WEB・モバイル2020.06.24

経験と知識を生かし、情報設計に基いたWeb戦略で顧客の目的をかなえる

広島
株式会社PUBLIC 代表取締役
Satoshi Arimoto
有本 智

広島市で「情報設計」を基にしたWeb戦略で、顧客が抱えるビジネスの課題をWebで解決、サポートをしている株式会社PUBLIC(パブリック情報設計事務所)。「Webは効果が数字で確認できる世界。数字を分析し確立の高いWeb戦略を提案することで、顧客の目的をかなえたい」と語る代表の有本智(ありもと さとし)さんに、仕事に対する思いやこれからの展望を伺いました。

自分の考える経営を実践するため起業を決意

会社を設立されるまでの経緯を教えてください。

広告代理店でテレビやラジオCM、そして折込チラシ、DMまで幅広く仕事をしており、主に営業やディレクションをしていました。その後、代理店時代に知り合った通販会社を手伝うことになり、そこでWebについて学びました。

そのころは起業するとは考えたこともなかったのですが、「自分で会社を経営してみたらわかることがある!」という通販会社の社長の言葉をきっかけに、「そういう選択肢もあるんだ」と考えるように。とはいえ実際には、着々と準備をしていたわけではなく、勢いで起業したようなものでしたけれどね(笑)。

通販事業で起業しようとは思わなかったのですか?

それは考えませんでした。儲けにつながるような売りたいものが何かあったわけではないですし、なにより代理店時代に培ったマーケティングや、広告に関するスキルが私の得意とするところなので。

そこに通販会社で学んだWebの知識を組み合わせれば、Webに特化したサービスを提供できるのではないかと考えました。テレビやCMなどマスメディアとWebの大きな違いは、効果を数字で確認できること。もちろんマスメディアにも数字はありますが、大衆に向けて発信されるメディアで直接的な効果を知るのは難しいものです。特定のターゲットに対して発信できるWebは結果が数値化しやすいメディアで、よりターゲットに響く戦略を立てられるのが魅力です。

これまでの仕事を通じて培ったマーケットを見る力と数字を読み解く力合わせて、「数字を的確に読み取り、効果的な戦略が立てられる」これが私の一番の強みになると考えました。

起業に不安はありませんでしたか?

会社をスタートした頃はほとんど仕事がなくて、経営的にはしんどい時期でしたね。だからといって悲観的になってはおらず、この時期に経営に必要な経理の数字について学んだり、Webマーケティングを学び直したことが、今の事業の支えになっています。

「経理を勉強していない経営者は成功しない」と通販会社の社長にアドバイスをもらい、経理を学ぼうと思ったんですね。初年度の会計を自分でやることで、会社経営に関わるお金の流れがわかり、日本という国の仕組みを学べたと思います。

ありがたいことに仕事が軌道に乗るには、そう時間はかかりませんでした。それ以降は、実務から学ぶことばかりです。たくさん失敗もしましたよ。思っていたほど効果が出せなかったり、顧客へのヒアリングが十分でなく怒らせてしまったり・・・。そのたびに二度と同じ失敗はしないと、原因を分析して振り返るようにしています。それらの積み重ねで、仕事のクオリティーが上がっていくのではないでしょうか。

最終ゴールを見失わないこと。情報を設計する意味はそこにある

現在の仕事内容を教えてください

当社は情報設計を基にしたWebサイトを提供し、顧客のビジネス課題を解決する仕事をしています。よくWebサイトの制作会社と思われるのですが、それは手段の一つでしかありません。

大切なのは顧客のビジネスにおける目標や目的をかなえることです。その過程でWebサイトが必要であれば制作しますし、他にもWebの運用やリスティング、SNSの広告運用やアクセス解析なども行っています。

「情報設計を基にする」とは、どのような考え方ですか?

顧客の目標や目的をかなえるための情報を整理し、どのように組み合わせてWeb上に反映できるかを考えることです。

家を建てるときを例えとしましょう。設計士に依頼するのは斬新なデザインでしょうか? 高い性能でしょうか? それらは手段でしかなく、本当にお願いしたいのは「将来にわたって、住みやすい家を建てること」ですよね。住む人が最高に幸せな人生を送るための家を、設計士に依頼するのではないでしょうか。そのために設計士は耐久性のある構造はもちろんのこと、家族の導線や風通しなどあらゆる要素を考慮して家を設計します。同じことがWebサイトにもいえます。

