なんちゃらハラスメント

番長プロデューサーの世直しコラムVol.117
番長プロデューサーの世直しコラム 櫻木光

先月、何気なくこのコラムで使った「ヨワハラ」という言葉に反響が大きく、そう思ってる人が多いんだなあと驚いたのだけど、よく考えてみれば、よく会話をする人といえば年齢的に同世代は管理職が多く、そう感じているのは当たり前なんでしょうし、若者からは反論もあるでしょう。 で、「ヨワハラ」をちゃんと定義づけしようという話になって、ハラスメントのことを調べて行ったら、これまた面白いことがわかりました。 〇〇ハラスメントと定義づけされているものが30以上もあったからです。 とにかくハラスメントだらけ。

ハラスメントの定義は、 「いろいろな場面での『嫌がらせ、いじめ』を指す。その種類は様々だが、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指す。」 となっています。

ということは「ヨワハラ」も立派に定義づけできる、ということです。

ヨワハラ (弱っちい奴からのハラスメント) 社会的に未熟で経験も仕事のスキルもなく、根拠のない自信だけを支えに生きている若者に、日常的な業務上の失敗を繰り返され、もしくは期待している成果を出してもらえず、泣き言や不平ばかり相談され、上司が精神的な不安やストレスを受けている状態。さらに、様々なハラスメント議論を楯に取られ怒ることもできず、かといって、優しく言って聞かせたからといって理解されたり改善されたりする傾向もなく、コンプライアンス的な失敗、機密の流失や紛失などの事故を起こされたりする。精神的不安定な状況に陥ったことを上司や会社のせいにされ、最悪は退職されたりして、会社からは上司の管理責任を問われ、過度なストレスを感じてる状態。

ということになるんじゃないか?

そもそもハラスメントとは「いじめ」を定義づけして細分化したもので、人間の汚い部分を理屈くさく説明しているのだけど、そもそも人生は不平等で不条理なんだから、そういうことに対して定義づけを楯にとって第三者に訴え出たりする前に、自分でまず立ち向かったり、折り合いをつけたり、解決をすることで人間のスキルが上がっていくんじゃないかと思うのです。

なんか嫌なことがあったらすぐに、「それ、なんとかハラスメントです!」とか言って騒ぎ立てたり、相談窓口に電話してねえで、その試練を乗り越えるためにいろいろ考えて作戦を立てるべきじゃなかろうか?不条理と殴り合いするくらいの根性が備わってないと生きていけないような気がするんです。「助けてくれ」が多すぎる。

人の思惑や利害が交錯する社会では、弱かったら食い物にされてしまう。これは紛れもない事実。強く生きなきゃダメなんだけど、昨今のへなちょこ大量生産社会とその、人のことを思わないナチュラルにKYなへなちょこ同士が編み出したクソ意地汚く貧乏くさいいじめのテクニックとのバランスの悪さが、こう言う弱者救済措置の進化を求めたんでしょうか? 本当に弱って困っている人が助けられるならばその意味はあるのだけれど、中途半端にサボりたい奴の駆け込み寺的に使われると、どうしたもんでしょうか?ということになる。

一連のやり合いは無神経なバカとへなちょこの戦いにしか見えないのです。レベルが低い。 お前が言うな。と言われそうですが。ごめんなさい。

被害者面ばっかりしてないで、ハラスメントの細分化は、これだけ人間のいやな行動を研究しているわけだから、学校の道徳教育や家庭での教育にフィードバックさせて「こういうことをしてはいけません」って話にすればいいのに、なんか罪状にしたがっているだけにしか見えないのが悲しいですね。

そのうち、もっと細分化していき、返し技とかもできちゃってハラスメント同士のもの凄い戦いになっていきそうな気配です。武道として成立するかもしれない。

以下、ネット上で書いてある細分化された「ハラスメント」の種類を書いておきます。技の名前みたい。驚きますよ。

セクシュアル・ハラスメント セクシュアル・ハラスメントとは、本人が意図する、しないにかかわらず、相手が不快に思い、相手が自身の尊厳を傷つけられたと感じるような性的発言・行動を指します。

