映像2019.02.27

ペルーで七不思議

とりとめないわ 第42話
とりとめないわ 門田 陽

 僕がまだ若い頃(学生時代)、勝手に早口言葉を作るのに嵌って、そのときこさえたものの一つに「マチュピチュ好きのマサチューセッツ工科大学院生とマチュピチュ好きのチューリッヒ工科大学院生がマチュピチュでチューをした」というのがありました(苦笑)。そんなマチュピチュのあるペルーにこの冬10日余り行ってきました。ロケ(撮影)の仕事です。

 ペルーについての前知識はそれほど持ち合わせていません。かつてインカ帝国だった国、ナスカの地上絵、なんとなくサッカーが強そう、フジモリ元大統領、名曲「コンドルは飛んで行く」、あとはやっぱりマチュピチュ。それくらいでした。

 成田から全日空ヒューストン経由で24時間以上かけて首都のリマに到着。人と車が多いなというのが第一印象。この20数年で首都は人口が倍増して現在リマ市だけで900万を突破、その速度にインフラ特に交通網が追い付かず街は大渋滞。凶悪犯は少ないものの窃盗や軽犯罪は数え切れず多くの住宅が鉄格子で頑丈に戸締りをして「番犬注意」どころではない物騒な貼り紙(※写真①群)をしています。街を歩くと現地のコーディネーターさんが「あそこにいる人は泥棒だと思うから気を付けて」と的確(?)なアドバイスをくれます。そんなにも人を疑ってかかるのになぜかタクシーでは乗客を後ろではなく助手席に乗せる国民性。人と人の距離感が不思議その1な国です。

 商売柄というか職業病というかどこに行ってもまず広告が気になりますが、街の至る所にこれでもかという強い看板(※写真②)があり民家の壁や塀も広告でぎっしり(※写真③)です。さらに山の斜面(※写真④)には乳製品会社の名前がまるで“HOLLYWOOD”かのようにドカンとあって圧倒される不思議その2な国です。

 リマに2日間滞在のあと、今回のロケ地クスコへ移動。人口30万、標高3300mの高地でインカ帝国時代の首都。街全体が世界遺産です。空気が薄いので僕たちの歩くスピードが遅いせいもありますがここは時間がゆっくりです。地元の人が散歩してます。うん?連れているのはアルパカの子ども(※写真⑤)。そうです。ミラバケッソのアルパカです。
クスコはアルパカを飼っている家が多く(※写真⑥)ペット兼家畜で毛は衣類に肉はごちそうになります。名前を付けて可愛いがっているのに食べてしまう不思議その3の国です。僕も地元の人にすすめられてミディアムレアで食べたところ翌日お腹が破壊されてタイヘンでした。

 それからクスコで目立つのは野良犬の多さです(※写真⑦群)。種類や毛並みも多種多様で街を闊歩しています。最近日本では野良犬を見かけませんね。野良犬といえば黒澤明監督の映画「野良犬」が浮かびますが、あの映画同様今回のロケは白黒映像で思い出しそうな不思議その4な国です。クスコの街はモノクロームがよく似合います。

 もうひとつクスコでよく見かけたのがフォルクスワーゲンビートル(※写真⑧)でした。
相当数見ました。日に三台は見ました!やったやった!!覚えていますか。平成生まれのみなさんは何のことやらですよね。70年代の終わりか80年頃。街で一日に三台ワーゲンビートルを見たら幸せになれるという都市伝説が流行りました。地域によっては5台とか7台とか。あと赤いワーゲンを見ると不吉とか、そんなあの頃が蘇った不思議その5な国です。

写真⑧

 仕事の最終日。クスコの街の全景を撮りに
3700mの地点まで上がりました。美しい街を見渡せるその場所に一軒の帽子屋さんがありました。すべて手作りでその場でお婆さん達がアルパカの毛糸で帽子を編んでいます。店の一角に子供用もあったのですが(※写真⑨)、う~む、ピカチューは世界を制すと感じた不思議その6な国です。オヤジギャグ的にはマチュピカチュー(言わなきゃよかった)。

写真⑨

 ロケも何とか終わってクスコの街で一服。こんなときは煙草を吸う人がほんの一瞬羨ましい。ペットボトルの水を口に含んでふと目を上げるとそこにはインカ帝国時代に「太陽の神殿」と言われたサント・ドミンゴ教会がそびえていました。さらに目をこらすとその空の向こうに無数のテレビ塔やケータイのアンテナが見えたのです(※写真⑩)。まさに遥かなる過去と未来が、たった今目前で交差している不思議その7な国でした。

写真⑩

 ところで日本への帰国便で隣席になったお爺さん(アジア人)が機内食も断り長時間お経(念仏?)を唱え続け、気になってまるで寝つけなかった話はまたの機会に。

Profile of 門田 陽(かどた あきら)

門田陽

電通第5CRプランニング局
クリエーティヴ・ディレクター/コピーライター
1963年福岡市生まれ。
福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。
TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。
趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。

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