AKB48のコンサート映像から広がった事業 VISUALNOTES.が目指す「総合的な企画提案」
コンサートの収録・配信をはじめ、CGI(※)、グラフィック、映像制作など、幅広いクリエイティブを手がける株式会社VISUALNOTES.。AKB48のコンサート映像から事業を広げ、現在では多様な分野の専門家が集う会社へと成長しています。代表取締役の原田潤一(はらだ じゅんいち)さんに、会社設立の経緯や、企画から制作まで一貫して手がけるという強み、AI時代に求める人材について伺いました。
※CGI:Computer Generated Imageryの略語。コンピューターグラフィックスによって生成された画像や映像の総称。
AKB48のコンサート映像からスタート

はじめに、VISUALNOTES.の成り立ちから教えてください。
もともとは、ブライダルの映像や写真を手がけるケーアールケープロデュース株式会社の一部署でした。同社がアイドルグループ・AKB48の立ち上げに関わったことで、AKB48関連の仕事が一気に増えて、その業務を主に受け持っていたのが、私が事業部長を務めていた部署だったんです。その部署を母体として、2014年12月に「株式会社ヴィジュアルノーツ」を設立しました。
2024年12月に創業10周年を迎えたことを機に、気持ちも新たにしようと、社名をアルファベット表記の「株式会社VISUALNOTES.」に変更しました。最後にドットが入っているのが特徴です。社名やロゴを変え、本社機能も現在の品川シーサイドパークタワーに集約しましたが、代表は私のままですし、経営陣や社員も変わっていません。10周年を機に行ったリブランディングと捉えていただくのが分かりやすいと思います。
設立当初は、主にどのような仕事を手がけていたのでしょうか。
AKB48の映像とグラフィックの制作が中心でした。なかでも多かったのがコンサート映像です。会場に複数のカメラを入れて公演を収録し、DVDやBlu-rayとして商品化する仕事が非常に多かったんです。当時は映像パッケージの需要が大きかったので、公演があるたびに収録し、商品化していましたね。会社設立と同時に、AKB48関連以外の仕事も増やしていこうと考え、まずは得意としていたコンサート映像の領域から取引先を広げていきました。
強みは「一貫して対応できること」

過去の実績を拝見すると、数百人規模の会場から東京ドームのような大きな会場まで、幅広く手がけていますよね。
そうなんです。積み重ねてきた経験値が、私たちの強みです。定員250人のAKB48劇場から東京ドームまで、あらゆる規模の会場を経験してきました。手がけた公演数も非常に多いので、小さなライブハウスからドームクラスまで対応できることが、VISUALNOTES.の強さだと思います。そうした過去の実績を信頼していただき、現在はさまざまなアーティスト様からお仕事をいただいています。
もう一つの強みが、映像だけでなく、写真やグラフィックを含めて一貫して対応できることです。AKB48の映像パッケージは、長時間のコンサート本編に加えて、多くの映像特典や特典ブックレットなどを収めたボリュームのある商品でした。しかも、それらを短期間で制作しなければならない。そのために、商品の企画から撮影、編集、グラフィック制作までを管理できる体制を築いてきました。スピード感を求められるなかで作りあげられた体制が、弊社の強みの一つであることは間違いないと思います。
コロナ禍以降は、コンサートを配信することも増えてきました。それによって業務内容は変化しましたか。
そうですね。仕事の内容も変化していて、以前に比べると、DVDやBlu-rayなどの商品は減りました。現在は、サービス映像と言われる会場内の大型画面に映し出す映像や、リアルタイム配信、アーカイブ配信の比重が高くなっています。
総合的にデザインして提案できるように