セカンド・ハラスメント セクシャルハラスメントの解決による被害の訴えを起因とする二次的被害のこと。閉鎖環境下で起こりやすく、問題解決が難しい。

ジェンダー・ハラスメント 性に関する固定観念や差別意識に基づく嫌がらせなどを指す。女性又は男性という理由のみで性格や能力の評価や決め付けを行うこと。「男性だから仕事は義務」・「女性だから家事育児は義務」といった考えからの性差別。ジェンダー・ハラスメントは広義のセクシュアル・ハラスメントとされる。

テクスチャル・ハラスメント ジェンダー・ハラスメントの延長上にある女性作家、創作者に対する嫌がらせや不当な扱いのこと。女性というだけで偏見や中傷、評価が著しく低くされることを指す。

マタニティ・ハラスメント 妊娠や出産を控えた者又は経験者に対して行われる嫌がらせのこと。多くの場合仕事に関係し、職場において上位の者や同僚から退職や退職へと追いやるといった不当な扱いを受けること。嫌がらせが身体的外傷を与え流産の危機にさらす場合もあり、男女雇用機会均等法・労働基準法等の法律に違反するケースも多い。

エイジ・ハラスメント 年齢による偏見や嫌がらせを受けることの総称。多くの場合女性間の間で起きやすい。

エイジシルバ・ハラスメント 60歳以下の者が60歳以上の者に対して行なう身体的・肉体的嫌がらせの総称。近年多くなっているハラスメントの1つで背景には介護疲れによるストレス発散を目的とした嫌がらせ等がある。

家事・ハラスメント 主に家庭内で起こる専業主婦が働き手に対する言動的な嫌がらせの総称。例えば普段働いている夫が休日中に家事を行うのに対し、必要以上に嫁が完璧を求める等がある。家事をするのが当たり前であるという風潮がある一方で、片方の意思が強く働いているのが原因であることが多い。

モラル・ハラスメント 言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることです。

パワー・ハラスメント 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

リストラ・ハラスメント 会社や職場においてリストラ候補の者に対する嫌がらせの総称。多くの場合自主退職に仕向けるよう同僚や上位の者がその者に対して不当な扱いをする。心的外傷を受けることもある。

エアー・ハラスメント 特定の者を不特定多数の前で意図的に陥れるために場の雰囲気を極端に悪くすること。精神的ダメージを与えるばかりか、評価を著しく下げることに繋がり名誉毀損になることもある。

終われ・ハラスメント 主に就職活動中の学生に対し企業側が行う嫌がらせ、また不利益をもたらす言動や行為。早期内定を決める条件として今後の就職活動を禁止、ほぼ強制的に選考企業の辞退等を強要するなどがある。中には内定後の合宿の強制参加などがある場合もある。企業と学生というパワーバランスが明確な環境下での一方的な支配と見ることができ、一種のパワハラでもある。近年非常に増えてきているハラスメントとしても有名。

パーソナル・ハラスメント パーソナルな面において個人・集団問わず嫌がらせを行う行為。例えば容姿やクセ、生活スタイルや個人的に直接関係することにおいてからかったり必要以上に問いただしたり、いじめをしたりすること。

アルコール・ハラスメント 飲酒の強要、イッキ飲みの強要、意図的な酔いつぶし、酔ったうえでの迷惑な発言・行動を指す。

カラオケ・ハラスメント 本人の意志に反しカラオケのある場において歌うことを強要すること。意図的に歌わせるよう仕向けることや、上下関係の中で断れない状況での強要するのもこれに該当する。

テクノロジー・ハラスメント 専門分野(主にIT系)に長けた者が反対に知識のない者に対し不当に扱うことの総称。一般的には専門用語で話したり、意図的に回りくどく難しい内容で説明することを指す。IT系の専門用語が極端に難しく知れ渡っていない為IT系に関する被害が多いが、相手にとって分からない用語を意図的に並べて不快な思いをさせればこれに該当する。

エレクトリック・ハラスメント インターネット上のサイバー暴力とは異なり、嫌がらせや拷問、意図的な危害を加える目的で電子機器を操作利用し、直接・間接問わず身体に自体的影響を与えることの総称。具体的には衛星を利用した追跡や盗聴撮、人体に有害な電波やそれに該当する何かを利用して危害を加えるなどがある。

