大学卒業後、東京でアパレル関係の仕事に就いていましたが、次第にデザインの仕事に憧れるようになり、ウェブサイトのコーディングの勉強を始めました。 アパレル関係で5年間働いた後、結婚を機に金沢に戻り、ウェブ制作の仕事に就きました。

いいえ、ウェブやソフトを制作する大手企業の金沢オフィスを経て、地元のデザイン会社に移りました。そこの仲間と「日々の仕事に追われずに、面白いことがやりたいね」と飛び出しました。何をするかは白紙で、そもそも広告デザインをするかも決めていなかったのですが、前の会社で担当させていただいたお客さまから依頼の電話が相次ぎ、結局、広告デザインやウェブを制作する「株式会社プロペラ」を立ち上げました。2009年のことです。

立ち上げ時の「株式会社プロペラ」という社名は、僕らのアイデアをより自由に羽ばたかせようという思いから名付けました。その思いとは裏腹に、いつしか広告代理店やメディア企業の担当者との親睦の深まりとともに、スタッフも仕事量もどんどん増えていきました。しかし、案件の納期に間に合うように深夜まで業務に追われるスタッフの疲れ果てた姿に、「日々の仕事に追われるのが嫌で飛び出したはずが、結局変わっていないじゃないか」と気付いたんですね。

「納期に追われてこなすだけの仕事に、制作意義があるのだろうか」と考えるようになりました。そこで、代理店に頼らず、自分たちでお客さまに直接向き合うような仕事へシフトするように心がけていきました。すると依頼される案件も、従来とは変化していったのです。

直接お客様の顔が見えるようになったことにより、広告デザインやウェブサイトといった案件をただこなすのではなく、そこにあるクライアントさまの思いも深くくみ取れるようになりました。具体的には、「企業や団体の創業、立ち上げから積み上げてきた歴史や強み、ビジョンなどを整理し、特化した商品やサービスを消費者や顧客に伝えられる」ように取り組んでいます。
その取り組みの甲斐(かい)があって、今では、創業時から展開している広告デザイン制作に加えて、ブランディングや地域づくりなどの事業を中心に展開することができてます。

会社の事業に対する向き合い方が変わり、事業内容も変わるなか、従来の会社のイメージを変えたかったのです。その結果、繰り返しになりますが、展開できる事業の幅が広がり、それに応じて頂く案件の内容も変化しました。 新しい社名の「ミラークリエイティブオフィス」のミラーは「鏡」を意味する「mirror」ではありません。「millor」は、スペインのある地方の言葉で「より良くする」を意味する言葉だと聞きました。そこに日本語の「未来」を重ねて「より良い未来をクリエイティブしていく」という私たちの思いを込めたのです。

社会は大きく様変わりしています。「持続可能な開発目標（SDGs）」の重要性が叫ばれる中、企業は利益を上げる自社の企業活動が、地域や地球の持続可能性とマッチするように再構築していかなければなりません。 地元・金沢のカット野菜メーカーは、野菜の加工だけでなく、生産・出荷もするようになり、その際に必要なウェブサイトやポスターの制作を弊社が引き受けさせて頂いています。特に、食の安全が重視される時代に、企業や消費者が安心し、社会にも貢献できる持続可能な仕組みづくりのお手伝いを通して、「買い手・売り手・世の中」が満足し、社会に貢献できる「三方よし」の姿勢が求められていることを実感しています。これは1つの例ですが、私たちは、企業やサービスの魅力を最大化して伝える取り組みを通して、より良い未来に貢献していきたいと考えています。