「トランプ大統領に警告」アート:あなたはどう思う?

Vol.19
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

アメリカ大統領選挙は「ジョー・バイデン氏当選」という結果になりましたね。私の住んでいる地域は民主党・バイデン支持者が多く、当選と報じられた日はお祭り騒ぎでした。 トランプ大統領の注目度が高いせいか、今回の大統領選は、日本でもかなり盛り上がったようですね。

 

アメリカでは、投票日当日に、たくさんの人々が「VOTE!(投票しよう)」とソーシャルメディアで呼びかける投稿を多く見かけました。

 

 
 
 
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しかし、この「バイデン氏当選」という結果に対し、トランプ大統領側は「バイデン氏は不正選挙で当選した」という訴えを起こしましたが、結局、有力な証拠を提示できず訴訟は棄却。トランプ大統領は敗北宣言を行わないままでしたが、この度、ようやくバイデン政権への移行手続き開始を容認したようです。 正直、選挙が終わってもここまで混乱が続くことになるとは思いませんでした。

 

思えばこの4年間、テレビでトランプ大統領についてのニュースを見ない日はほとんどなかったと思います。発言やツイッターも注目されやすく、どうしてもメディアは取り上げてしまうのでしょうね。

 

そういったトランプ大統領像や、世相をうまく、もしくは痛快に表現しているのがTIME誌のカバー。トランプ大統領の4年間を、カバーとともにアニメ化して振り返っていましたのでご紹介します。

 

Donald Trump And The TIME Cover: An Animated History | TIME TIME – YouTube

 

アートディレクションが素晴らしいですよね!

 

さて、今回のコラムは、このTIME誌のカバーを手がけているアーティスト、エーデル・ロドリゲス(Edel Rodriguez)さんのアートをご紹介したいと思います。 ロドリゲスさんはこの4年間、政治的メッセージを込めてトランプ大統領をアートにした作品制作をライフワークにしてきました。トランプ大統領がイラストやアニメにされる頻度は高いと思いますが、その中でもロドリゲスさんが描くトランプ大統領のアートはデザイン性があり、目を引きやすいことが特徴。過激な表現のものもありますが、そのために、大衆へメッセージが伝わりやすいのだと感じます。

 

TIME @TIME – Twitter

 

トランプ大統領の顔が溶けている様子が秀逸なカバー。Meltは「溶ける」という意味があり、Total Meltdownは「完全に気が狂う、ブチギレる」という意味があります。

 

 
 
 
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こちらは、トランプ大統領にとって激動のYear One、トランプ政権一年目の狂気さを表現したカバーデザイン。

 

 
 
 
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The Wrecking Crew(解体チーム)はトランプ政権の閣僚のことで、「私たちが知っているように、トランプ政権の閣僚はどのように政府を解体しているのか」という見出しに合わせたカバーとなっています。

 

他にもドイツのTIME版とも言われる週刊誌「DER SPIEGEL」(デア・シュピーゲル)のカバーも多数手がけています。こちらのカバーデザインはTIME誌よりもう少し過激になっています。

 

 
 
 
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2017年の発表当時、このカバーはソーシャルメディアで広くシェアされ、議論を呼んだデザインです。 このカバーには「America First」という見出しがあるのですが、ロドリゲスさんの投稿に「宗教に基づいて旅行者を禁止する国は過激派の国です」とあり、これは、トランプ大統領による「イスラム圏5カ国からの入国禁止令」を米連邦裁判所が支持、というニュースを受けて抗議するために制作したものだと思われます。

 

DER SPIEGELによると「アメリカには長い間、移民や難民を受け入れてきた歴史があるが、トランプ大統領はその象徴である自由の女神の首をはねている」という趣旨があったようです。

 

 
 
 
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対してこちらは、マスクをしたバイデン氏が当選した後のDER SPIEGEL誌のカバー。トランプ大統領の選挙キャンペーンスローガンである「Make America Great Again(アメリカを再び素晴らしいものにしよう)」をあえてここで使い、トランプ大統領が取った自由の女神の首をそっと元に戻している構図です。

 

ちなみに下記は、ロドリゲスさんによる「散らかったゴミとなったトランプ大統領を掃除をする」バイデン氏のアート。上記DER SPIEGEL誌のカバーのシリーズ作品のような形です。

 

 
 
 
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その他のDER SPIEGEL誌のカバーをいくつかご紹介します。

 

 
 
 
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見出しの英語訳:The Age of Fire and Fury(火と怒りの時代)

 

 
 
 
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見出しの英語訳:Yes, he can – Why Donald Trump gets away with everything(Yes, he can – ドナルド・トランプが全てをうまくやる理由)

 

 
 
 
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見出しの英語訳:Washington, one year later(ワシントン、一年後)

 

 
 
 
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見出しの英語訳:The True Face of Donald Trump(ドナルド・トランプの素顔)

 

いずれも過激な表現が多いですね。

 

ロドリゲスさんは、9歳の時にキューバから家族と共に政治難民として、アメリカのフロリダ州に移住。ニューヨークのブルックリンにあるプラットインスティテュートでアートの修士号を取得した後、TIME誌に就職します。最年少としてカナダとラテンアメリカの国際版TIME誌のアートディレクターをつとめた後2008年に離職し、現在は、ニューヨークタイムズの論説ページ、雑誌ニューヨーカーへの寄稿、TIME、DER SPIEGELの他、Newsweek、The Nation、Businessweekなどの新聞や雑誌のカバーを制作しています。その他にも、児童書のカバー、切手のデザインなど多数のプロジェクトを行っています。

 

 
 
 
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ロドリゲスさんは「キューバという独裁政権国家で生まれたことが自分の人生に深い影響を与えている」と言っており、「独裁政権が何であるか」を知っているロドリゲスさんは、キューバで見てきた独裁政権とトランプ大統領像が重なり、トランプ大統領=独裁政権への警告を促すためにこれらのアートを制作しているのだそうです。警告という意味が込められているので、黄色とオレンジが多用されているというのもあるようです。

 

 
 
 
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今回の大統領選挙で、あくまでもインターネット上の印象ですが、アメリカだけではなく、日本でもトランプ大統領を支持する方がたくさんいることを知りました。 そういう方々がロドリゲスさんのアートを見たら、どう思うのでしょうか?トランプ大統領の支持者でも何でもない方々にとっても、行き過ぎだと思いますか?あなたはどう思いますか?

 

アメリカでは、政治的なメッセージをこのようにアートで表現することがタブーではありませんが、日本だとこういった表現でのアートはあまり大衆には受け入れられないかもしれないですね。

 

ロドリゲスさんのInstagramでは、より直接的で過激な表現をしているアートも見ることができるので、ぜひ興味のある方はチェックしてみてください!

 

(参考)

fastcompany.com – This illustrator famously satirized Trump’s presidency. What will he do now?

fastcompany.com – Meet The Preeminent Illustrator Of The Trump Era

Edel Rodriguez: On Freedom and Risk – Youtube – UM Stamps

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。 foxylilly.com Instagram: @foxylilly

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