アカデミック・ハラスメント 研究教育の場における権力を利用した嫌がらせ。嫌がらせを意図した場合はもちろん、上位にある者が意図せずに行った発言・行動も含まれる。

キャンパスハラスメント 各種ハラスメントのうち、キャンパスでの人間関係において学生に対し行われるハラスメント。アカデミックハラスメントに似ているが、教師や先輩等の上位の者に限らず勉学や研究環境を阻害することを指す。身近な者による被害が多い。

ドクター・ハラスメント 医師や看護師をはじめとする医療従事者の患者や患者家族に対する心ない発言や行動を指す。閉鎖的な空間なためパワー・ハラスメントに似た状況になりやすく、患者側が意見を出しにくい形に追い込み無力化させやすい。多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させる。

ペイシェント・ハラスメント ドクター・ハラスメントの逆のパターン。主に患者側が医療従事者に対し、正当な医療行為を妨害するような行為をすることを指す。心無い患者が暴言を吐いたり又は暴力行為を行なうこともこれに該当する。また事実にない事を言いふらし権威を失墜させることもこれに当たる。

スメル・ハラスメント キツい匂いの香水や場に相応しくない香り、異様な体臭などスメル(匂い)による周りに不快感を与えることの総称。好き嫌いが別れる匂いが主体なため知らず知らずに不快な思いを与えている場合がある。

スモーク・ハラスメント 一般的に空間を共有する場において自己の意志に反してタバコ等の煙を吸わなければいけない状況に追い込むこと。多くの場合喫煙者と非喫煙者間でトラブルになる。受動喫煙を避けられない為身体的なダメージを多く受け、生命活動を害する場合もある。また喫煙者の家庭内でも同様に該当する。

ソーシャルメディア・ハラスメント インターネット上のSNSに関連した職場関係による嫌がらせの行為。パワハラの一種。上位の者が下位の者へSNS上で絡み、本人の意志に反する「友達申請」や「フォロー」といったSNS活動を強要すること。またその結果による職場での嫌がらせや不当な扱い。

ラブ・ハラスメント 恋愛や性・異性に関する話を不特定多数の前において公開したり、本人の意志に反しながらもしつこく迫る結果与える精神的ダメージの総称。求婚や性交を迫ったり、意図的に個人の価値観を尋ね罵倒したり馬鹿にすることもこれに該当する。

マリッジ・ハラスメント 未婚の者に対して行なう嫌がらせの総称。多くの場合本人の意志に反した結婚を迫る発言だったり、お見合い等の強要などが当たる。男性・女性に関係なくこれに該当する。

ゼクシャル・ハラスメント 主に家族間でのマリッジ・ハラスメントを指す。未婚の子供に対し親や兄弟が結婚を迫る発言をしたり、本人の意志に反するお見合い等の強要を行なうこと。ゼクシイを買ってきて結婚を強要するような感じ。

ブラッドタイプ・ハラスメント ブラッドタイプ(血液型)といった不確定性要素に基づいたその者への不当な判断や言動、行動などの総称。科学的に肯定されていない血液型による人格判断のため受けた側にとっては不当極まりない。選択が不可能な生まれ持った遺伝的情報による否定は人種差別と変わらず、多くの国ではそれ自体がナンセンスであり立派な差別といった認識である。

ペット・ハラスメント 飼い主がペットに対する嫌がらせ。例えば食べ物を与えなかったり、到底許可できない劣悪な環境下にさらしたり、暴力行為を行ったりなどを指す。また飼い主の一方的な願望による衣服の着用、承認欲求のためだけに飼うこともこれに入る。

レイシャル・ハラスメント 人種的な差別に繋がる発言や嫌がらせ等を行なうことの総称。人種差別。多くの場合閉鎖的な環境での外国人に対する不当な扱いをしたり、ハーフの者に対し嫌がらせやハブり、いじめなどがこれに該当する。

レリジャス・ハラスメント 宗教団体やその関係者から受ける精神的・肉体的・経済的な苦痛を伴う嫌がらせのこと。本人の意志に反する大きな圧力による入信、信仰宗教内での上位に当たる者から人権を侵害するような不当な扱いまたは脅し、批判や言論の自由を阻害する行為、脱会や信仰の自由を阻むことを指す。

Profile of 櫻木光 (CMプロデューサー)

プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが、矢面に立つのは当たり前と仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。


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