を一般向けに公開する取り組みです。WaymoがBest Responsible AI Implementation(最も責任あるAI実装賞)部門で受賞したということは、今年のウェビー賞が、AI技術の進歩だけではなく、「AIをどう社会に信頼される形で実装するか」を重視していることがうかがえます。
実際にWaymoは、サンフランシスコやロサンゼルスなどの都市で、一般向けにライドサービスを行っています。タクシー配車アプリのGoタクシーのようなアプリと同様、アプリ上で操作し行き先を入力すると、無人車両が迎えに来るという流れです。
そして最後は、Best Product or Service部門を受賞したAnthropicのClaude Code(クロードコード)です。
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Webby Person of the Yearを受賞したClaudeの開発会社、Anthropicが提供するClaude Codeは、コーディング専用のAIエージェントです。
普段、ChatGPTやClaudeに「これを書いて」「これを説明して」とお願いすることはあると思いますが、それらはあくまで「言葉で答えてくれる」だけですよね。Claude Codeはパソコンの中に入って、実際に作業してくれるAIです。
普通のAIが「有能なアドバイザー」だとすれば、Claude Codeは「実際に仕事をこなすアシスタント」。ファイルを開いたり、プログラムを書いたり、複数のアプリをまたいで作業を完結させたりすることができます。
たとえば「Instagramの投稿をスケジュール管理するアプリを作って」と言うと、Claude Codeが自動でファイルを作成・編集してくれます。バグがあればエラーメッセージを読んでClaude Code自身で修正してくれます。
まだプログラマー向けのツールではありますが、AIが「話す」だけでなく「動く」時代が来たことを象徴する存在です。ChatGPTだとCodex、GeminiだとGemini Code Assistがあります。
いかがでしたでしょうか。
1996年、ウェビー賞が始まった頃、インターネットは新しい世界でした。30年後の今、私たちはAIと共に考え、作り、働く時代に生きています。今年のウェビー賞はまさに「AIと共創する時代」を反映していると言えるでしょう。
(参考)

foxylilly.com
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