花より団子 お祈りよりソーセージ 食のことわざは万国共通?

東京
フリーライター
youichi tsunoda
角田陽一

衣食住

食欲 睡眠欲 性欲

 「食」は人類という種族がこの世に存在するに当たって、欠くべからざる行為であり存在である。だからこそ、食の場面で人間の本性が現れるのも道理だ。

衣食足りて礼節を知る
食べ物の恨みは恐ろしい

 食にかかわる人間の本性は万国共通と見えて、日本や漢字文化圏はもとより世界各国に「食」にまつわることわざがある。今回はそんな食のことわざを探ってみたい。

・馬鹿がパンを落とすと蜜の壺に入る(ロシア)
うっかり落としたパンが、偶然にも蜜の入った壺に入って甘くなった。あくせく画策するよりも、無欲に過ごしたほうが幸福に恵まれる例え。日本で言うところの「果報は寝て待て」。

 とはいえ実際には

 ・ヒバリの焼肉が口の中に入ってくると思うな(英国、フランス)
自分で努力しろ、の意味。「棚から牡丹餅」はあり得ない。

 

そして、たとえ「棚から牡丹餅」の環境にあっても甘えてはいけない

 ・柿の木の下に寝ても笠の台を立てよ(韓国)
棚から牡丹餅、上から柿の実。そんな環境であっても、運よく柿が口に転がり込んでくるわけではない。それなりに工夫や努力すべし。

 ・泣くためにタマネギを探す(メキシコ)
自分からわざわざ心配や悲しみの種を探す。取り越し苦労のこと

 ・母親はタマネギの、父親はニンニクの匂いがすれば、娘からバラの香りがするはずがない(ユダヤ)
日本で言うところの「蛙の子は蛙」、「瓜の蔓に茄子はならぬ」。余談だが「蛙の子は蛙」は「凡人の子は凡人」であって、決して誉め言葉ではない。優秀なお子さんを持つ上司をおだてるつもりで発言すれば…

 そして記事は短く要領よく

 ・お祈りは短く、ソーセージは長く(ドイツ)
話は短く要領を得たものがよい。お祈りの文句も、できれば短いほうがいい。でも、ソーセージは長いのに限る。日本で言うところの「花より団子」

※参考文献
『世界たべものことわざ辞典』西谷裕子 東京堂出版 2007年

(メイン画像は©Jens Jäpel)

プロフィール
フリーライター
角田陽一
1974年、北海道生まれ。2004年よりフリーライター。食文化やアウトドア、そして故郷である北海道の歴史文化をモチーフに執筆中。 著書に『図解アイヌ』(新紀元社)、執筆協力に『1時間でわかるアイヌの文化と歴史』(宝島社)など。現在、雑誌『男の隠れ家』『時空旅人』(三栄)誌上にて記事執筆中。

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