職種その他2017.09.13

ミッション4 韓国の広告事情を調査せよ

ミッション4
電通第5CRプランニング局 クリエーティヴ・ディレクター/コピーライター 門田 陽

こんにちハムニダ!今回の指令は隣国韓国の広告事情の探検です。たまたま8月の終わりから9月の頭にかけて隊長門田が本業で韓国ロケに出るのでそれに便乗した企画とも言えます(苦笑)。

<機内で考えた>
さて、その出発の朝、テレビを付けたらどの局も画面が黒く文字だけ(※写真①)で動揺しました。彼の国が北日本方面にミサイルを打ったという驚きのニュース。そんな中、向かう韓国。ま、タイムリーだなと前向きに思うことにして出国しました。実際にソウルに着くとまるで何事もなかったかのように平穏でした。

写真①

まぁ、それはさておき何からどう取り掛かるか。何のガイドブックも持たずの機内で、韓国についての自分の知識をさらったのですが、ほとんど何も知りません。恥ずかしいことに前の大統領はわかるのですが新しい大統領は名前も出てきませんでした。国旗も見ればわかりますが、正確に書くのはムリでした。
現地でお世話になったコーディネーターのリーさんから国旗の四方にある斜めのラインは左上が三本、左下が四本、右上が五本、右下が六本だと聞くまでは全部三本だと思っていたのです。人口も首都ソウルの場所もぼんやりとしかわかりません。言葉もからっきしダメで唯一わかるカムサハムニダ頼りです。と、韓国に関してはまるで初心者ですので、知ったかぶりをせず自分のカラダだけを使って素直にレポートします。

写真②

<ソウルの部屋にて>
それでは何をやったのかですが。平日昼間は仕事なので朝夕のホテルの部屋か周辺で出来ること。あとは天気がよければ自由になる撮影予備日でやれること(※ロケは好天に恵まれ一日フリーの日ができました)。まずはガムシャラにCMに触れてみました。とにかく100本見たのです。韓国の主要なテレビ局は4つ。日本のNHKにあたるのがKBSで、EBSが教育専門テレビ。あとは何となく日テレっぽいSBS、それとCXっぽいのが(僕の独断ですよ)MBCです。100本ランダムで見たCMの種類を本数で表すと下記の通り。

1位:何のCMか、わからない 21本
2位:クスリ(関節痛等が多い)10本
3位:飲料(炭酸飲料が多い)  8本
4位:車            7本
5位:スマホ          5本
6位:健康食品         4本
6位:通販           4本
6位:保険           4本
6位:歯磨き粉         4本
10位:おもちゃ         3本
10位:女性用カツラ       3本
10位:マッサージ機       3本
10位:シャネル         3本
10位:平昌オリンピック     3本

以下2本がビール、コーヒー、不動産投資、金の投資、ジップロック、洗剤のCM。1本がカレー、ファブリーズ、ユニクロ、口紅、韓国のり、シャンプー等で計100本(※写真②)。

<CMを見続けて気付いた7つの発見>
〇発見その1→KBSは公営なのにCM(NHKも番宣はありますが、ここは民放と同じ民間のもの)が頻繁に流れます。
〇発見その2→CMの秒数は日本と同じく15秒単位(ストップウォッチで測りました)で圧倒的に15秒が多いです。
〇発見その3→日本と比べると登場する家族構成の人数が多い。3世代同居のCMがいくつもありました。
〇発見その4→健食、通販、クスリ、保険等、老人が主人公のCMの割合が高い。これはいま日本も同じかもしれません。
〇発見その5→スマホのCMも沢山あったけど、いずれもメーカーのもので、日本のように携帯電話キャリアを競うCMは見かけなかったです(たまたまかもですが)。
〇発見その6→見た時間帯が夜と早朝に偏ったせいでしょうが、やたら歯磨きのCMが多くて歯茎のCGばかり見た印象が残っています。
〇発見その7→これも偶然でしょうが、アイデアもののCMには出合いませんでした。100本見た中で一番面白かったのはファブリーズのCMです。日本では夫役が松岡修造で妻役が平岩紙、それと子どもたちが出ますが全く同じ構成同じシチュエーションで韓国のタレントさんを使って作られています。ひょっとするとP&Gはこのフォーマットで世界中作っているかもです。他国にどんな松岡修造がいるか俄然興味が沸きましたが、道が逸れ過ぎるので今回はよしておきます。

写真③

<ソウルの街へ>
つぎに、寺山修司の名言「書を捨てよ、町へ出よう」にならって(といっても、書はなかったけど 笑)ソウルの街の広告を肌でライブに感じてみることにしました。選んだ場所は日本の渋谷や原宿によく似ている明洞(ミョンドン)です。街に出て瞬間的にわかったのは道の広さと車の多さ。片道5~6車線の道がゴロゴロあります。そしてバスが無数に走り、どれもいわゆるラッピングバスです。あ!これだ!!と思い、ひたすらバスを見つけては写真を撮りまくりました。その数はもちろん100台。一気に撮り鉄、いや撮りバスの気分です。またもやランダムに100台のラッピングバスを見た結果、その広告の種類は下記の如くでした。

1位:何の広告かわからないⒶ (ハングル文字のみ)        27台   
2位:映画やイベントの告知  19台
3位:何の広告かわからないⒷ (タレントの顔+ハングル文字)   13台
4位:プリンターのインク    5台
4位:カカオトーク       5台
6位:マンション物件      4台
6位:資産運用         4台
6位:飲料食品         4台
6位:化粧品          4台
10位:お菓子          3台
10位:おもちゃ         3台
10位:エステ          3台
以下2台がスポーツ用品、靴。1台が遊園地と、ごきぶり殺虫剤で計100台(※写真③)。

<バスを撮り続けて発見したこと>
バスの撮影はけっこう難儀でした。だってテレビ画面と違ってじっとしてないんだもん。それと撮れば撮るほどむなしくなりました。見ての通りほとんどが何の広告か、わからなかったのです。TVCMでも書きましたが、バス広告もアイデアものは見当たりません。ひとつだけありました。お菓子の「オレオ」の広告でオジさんがニコッとしている写真。このオジさん。韓国では有名な悪役俳優だそうです。ふだんは恐い顔の人も食べると笑顔という意味。これもリーさんに聞かなければただのニコパチ写真でしかありませんでした。

写真④

<もしかすると>
ソウルに9日間滞在して、仕事以外の時間の大半は探検に費やしました。で、韓国の広告について何がわかったかというと何もわからなかったことが大きな収穫かもしれません。CMは見た21%が何かわからず、バス広告はなんと40%がまるでわかりませんでした。 理由はカンタン。言葉がわからない、ハングル文字が読めなかったからです。ということは、韓国の広告の重要な要素はコピーではないでしょうか。思えばTVCMはカメラ目線で訴えかけるものがいくつもあったし、バス広告はガツンと文字だけ、コピードカンなも のばかりです。もしかすると物凄く面白いことを言ってたり、お茶目なことが書かれてたりするのかもしれません!あ~、読めないのって、もどかしいとモヤモヤしながら街を歩いていたらカタコトの日本語の売り声が聞こえてきました。「ヤスイヨ、ヤスイヨ、ウチ ハヤスイヨ。ニセモノシカ、オイテナイ。(※写真④)」今回の韓国で最高に心に響いた生きたコトバを聞いた気がしました。やっぱり、言葉は強いです。おしまい。

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