グラフィック2019.05.29

デザイン会社とカンボジア支援の二つがつながる展開に期待

広島
株式会社アームス 代表取締役
Shunji Honda
本田 俊司

デザイン会社アームスの代表取締役と、カンボジア支援“ひろしま・カンボジア市民交流会”理事の2つの顔を持つ本田俊司氏にデザイナーから独立するまで、またカンボジアの支援についてお伺いしました。

独立し、夫婦で仕事をするようになるまでの試行錯誤。

デザイナーになるまで、そしてそこから独立するまでの経緯を教えてください。

実は、高校時代に将来の具体的なビジョンを持っていませんでした。友人が大阪の専門学校で音楽を勉強したいので一緒に行こうと誘われて。そしたら当然両親から反対され、「音楽なんてわけがわからないからダメだ」と言われてしまいました。まぁ当然ですよね。でもその同じ学校でデザインコースもあり「デザインだったらまだわかる」と両親が許してくれ、デザインの道に進みました。ちなみに友人は他の学校に行ってしまったのですけど(笑)

大阪で在学中インターンで入った会社が版下を作る会社だったのですが、専門職的な仕事の仕方に感銘を受けこの仕事に就きたいと思いました。この時に意識が変わりました。結局その会社は自分が卒業する頃には倒産してしまいそこに就職することはできなかったんですけどね。

それで、広島に帰省してデザイン会社に就職。仕事を覚えていくうちに、結婚して子どもが生まれたということもあり独立に憧れるようになりました。スタートは早い方が良いと思い、28歳の時に独立しました。

独立するにあたって仕事のあてなどはあったのですか?

妻もデザイナーをしていて、結婚を機に退職し自宅で仕事をしていました。なので妻の取引先関係の仕事をすれば良いと思っていました。でも実際は案件ごとの単価が安くてこれでやっていけるのだろうかと不安に感じていたんです。そんな時にある広告代理店の方から連絡が入り、大手の家電店のチラシデザインの仕事が入ってホッとしましたね。向こうからホームページを見て連絡をもらったんですよ。ただその仕事もしばらくして家電店の本社の移転に伴い仕事が減ってしまいました。そのことで、太いクライアントを持つとなにかあった時のリスクが大きいですから、現在はいろんなクライアントや職種の仕事を受けるようにしています。

奥様と一緒にお仕事をされているということですが、夫婦でどのようなスタンスで仕事をしているのですか?

夫婦で仕事をしてはいますが、基本的には別々のデザイナーとしてそれぞれ作業をしています。当初は自分が取ってきた仕事を妻にデザインしてもらってということもしていたのですが、自分と妻とではデザインのテイストも違いますし自分のクライアントに対する想いもあって、妻に対して身内ということもあり遠慮のない言い方で注文をつけてしまうということもありました。身内というのは距離感がお互いに難しい部分もあるんですよね。いろいろあって現在はお互い別々に仕事をしていますが、またいつか自分が営業で妻がデザイナーでというように、うまく連携をはかって効率よく仕事を回していければといいなとは思っています。

カンボジアの支援で見えてきたもの。

カンボジア支援ボランティアの理事もされているということですが、どのようなことをされているのですか?

話すと長くなるのですが、前にうちで働いていたスタッフや、知り合いなどの関係でカンボジアに行くことになったんです。その時に“ひろしまハウス”というカンボジアの貧困家庭児童への教育や給食支援の実態を知ることになりました。ちょうど支援金の助成がなくなり活動停止の危機だったということもあって、募金を募る冊子を作るのを手伝ったんです。あれよあれよという間に広島での広報活動や事務局の補助などのお手伝いをする理事になりました。面白いご縁と展開でした。まさかこうなるとは思っていませんでしたね。(笑)

“ひろしまハウス”とは具体的にどのようなことを行うところなのですか?

広島でアジア大会が行われた時に、渡航費の工面ができずに困っているカンボジアの選手に渡航費の援助をしたということがはじまりで、広島の人が記念に建てた建物です。カンボジアの学校になかなか通えない貧困層の子どもたちを学校と塾の間のような形で受け入れる施設になっています。現在はカンボジアでサッカー選手をしている日本人の方が現地マネージャーとなりお世話をしていますが、彼もボランティアなのでこのまま続けていくのはどこかで無理が生じますし、長く続けることも難しくなってくるじゃないですか。

現在は活動停止の危機だった頃と比べると支援者も増え改善されてはいます。とはいえまだ資金面をはじめ、ボランティアも不足しているのが現状です。ファンドレイジングやパンフレットの制作など広報の力で成果が出せるということが、これまでの取り組みでわかってきたので今後もより一層支援者を募りうまく回っていけるよう取り組んでいきたいです。

カンボジアの支援が現在のビジネスにどのような形で生きていますか?

まだまだ無償奉仕のような形になることが多いのですが、普段知り合えないような方とつながることができたりといろんな刺激もあり、お金には代えられない財産になっています。また、運営をしていく中でNPOの運営のノウハウを学ぶこともできました。現在の仕事もNPO団体や行政などの仕事を受けることがあるのですが、今後カンボジア支援で身につけたノウハウを生かしてそういったNPOなど障害者施設や慈善事業に特化したデザイン会社として強みを出していけたらいいなと思っています。

今後のビジョンなどについて聞かせてください。

カンボジアとのつながりができたこともあり、海外事業に広がっていけたらいいですね。 デザインだけではなく、コンセプトも含めた全体的な事業に関わっていきたいです。イラストレーターなどのクリエイターたちのつながりもあるので統括ディレクションのような仕事ができればと思っています。

あとは営業と制作の仕事を分けることができればいいですね。営業と制作って相反する行為にみえるんですよ。お金のことを考えると早く仕上げるのが一番なんでしょうけど。デザインってどうしても儲からないような時間がかかる仕事で、でもそれを突き詰めていかないといいものにならないと思うんです。ふつうが一番ダメで、できるだけインパクトのあるものを作っていきたいというデザインに対しての想いもあります。自分自身経営者というよりも、デザイナーとしての考えから抜け出せていないというジレンマを感じています…。(笑)

取材日:2019年4月1日

株式会社アームス

  • 代表者名:代表取締役 本田 俊司
  • 設立年月:2007年4月
  • 資本金:3,000,000万円
  • 事業内容:グラフィックデザイン Webデザインなど
  • 所在地:〒730−0044 広島県広島市中区宝町6−8 5階
  • URL: http://www.arms-jp.com/
  • お問い合わせ先:082-221-8123

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