ミニシアターのすすめ
小さな配給チームが何とかと繋いで繋いで、全国の小さな映画館で細く長く上映され続けてきた『赤い糸~輪廻のひみつ』。今回11月末でその配給は切れてしまいました。しかし、ラストスパートの壮絶さ、ファンの熱狂、いまだに冷めやらぬ興奮で、「ドリパス」は上位に食い込み、本家の権利元がなんと監督ごと今月特集を組みにくるという素晴らしい流れが巻き起こっております。
『赤い糸 輪廻のひみつ』については、私も最初に見た時物語の衝撃とともに、配給事情についても(その日ちょうどトークショーがあったため)焦りを覚え、筆をとりました。そうしてここのコーナーでも『赤い糸』について、主に映画の配給会社とは何か、配給の権利とは何かをベースに書くに至りました。その後、少しでも上映館が延びないかと、監督インタビューを試みて、媒体に企画書を持ち込み(その際ご快諾いただいた婦人公論さんには感謝しかありません)わずかばかりではありますが、上映を盛り上げるお手伝いができたのではないかと自負しております。さてそんなギデンズ・コー監督の『赤い糸』含めた監督特集は12月27日28日の2日間のみ!年末ではありますが、まだ見たい、もう一度見たい、という方はぜひご一緒にと思います。

と同時に今回はこれら配給を可能にしたミニシアターについて少しだけ書いていきたいと思います。ざっくりのあらましになりますので、機会を得て、またこれについては掘り下げて正式な取材をしていきたいと思いますが、今回は都内ベースに概論的なつまみかたをしたいと思います。
まず、ミニシアターとは、単に大きさが小さい映画館ではありません。基本的に人がミニシアターと言ったときに指すのは、「大手配給会社に依存しないで、独自に買い付けた多様な作品を上映する独立系の劇場」だと思います。多様な作品の中には、アート系、インディーズ、海外の未公開作品や、または旧作・ロードショーによる上映が終了した新作などが含まれています。今回の『赤い糸 輪廻のひみつ』のように日本未公開になりそうだった作品もです。こういう作品を届けていくのが、ミニシアターの良さでもあります。
こういったミニシアターのさきがけになったのは神保町の岩波ホール……惜しまれながら2022年の閉館しましたが、こちらはまさかの1968年開始です。なおミニシアター自体がブームになったのは80年代で、流通や興業の大手が経営に着手しました。特に渋谷はセゾングループが乗り出して、シネセゾン・シネマライズ・シャンテシネ・文化村ルシネマなど今にも繋がる映画館がオープン。『トレインスポッティング』や『ニューシネマ・パラダイス』などが流行して、街ごと若者文化が醸成していった時期です。渋谷といえば、アップリンクもそうです。今は吉祥寺と京都のみになりましたが、スタートは渋谷で、とにかくインディペンデント。代表の浅井さんはいろいろ癖の強い方で問題にもなりましたが、映画館を映画収益でなく、食べ物・レストラン・売店・ワークショップなど多角的経営で持たせようという2000以降のベースを作った方だとも思います。そういった80年代からのブーム、そしてその後の90年代での銀座・有楽町のミニシアターブームを経て、黒船が押し寄せてきます。そうシネコンです。
一方で、ミニシアターには名画座という流れもあり、飯田橋のギンレイホール(閉館)、早稲田松竹、目黒シネマ、新文芸坐のように定期的な旧作をベースに興業している映画館もあります。またジャックベティのように、映画祭の会場になったり、映画の専門スクールや監督の養成所とくんでインディーズを応援しているKsCinemaや、インディーズウィークを設けて定期的に爆発的な才能の発見を促す池袋ロサなどもあります。
独自路線で淡々とホラーやサメ、ゾンビ、中韓作品を多く取り上げているシネマートや、中規模ではじっくりとした大人のドラマも多いテアトルやル・シネマ、インド映画からはじまるマサラ上映にめっぽう強いキネカ大森・川越スカラ座(関西だと塚口サンサン)などもあります。(※他もアレコレありますが、独断と偏見で失礼します※)
単館の強さについては、小回りがきくため「お祭り」を作りやすいこと、大分減っていると聞きますが独自路線なので「小屋」つきのような劇場ファンが付きやすいことが言われると思います。インディーズ映画の爆発的なヒットというと、ターニングポイントは『カメラを止めるな』であり、『ベイビーわるきゅーれ』であり、『侍タイムスリッパ―』ですが、これも一朝一夕ではなく、静かに醸成されたミニシアター側の文化が生んだものであり、シネコンにできないことをしていった結果の工夫であると思います(この辺りは支配人のインタビューなどが公開されていますので気になる方は是非チェックしていただければと思います)。
超大作ではない映画をどう見つけるか?失敗したくないので、人気作という方もいらっしゃると思いますし、そもそも地方のミニシアターはなかなかシビアな状態にあるともききます。けれど、だからこそコミュニティに根差した活動や美味しさもあるので、是非興味のある方は調べて、一度は足を運んでみてもらえると嬉しい限りです。私はシネコンの映画もミニシアターの映画も大好きです。特に「掘り出し物」を探すならばぜひミニシアターへ。
近場にないか、まずは検索してみてください。

距離も近く、特別なトークショーや展示などがあるのも嬉しいところ。
19日からは神保町にて、新しいミニシアター シネマリスもオープンすると聞きます。近々訪れてレポートしたいと思います。
https://cinemalice.theater/







