創業66年「たきコーポレーション」の挑戦“職人気質”を武器にデジタル領域を切り開く
紙媒体の広告制作にはじまり、長きにわたり数多くのクリエイティブを手掛けてきた株式会社たきコーポレーション。創業66年を迎えた同社は、2023年、新たな取り組みとして、社内カンパニー「ZERO」を立ち上げました。
グラフィック、Web、テクノロジーと、時代に即したさまざまな領域の人材がそろう環境で「職人気質」が基礎にあると語るのは、カンパニーを統括する執行役員の國井 丈嗣(くにい たけひで)さん。國井さんに、ZEROの成り立ちや展望、人材教育の指針などを伺いました。
紙媒体のデザイン領域から、メディアを問わない様々なデザイン領域に発展

御社は、1960年に創業した前身のたき工房から数えると、創業65年以上の歴史があります。その沿革から、伺えればと思います。
そもそもは、グラフィックデザインを得意とする広告制作会社でした。パソコンのない時代から、版下制作の業務、印刷物の業務を続け、紙媒体の制作に関わってきました。1990~2000年代にかけては、インターネットの普及に伴ってデジタル領域にも早い段階から取り組み、現在では、グラフィックやWebだけではなく、ブランディング、UI/UXなど、クライアントの業種に関わらずさまざまな領域に関わっています。
2021年にはグループ6社を合併し、社内カンパニー制を導入しました。何かねらいがあったのでしょうか。
当時、大手企業や同業他社もグループ統合などの流れがあり、弊社も業界構造の変化に合わせたんです。広告設計やブランディング、PRの領域がより強化され、メディアを問わない制作体制を一貫して提供できるようになった結果、企業や商品コンサルティングからたずさわる依頼も増えました。
その後、國井さんが率いているZEROをはじめ、新たに4つのクリエイティブカンパニーが新設されたんですね。
2021年の再編によって一定の成果が得られましたので、社内カンパニー制を強化し、各組織の強みを明確に打ち出しました。ブランディングの領域を担うIGI、UI/UXの領域を担うIDEAL、大手ナショナルクライアントを中心に担当するONE、そして、多様な専門職が横断的にクリエイティブプロジェクトに参加するZEROです。
弊社は幅広い領域に関わってきた分「何に強みを持っている会社なのか伝わりづらい」という課題を抱えていました。社外に対して、専門性をより強く打ち出すために新たなクリエイティブカンパニー「ZERO」を2023年に立ち上げました。
デザイン×技術の融合で、ZEROから「解決策」を提案
登別マリンパークニクスの没入型体験施設「Wonder Box 360」
ZEROは、グループ内でどのような役割を担っているのでしょうか。
ZEROは、Web、グラフィック、映像、プログラミングなど、多様な専門性を持つ人材が集まった混合チームです。特定の領域に限定されず、さまざまな課題に対応できるのがZEROの強みです。
ZEROという名前には、どのような意味があるのでしょうか。
ゼロからつくる、上流から設計するという意味が込められています。弊社の原点であるグラフィックだけではなく、Webや映像、テクノロジーも含めて、クライアントの課題に対して「根本から解決策を提案していく」という、新たな時代を生きる弊社の姿勢を表しました。
これまでどのような形で課題解決に取り組まれたのでしょうか。
一つの例として、2024年にartience株式会社に社名変更された、東洋インキSCホールディングス株式会社のプロジェクトがあります。ブランドのリニューアルに伴い、社名変更をティザー告知するための屋外広告に始まり、社内浸透も視野に入れたブランド映像。Webを中心としたコンテンツコミュニケーションの設計などに関わらせていただきました。
また、北海道登別市にある水族館「登別マリンパークニクス」の新施設「Wonder Box 360」を制作しました。施設内にある一室の床や、上下左右の壁面にLEDビジョンを配置し、訪問客が大自然の中に入り込む感覚を味わえる体験型コンテンツです。企画から、デザイン、3DCG、実装まで、全てを社内で制作しました。広告とは異なる領域でしたが、弊社にあるデザイン力と技術力を結集しました。
ZEROの根底にある「職人気質」
ZEROのエンジニアの石丸晋如さん(写真左)
國井氏と共に「登別マリンパークニクス」の新施設「Wonder Box 360」を担当。
ZEROでは、自分とは異なる発想や技術を持つデザイナーと協力しながら、お互いを補い合って仕事を進めている。
ZEROのクリエイター陣では、どのような職種があるのでしょうか。
