WEB・モバイル2019.10.23

ズレないデザインの処方箋

広島
キズナデザイン株式会社 代表取締役
Ryosuke Hashizume
橋爪 亮介

広告代理店の営業からキャリアをスタートし、約2年半のWeb制作会社勤務を経て独立した橋爪亮介氏。2010年に地元広島でキズナデザイン株式会社を立ち上げたが、Webデザイナーとして必要な実務はほとんど独学で覚えたという。
「話すことが無かったらどうしよう(笑)。強みや特徴なんて無いんです」と謙遜していたが、実は橋爪さんには、クリエイターが日々頭を悩ませている修正依頼や「大どんでん返し」がとても少ない。どうすれば、クライアントの真の意向に添ったズレの少ないデザインを提案できるのだろうか。

広告代理店からWeb制作会社へ

起業までのキャリアを教えてください。

大学卒業後、冠婚葬祭会社のハウスエージェンシーに入社しました。営業兼ディレクターとして様々な人の間に立ち、プロジェクトを回していく役割でした。約9年間勤めた後Web制作会社に転職し、その後独立しました。

Web制作会社に転職したのはなぜですか

Web業界が盛り上がりそうな予感があったのと、より独立しやすそうな業態だったからです。ホームページは広告代理店でも取り扱っていましたが、あくまで全体の事業の中の一部。Webに関する新しい情報はなかなか入ってこなかったので、最先端のWeb制作を知りたいと思い転職しました。

Web制作会社ではどのようなお仕事をされていましたか

新聞社が運営する就職情報サイトを担当しました。 高校生向けの進路情報誌にも関わり、県内各地の高校を営業で回りました。

本は3冊ずつ買う

退職後、独立に向けてどのような準備をしましたか

AmazonでWeb関連の本を大量に購入して読みました。HTML、CSS、WordPressやあまり使いませんでしたがMT(Movable Type)などのCMS、やPHP、Java scriptの本も。各分野3~4冊ずつ買ったので、開業までの6か月で20冊以上は読んだと思います。
勉強で本を1冊読むと何かしら分からないことが出てきて、その答えが別の本に載っていたりする。分からないことが見つかってから本を探すと時間がかかるので、あらかじめ3冊買うんです。

開業に向けて独学で勉強する場合、どのあたりをゴールにすればよいのでしょうか

「小規模なサイトなら一人で完結できる」というあたりでしょうか。デザインして、WordPressを使ったりコーディングしたりして、簡単な更新システムを作るところまで。

開業直後の時期のことを教えてください

前職で関わりのあったクライアントさんのご依頼や紹介で大きな仕事が入り、ありがたいことにあまり困ることはありませんでした。 準備期間中に購入した物撮り用の撮影キットを使って、ECサイト用の商品撮影サービスを企画したりもしていました。

ズレの少ないデザインを作る秘訣

現在の事業内容を教えてください。

創業当初とあまり変わりありません。広島の中小企業さんと一緒にお仕事をさせていただくことが多いです。ロゴなどのグラフィックやWebサイトの制作はもちろん、展示会に同行してブースの装飾を担当したりもします。

お仕事で心がけていることはありますか。

モノを作ることではなく「課題解決」を目的とすることです。
SNSの利用で十分に効果が上がりそうな場合や、Web以外のことに予算を使った方がいいと感じた場合は、正直にお話します。また、クライアントさんのできる範囲で提案することも心がけています。

橋爪さんの提案とお客さまの希望にギャップがあって、スムーズにいかないことはありませんか

それが、あまり無いんです。

修正も、最後のどんでん返しも?

はい。しっかり話しながら進めていくので、あまり修正が入ることがありません。

営業兼ディレクター出身で、中立の立場から様々な調整をするスキルがあったからでしょうか。他に何か秘訣はありますか?

担当者の方と打ち解けられるよう努め、しっかり話しながら進めていきます。あとは「かっこつけない」ことでしょうか。デザイナー然(ぜん)とせず、あくまでも一市民として自然体でお話すると、クライアントさんの本音や本質的な意見を聞くことができる気がします。

仕事の依頼というよりは、単に「相談したい」と言われることもよくあります。先日も、「広報専門の優秀な人材を社員として雇うのが良いと思います」などと、アドバイスだけをして帰りました。

社内の広報担当者と、社外から広報を支える方との間には、どのような役割の違いがありますか

社内の担当者は、やはり外部の誰よりも会社や商品のことが分かっています。外部から支える側の役割としては、社内の方が言いにくいことを……良いものは良い、悪いものは悪いとズバッと言うことだと思います。

発注側の立場になって勉強してみよう

今後の展望を教えてください。

今後も地場企業の方々とお仕事をしていきたいです。 仕事を通して地元の歴史や風景に関われるのは楽しく、やりがいもあります。

クリエイターの方々へのアドバイスをお願いします。

勉強として、「仕事を発注する側」になってみることをおすすめします。できれば自分と似た分野の、自分よりもすごいと思うクリエイターさんに仕事を依頼してみましょう。各工程での発注側の気持ちが身をもって分かりますし、クライアントさんへの対応の仕方などを、普段と逆の立場から勉強することができます。

あとは、プロジェクトを自分ひとりで完結させず、いろんなクリエイターさんと関わりながらやっていくことです。楽しくて勉強になりますし、輪が広がります、何より制作のクオリティが上がり、お客さまのためになるからです。

取材日:2019年9月3日 ライター:甲斐 寛子

キズナデザイン株式会社

  • 代表者名:代表取締役 橋爪 亮介
  • 設立年月:2010年10月
  • 資本金:300万
  • 事業内容:ブランディングを核にしたマーケティング戦略の立案/各種広告・SPツール・ホームページ・ネットショップの制作/デジタルハリウッドSTUDIO広島トレーナー
  • 所在地:〒730-0053広島県広島市中区東千田町1-1-61hitoto広島 ナレッジスクエア1F いいオフィス広島
  • URL:https://kizuna-design.com
  • 事業例:マルイチ商店Webサイトhttps://www.setonosachi.com/
    (県内産の牡蠣を使った商品の製造・販売をしている老舗の魚問屋。商品のグラフィック及びサイト制作を担当)
  • お問い合わせ先:090-8242-1541

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