とりあえずWebサイトが必要、SNSを運用したい、広告を打ちたいなど考える経営者の方も多くいらっしゃいますが、サイトは持っていればいいわけではありません。顧客の事業内容、ビジネスの目標や目的から考え直したときに本当に必要なのか、私たちはここから考え直します。顧客の本当にかなえたい目標や目的を明確にし、最適なサイトを設計し的確に運用してこそ、Web戦略の効果が発揮されるのです。そのお手伝いをすることが私たちの仕事です。

仕事に対する心掛けを教えてください。

誠実なヒアリングと徹底したリサーチ、確率の高い提案をすることです。

私はビジネスに対する目標や目的は千差万別だと思っています。お金を稼ぐことが一番の人がいれば、そうではない人もいるように、100人の経営者がいれば100通りの考えがあります。その顧客の思いを引き出すために話し合いを重ねることを、なによりも大切にしています。もちろん、業界のことを知らなければ最適なアドバイスもできませんから、リサーチも徹底的に行います。

あとは数字を的確に読み取ることでしょうか。数字で効果を確認できるWebだからこそ、さまざまな数字を分析したうえで、確率の高い提案やアドバイスを提供しています。

顧客にはどんな業界の人が多いのですか?

業界は多種多様ですが、得意としているのはECサイトやWebを活用した問い合わせが多いサービス業ですね。

例えば修理業やリサイクル業、探偵業もいらっしゃいますよ。もし私たちがそういった事業所を探すとしら、スマホで検索するなどWebを使いませんか? 以前は電話帳を使って調べていたことが、Webへ移行しているんで、チラシや電話帳で集客していた業界は、Webからの集客に力を入れていく必要があります。

だからといって、すぐに「ホームページが必要」とは限りません。サイトじゃなくてもSNSでも良い場合もあるので、顧客のビジネスの目標や目的を知り、最適なツールを提案します。Webのツールはすぐに結果が出るものばかりではありません、トライ&エラーを繰り返し運用するためにも、最低でも3カ月以上はお付き合いできる人と一緒に仕事をしています。

クリエイターと一緒に仕事をする機会が多いと思いますが、関係を保つために大切にしていることはありますか。

デザイナーやコピーライター、カメラマンたちは、顧客の目標や目的をかなえるための仲間であると考えています。各クリエイターが自分の能力を遺憾なく発揮し、プロとしてのアドバイスや提案をしてくれる関係を築くことが大切だと考えています。

私は顧客の目的と作品のゴールをディレクションしますが、私の考えが全てとは限りません。指示された通りのものを作るのではなく、プロとしての責任感と自分なりの考えを明確に持ったうえで、「こう見せた方が伝わるのではないか」と提案してくれるとうれしいですね。勉強熱心なクリエイターさんほど、作品の反応を聞いてくるんですよ。結果どうなったか、どんな反応があったのかと確認して、次の作品の糧にしていますね。そういうクリエイターさんとはまた働きたいと思いますね。

進化するAIと共存し、人にしかできない価値ある提案を

今後のお仕事の展望についてお聞かせください。

この業界はこれからAIの進化と共に、大きく変化していくと考えています。変化のスピードが早いので見落とさないようアンテナを張りつつ、事業の形態も変えていく必要があると思っています。データの分析や運用などはAIが確実にうまくやるでしょう。

しかし顧客へのヒアリングや、ビジネスの目的や目標をくみ取り設定することは、人だからこそできる仕事だと思っています。AIとどう上手く付き合っていくかはこれからの課題ですね。それでも私は、全ての経営者がAIを上手に活用できるわけではないと思っています。

経営者の思いを言葉にしたり、AIが導き出した結果から現状の分析や次の一手を提案するには、高いコミュニケーション能力を持つ人材が必要です。AIと経営者を繋ぐ人という存在の必要性は変わらないでしょう。今後も、積み重ねたノウハウと経験に裏付けられたコミュニケーション能力の高さを生かし、より精度の高い提案ができる存在であり続けたいと思います。

取材日:2020年5月22日 ライター:山名 恭代

※オンラインにて取材

株式会社PUBLIC(パブリック情報設計事務所)

  • 代表者名:代表取締役 有本 智
  • 設立年月:2017年3月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:Webサイト制作、ウェブ広告運用代行、アクセス解析サービス、ECサイトコンサルティング、Web運用代行、Webサービス全般
  • 所在地:〒733-0821広島県広島市西区庚午北3-1-2第一水野ビル208
  • URL:https://marketing.hiroshima.jp/
  • お問い合わせ先:082-961-6071

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP