職種その他2019.06.19

印刷物特有のストーリー性や温度感を 活かしたデザインと提案で 商品やサービスの真の価値を訴求

大阪
株式会社 彩図 代表取締役
Satoshi Takeda
竹田 諭史

印刷物の広告デザインだけにとどまらず、提案型の制作会社として「RE:STORY」をテーマに、商品やサービス、またそれらを取り扱う企業、そして関わる人々のそれぞれのストーリーに着目したプロモーション提案にも注力している株式会社彩図。
これまで数多くの提案をしてきた中で、発想力を高めるために取り組んでいる事や、壁にぶつかったご自身の経験から、今後の展望として動画配信も視野に入れた興味深い取り組みなど、竹田 諭史代表取締役にお話をうかがいました。

「絵を描くことが好き」から始まった世界

会社設立までの経緯について教えてください。

子供の頃から絵を描くのが好きで、アルバイトで天然の染料ヘナを使ったボディペインティングの仕事をしていました。そこで、お世話になった方から、広告デザイン会社を紹介していただいたんです。そこにDTP関連の仕事で20年近く勤めていたのですが、社長が会社をたたむことを決めまして、個人的に継続したい仕事もあったので社長と話し合った結果、業務継承させてもらうことになり、「彩図」を立ち上げました。

業務以外で引き継がれたものはありますか?

お客様から依頼されたものだけを、ただ受け身で制作するのでは無く、業者として仕事の線引きをせずに、どんどんアイデアを提案していく「提案型のデザイン会社」というのが先代のスタンスでした。今もそこは変えていないです。

提案力も備えたデザイン会社

提案型とはどういうことですか?

個人事業主のお客様に多いのですが、例えば新規案件の場合、印刷物にするかしないかは別として、お客様との打ち合わせの中で弊社から企画・展開の提案をしています。お客様がこれまで営んできた事業で売上等が頭打ちになっていたとすれば、従来のビジネスモデルが通用しなくなってきているということです。そこで、それまでの概念を打ち破って、新しい角度からの切り口を提案していきます。

それってコンサル業に近いですね。

そうですね。弊社のテーマにしているのが「RE:STORY」マーケティングでして、「もう一度、御社の物語を新しいものに上書きしてみませんか?」という、コンセプトワーク的なところから入っていきます。その中で印刷物が必要であれば制作に入っていきますし、Webメディアの方が適していれば違う制作会社を紹介します。

「RE:STORY」について詳しく教えてください。

商品やサービスって、立ち上げから販売に至るまで、必ず物語(STORY)が存在するわけで、お客様が業績等でつまずいた時に、今一度その物語を振り返って、新しい物語に書き換えませんか?というものです。ある意味「温故知新」の発想になるのですが、各業種の「そもそも商品やサービスって何?」と基となる所から考えて、これまでの広告内容で不必要なものを刷新しましょうというものです。その際の企画料は発生せず、制作物に対してのみ料金をいただいています。

それは良心的ですね。どのような受注案件が入ってきますか?

広告から商品カタログ、ポスター、店舗ののぼりや商品のパッケージデザインまで印刷物全般になります。個人事業主と企業によって異なりますが、個人事業主の場合は「何かしたいけれど、どうしたら良いのかわからない」といった相談事から入るケースが多いのですが、企業の場合は社内で方向性等を決められてから、ポスターなど具体的な印刷物をオーダーをされることがほとんどです。その際も、商品訴求に効果的と思われる媒体があれば、提案をしています。

使命はお客様のソワソワをワクワクに変えること⁉

制作を進めていくうえでも積極的に提案をされるのですか?

打ち合わせをしていると、お客様の思い付きや何かしたいといった「ウズウズ」している初期衝動や、具現化できない「ソワソワ」した要望って随所に出てくるんです。それを弊社がキチンと咀嚼して印刷紙など形として見せていくことで、お客様がどんどん「ワクワク」していかれるんです。ただ受け身で制作をするだけでなく、そういったことも弊社の大切な役割だと思っています。

どうしてもお客様の要望と制作サイドの意図がかみ合わないことってありますか?

あります。でも基本的に「お客様の意見を否定しない」という事をベースにしていますので、ご指示いただいた内容を活かした案と、制作側の代案と最低2~3案は提出するようにしています。お客様は実際に形にしたものを見てみないと、口頭だけではなかなかこちらの意図をご理解いただけないので、ご要望や表現されたいものの真意を汲み取り、お客様の予想以上のものを提案するよう心がけています。

その際、気を付けられている点はありますか?

お客様の想像をちょっと超えた位の1.5歩先を行く提案内容にしています。2歩も3歩も先となると、理解されなくなって「これは違う」と否定されてしまいます。また何度もやり直すとなるとお客様から「全然わかってもらえない」と不信感につながってしまいます。あくまでもお客様が「ワクワク」することが重要で、そこに我々のエゴが入り込んでしまうと意味がありませんので。

仕事の質と時間のバランスって難しいと思うのですが。

どの案件も締め切りがあるので、時間との葛藤は常にあります。でも「お客様をワクワクさせたい」というのが根底にあって、長いお付き合いのお客様からは「彩図に任せたら何かしら納得のいくものを上げてくるだろう」といった信頼もいただいているので、それを裏切らないようにしていきたいです。

色々な企画等を考えられる中で壁にぶち当たることはないのですか?

あります。でも諦めず考え続けていたら何かしら出てくるものです。そのために、日ごろから色々なメディアをチェックしてアイデアをストックするようにしています。でも、考えても考えても出てこない場合は、無理してでもそこから離れるという事もしています。締切に追われている時でも逆に寝てしまい、明日の自分にかけるといった感じで(笑)、リフレッシュすることも大切です。

最近ではそのような経験はありましたか?

月刊の商品カタログ制作で「毎月切り口をかえて発行してほしい」というオーダーをいただいているのですが、同じ商品なのでアイデアに行き詰まることがあるんです。

どのように対応されているのですか?

簡単にいうと、それまでのものを一回全部否定するようにしています。そうすることで全然違う切り口が見えてきます。コピー作成に似ているのですが、衣類品であれば、その商品の売りが「着やすい」といった場合、最初はそれをキーにして制作するのですが、その次は全く違う角度の「シルエット」に焦点を絞り、ガラッとイメージを変えてアピールしていきます。最初にそのことも考えて様々なパターンで写真撮影もして、同じ商品を新鮮に見せるよう工夫しています。

印刷物の制作に長年従事される中で、その魅力って何だと思われますか?

読者が手に触れられるというところですね。デジタル時代の中で確かに印刷物は予算面でも押されているのは感じます。でも僕の経験上、Web媒体と雑誌をみる時間って全然違うんです。Web媒体ってじっくり読むというよりは、何かの合間にみることが多くて1記事につき1.2分みたらいいほうなんです。でも、雑誌は読もうと思わないと手に取らないので、その分、読者に発行人の意図や掲載内容の温度感というものは伝わりやすいんです。ページをめくっていくごとに、ストーリー立てた驚きや発見というものを感じ取っていただけるのが醍醐味だと思っています。

商品やサービスの真の付加価値を提供

今後の展望についてお聞かせください。

これから個人事業主や社員など「人」に寄った、10秒程度の人物動画広告も打ち出していきたいんです。印刷物で商品の温度感を伝えるのに加え、取り扱う人のことも知ってもらうという企画です。「RE:STORY」の一環でもあるんですが、会社にも沿革や物語があり、人にも歴史や物語があります。商品に携わっている人が、一生懸命に働いている姿や想い、存在を背景に伝えられたらその商品やサービスに魅力が増すと思うんです。

スーパーの野菜売り場でも、生産者の顔写真やコメントがあるとその商品の信頼感が増す感じがします。

なんとなく提供側の人格というか商品の背景がわかると、その商品との距離がぐっと近くなる感じがしますよね。そうしたことで商品やサービスに付加価値をつけていきたいんです。結局、どの人から商品を買うのか、サービスを受けるのかという事が、消費者にすれば一つの大きな指針になってくると思うんです。

面白い企画ですね。進捗はどのような感じですか?

少しずつサンプルを作っていまして、現在提案中です。まずは、その人のファンになっていただくことが目的なので、個人事業主であれば個人のSNSなどで配信していきます。10秒くらいの動画なら配信しやすいですし、誰でも気軽に見ることができます。そこからリンクをはって商品のホームページに飛ばしたり、ダイレクトに注文が出来るようにしたりといったことを考えています。価格競争で安さばかりに目がいきがちですが、本当の商品やサービスの価値というものを届けていけるように取り組んでいきます。

取材日:2019年5月10日 ライター:川原珠美

株式会社 彩図

  • 代表者名:代表取締役 竹田 諭史 氏
  • 設立年月:2017年6月
  • 事業内容:広告デザイン
  • 所在地:〒530-0043 大阪市北区天満3丁目9-13
  • URL:https://psy-z.jp/company/
  • お問い合わせ先:06-6809-7170

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