グラフィックデザイナー、Webデザイナー、フロントエンドエンジニア、プランナー、コピーライターなどがいて、より上流のブランディングやコンサルティングに近い領域に関わる人材も多いです。ただ、私は、プログラマーも含めて広い意味でデザイナー(設計者)と呼んでいます。
ZEROで働く方々には、スペシャリストというより、幅広い領域に知見を生かせる力が求められるのでしょうか。
現在のニーズとしては、そうだと思います。ただ、根本には職人的な感覚があり、それが当社の長所でもあり、特徴でもあります。コンサルティング会社とは違い、当社には「つくる力」がある。職人が柔軟に対応し、領域を広げているイメージです。私自身もデザイナーですが、プレゼンテーションやプランニング、コピー、プログラムにも関わります。そのように個々の技術を軸にしながら、対応できる幅が広がっています。
クライアントから相談を受けた場合、ZEROではどのような流れでプロジェクトが進むのでしょうか。
問い合わせの内容によって、最適なチームを編成します。ZEROでは、コピーライター、プランナー、ロゴデザイナー、Webチーム、映像制作チームなど、必要な人材を集めてプロジェクトを進めます。例えば、信用組合さまのリブランディング案件では、ロゴ、キャラクター、Web、映像などを横断して制作しました。ZEROの中で得意分野を持つ人材を集め、必要に応じて外部パートナーとも連携しながら進めています。
クリエイターの教育制度はいかがでしょうか。
全社として、人材教育に力を入れています。リスキリングを支援する制度もありますし、第一線で活躍する社外クリエイターの方々を招いての講座もあります。
入社30年を超える國井さんからは、クリエイターの皆さんにどんなことを伝えていますか。
昔のデザイン業界は師弟制度のような色が濃かったですし、「デザインとは何か」「クライアントとどう向き合うべきか」などを一対一で伝える機会が多かったですね。ただ、時代も変わりましたので、今はデザインスキル以外の力を身につけることも大切だと伝えています。
デザインの価値は数値化できないので、しっかりとクライアントとコミュニケーションをとり、その意味や意図を理解いただくことが重要なんです。そのためにも、新しいものを取り入れながら、自分の強みをつくっていくことが大切だと考えています。
求める人物像は「つくりたい」という気持ちがある人

たきコーポレーションが、全社として抱くクリエイティブの軸とは何でしょうか。
職人として「つくる力」を持ちながら、クライアントの課題を捉え、最適なアウトプットへつなげる。それこそが弊社の軸ですね。単純に依頼されたものをつくるだけではなく、真に必要な施策を構造化して提案することも求められます。ブランディングであっても、チラシであっても同じで、予算や目的に応じて最良のアウトプットを追求することには、自信があります。
その一角を担うZEROでの展望を、教えていただきたいです。
ZEROは、同時期に立ち上がったIGIやIDEAL、ONEのような、明らかな専門性をうたうチームではないんです。そのため、たきコーポレーション全体の中でのポジションをより明らかにして、チームとして適切に機能させていきたいと考えています。また、テクニカル領域の事案ではフィジカルな体験価値が求められる要望が増えてきたので、デザイン力と次々生まれる新たなテクノロジーをいかに融合させるかを、追求していきたいです。
最後に、國井さんが考える御社にとっての「理想の人材像」を教えてください。
時代によって求められる人材は変わりますが、いつでも共通するのは「つくりたい」という気持ちです。近年、広告やデザインの領域では、機能性が重視されつつあります。自分たちが手掛けたクリエイティブが、社会や人々にどう受け取られ、使われるのかを考える視点が大切で、すぐれた表現力だけではなく「アウトプットが社会でいかに循環するのか」を考えられる人と働きたいです。
取材日:2026年6月11日 ライター:カネコ シュウヘイ
株式会社たきコーポレーション
- 代表者名:滝澤 寿一
- 設立年月:1960年3月
- 資本金:1億円
- 事業内容:広告・SPツール・Webサイトの企画制作・運用、企業・商品・サービスブランディング、CI/VI、UI/UX 開発他、コミュニケーション全般の企画・設計・制作、写真撮影および動画撮影・編集、写真加工、その他・広告の制作業務
- 所在地:〒104-0045 東京都中央区築地五丁目3番3号
- URL:https://www.taki.co.jp/
- お問い合わせ先:https://www.taki.co.jp/contact/