そのほかにもさまざまな事業を手がけていますが、現在はどのような事業構成になっているのか、教えてください。
売上のおよそ35%が、コンサートやイベントの収録・配信です。それと同じくらいの割合をCGI制作が占めていて、現在はこの二つが事業の柱になっています。それに続くのがグラフィック事業や、ウェブCM、テレビCMなどの映像制作ですね。
CGI事業は自然に大きくなったのではなく、意図的に拡大してきました。コンサートだけの会社にも、映像だけの会社にもしたくないという思いがあって、CGI制作会社のM&Aを行ったんです。それを機に、当時の弊社にはなかった専門的な人材やノウハウが加わり、現在では弊社を支える事業の柱に成長しています。
今後、VISUALNOTES.をどのような会社にしていきたいと考えていますか。
今は新しい事業を増やすことよりも、すでに持っている事業を結びつけ、より上流の企画やプランニングから提案できる会社にしたいと考えています。例えばコンサートでは、現在は主に会場内に映し出す映像や、リアルタイムで配信する映像を担当していますが、演出の中ではCGIも使われます。弊社ではそのどちらも対応できるので、そうした要素をすべて含めて、企画から提案までできるようになりたいですね。
また、エンターテインメント業界で積み上げてきた経験は、一般企業様にも生かせると思っています。例えば企業のブランディングや採用という課題に対して、ロゴ、紙媒体、Web、映像などを総合的にデザインして提案する。弊社にあるさまざまなリソースを動員する事により、高度なご提案を実現できると考えています。
AI時代に求める人材と「VN.アカデミー」

そうしたことを実現するためには、どのような人材が必要になるのでしょうか。
最も求めているのは、企画力や提案力を持って、全体を見渡せる人です。社員には「企画提案力を身につけてほしい」と繰り返し伝えています。
もちろん、一日中パソコンに向かってCGI制作に没頭したいという職人的な人も必要ですし、リスペクトしています。ただ、専門職を極めるのであれば、非常に高いスキルや強い個性を持ち、「予想もつかないものを作る面白い人だ」と感じさせてほしいですね。
AIの進化によって、指示されたものを期日までに仕上げるだけの仕事は、いずれ代替される可能性があります。一方で、AIを使うにも、的確な指示を出し、完成したものを入念に確認しなければなりません。AIを使いこなすためにも、ディレクターやプロデューサーの視点が必要です。
AIに淘汰される側ではなく、AIを活用して時間を生み出し、さらに優れたクリエイティブを作れる人材になってほしいと思っています。
社員の教育・育成で、取り組まれていることはありますか。
月に1回、「VN.アカデミー」という社内講義をオンラインで開催しています。コロナ禍以降、職種や仕事内容に応じて在宅でも働ける環境を整えました。効率面では多くのメリットがありましたが、社内のコミュニケーションが不足するという課題も生まれたんです。そこで、交流を図りながら、各分野の専門知識を共有する場として始めたのがVN.アカデミーです。
基本的には社員が講師となって、ほかの社員に向けて講義を行います。これまでAI、ライブ映像、ドローンなどをテーマにしてきました。弊社には、映像、CGI、グラフィックなど、それぞれ異なる分野のプロフェッショナルがいます。でも、ライブ映像の担当者がCGIに詳しいとは限りませんし、映像担当者が紙のデザインや配色を専門的に学んでいるわけでもありません。それぞれの専門知識を社内で共有することで、会社全体の力を底上げしたいんです。
毎回20~30人ほどが希望制で参加していて、後からアーカイブでも視聴できます。講師を務めた社員から、「仕事を体系化し、言葉にして人に教えることが、自分自身の学びにもなった」という声もあがっています。教わる側だけでなく、教える側も成長できる取り組みなので、今後も続けていきたいですね。
取材日:2026年8月3日 ライター:堀 タツヤ
株式会社VISUALNOTES.(VISUALNOTES. Inc.)
- 代表者名:原田 潤一
- 設立年月:2025年4月
- 資本金:1,000万円
- 事業内容:コンサート、イベントの撮影・収録・配信、映像、CM、グラフィックデザイン、3DCG、WEBコンテンツ、イベント・フェスの企画制作、アーティストマネジメント
- 所在地:〒140-0002 東京都品川区東品川4丁目12-4 品川シーサイドパークタワー9階
- URL:https://visualnotes.co.jp/
- お問い合わせ先:https://visualnotes.co.jp/contact






