薫子さん!

東京
コピーライター
TOKYOそういえば日記 21
コジマカツヒコ

みなさんの知り合いに「薫子」さんはいらっしゃいますか?

私はいません。

 

先日、都心での打ち合わせを終えた午後3時。名前を出せば「あぁ…」と

知られる某校近く。下校時に「ごきげんよう」と挨拶をするあの名門校です。

下校中の女子高生の一群とすれ違いました。

 

ひとりの子が「薫子ってさぁ」。

 

おぉ、薫子!  

いやあの、薫子にヘンな思い入れがあるとかではないんですけどね。

 

初めて薫子という名前の存在を知ったのは、たしか小学生の頃。

テレビのドラマとか、漫画とか、そのあたりだったと思います。

 

「子」って、余計じゃね?

 

そう思いませんでしたかみなさん!?

 

「薫」でいいじゃん。と。

 

なんかこう、チャーハンを頼んだら半ライスが付いてきた。

そんな気分ですよ。薫子ったらもう。

 

他にもいくつかありますね。櫻子、緑子。

桜でいいじゃん、緑でいいじゃん、と。

 

これはどういうことなのか? 調べてみました。

簡単に結論を申し上げると、興味深い歴史がありました。

 

解き明かすべきはやはり「子」ですよね。半ライスの部分。

 

「子」。もともとは男性の名前につける文字だったそうです。

覚えてますか歴史の教科書? 「小野妹子」や「蘇我馬子」は男です。

 

で、そんな「子」が女性の名前にも使われ始めたのは平安の頃。

広まった理由のひとつは、天皇から「皇族の女性は○○子、皇族じゃなくなった

女性は○○姫ということで区別します」とのお達しがあったからだとか。

 

そして鎌倉時代になると○子の条件は緩くなり、一般の人々にも付けられる

ようになったそうです。一般と言っても庶民は到底無理だったはず。

つまり○子とは「高貴な女性だけが付けられる名前」でした。

 

薫子(&櫻子、緑子)から漂ってくるお家柄のいいイメージはそこが源流。

そういえばドラマや漫画に出てくる彼女たちはいつも過剰に「おーっほっほっ」な

“お嬢様キャラ”として描かれていましたっけ。

 

この「○子ステイタス」は明治時代に入ってからも変わらなかったそうです。

で、明治8年にあることが起こります。姓名改革です(1875年2 月13日公布。

すべての国民に苗字〔名字・姓〕を名乗ることを義務付けた法律)。

 

そこで今で言う名付けトレンドが発生します。

どうせだからこの機会に!  とばかり、貴族の娘や高級官吏の奥さんたち、そして

社会進出をしていた一部の女性たちが高貴な由来を持つ「○子」に改名したのだそうです。

また当時の中流層(とは言ってもけっこうお金持ち)の方々も、それまでの

名前に「子」を足すことで上流風に見せるのが流行したとか。

 

そのあたりの時代に、お嬢様ネームを代表する薫子(&櫻子、緑子)が誕生したらしい。

 

じゃあなんで、良子や知子はそうじゃないのか?  そこはわかりませんでした。が、

おそらく薫子(&櫻子、緑子)のほうが字の見た目と響きが上品に感じられるからでしょうね。

 

ちなみにこのところしばらく、みなさんご存じのとおり「子」の付く名前は年寄りくさいと

敬遠されてきました。ネットでは子の付く名前が「しわしわネーム」と呼ばれる始末。

 

でも最近はまたレトロフューチャーの流れがあって復活しているそうですよ、○子。

良かったですね○子のみなさん。復讐の時、きたる!

 

 

〔おまけ〕

ロケで茨城県に行ってきました。その途中、ある駅前で見つけた標語です。

よく見てください。

 

のびのびと正しく 瞳かがやく青少年を育てるまち

 

…宣言の村

 

まずは町にならないといけない、のか。。。

(そういう意味ではないと思うが)

プロフィール
コピーライター
コジマカツヒコ
30数年前、マスコミ電話帳を片手に「使ってくれませんか?」の電話勧誘を繰り返し「ゆ」のページに書かれていた制作会社に潜入。流通やメーカーのハウスエージェンシー、広告代理店を経て独立。得意領域は流通小売・メーカーの広告や販促ツールいろいろ。趣味は水泳と愛猫の育成、お酒と無駄話。お仕事のご依頼は kojimakatsu@icloud.com までメールくださいませ。

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