WEB・モバイル2026.06.10

地方でも発信を仕事に。「インスタの学校」で広がる学びと新しい働き方

石川
株式会社りみぽ 代表取締役社長 / 副社長
Ryo Hirabuki / Miho Hirabuki
平吹 諒、平吹 実歩

「地方でも、発信を仕事にできるのか」——。そんな問いに向き合い続け、写真や動画を投稿・共有できるインスタグラムを起点に事業を拡大してきたのが、金沢の株式会社りみぽです。代表取締役社長・平吹 諒(ひらぶき りょう)さんと、副社長・平吹 実歩(ひらぶき みほ)さんは、夫婦でおでかけアカウントの運用からスタートし、約1年で法人化。現在は「インスタの学校」を中心に、運用代行やコンサルティングなど、SNSを軸とした複数の事業を展開しています。お二人のこれまでの歩みと展望についてお話を伺いました。

無償から有償へ。地方でSNSを仕事に変える

これまでのお二人のキャリアを教えてください。

諒さん:福井大学を卒業後、石川の化学素材メーカーである小松マテーレ株式会社でECサイト運営やSNS関連業務に携わっていました。

実歩さん:私は高校卒業後に就職し、工場で布の品質検査を約4年間担当。製品に汚れや傷がないかを確認し続ける仕事で、一日中ほとんど会話のない環境で黙々と作業する日々でした。もともとインスタグラムを見るのが大好きで、日常的に写真や動画を投稿していました。「こういうのが仕事になったらいいな」という思いを諒さんに打ち明けたところ、「それ、仕事になるよ」と言われて調べ始めたのが、私たちのビジネスの原点です。

独立に至った背景は何だったのでしょうか?

実歩さん:東京や大阪で、夫婦でSNS事業を展開している人たちの姿を見たことが大きなきっかけでした。オンラインサロンを通じてそうした先輩たちのリアルな声に触れ、「自分たちにもできるかもしれない」と具体的にイメージできたことが独立への一歩を後押しし、「金沢・北陸おでかけ夫婦」として発信を始めました。動画撮影や編集は得意だったので私が担当して、企画や運営、営業は諒さんが担当することになりました。

諒さん:お互いの得意不得意が合致して、分業制になりました。私は学生時代からイベントサークルで企画・運営・予算獲得を担ってきたこともあり、クライアントワークへの抵抗も少なかったですね。営業は結局、気持ちだと思っています。自分の商品に熱量と思い入れがあれば、それはお客さんに必ず伝わります。

実歩さん:前職を2022年8月に退職して、約1年間個人事業主として実績を積み重ねたのち、2023年9月に株式会社りみぽを設立しました。

なぜインスタグラムを軸に選んだのでしょうか?

諒さん:当時のSNS環境を見渡したとき、継続しやすく、初心者にも取り組みやすいプラットフォームとしてインスタグラムが最適でした。実歩さんがすでにインスタグラムに詳しかったこともあり、すぐに結果を出せると思い、選びました。

地方でのスタートに不安はありましたか?

実歩さん:それはもちろんありました。当時の北陸では、SNSインフルエンサーに有償で投稿を依頼するという文化がほとんど根づいていませんでした。報酬の交渉をすると「無料でやってくれる人でいいです」と断られることもあり、落ち込むことも多かったです。
それでも焦らず、まずは無償で案件を引き受けながら実績をつくり、「この投稿で来店数が増えました」という具体的な成果が出てきた段階で、有償へと移行していきました。地道ではありましたが、それが今の自分たちにつながっています。

自治体案件が転機に。“こまバズ”運用で信頼を獲得した理由

事業が伸びたきっかけは何でしたか?

諒さん:大きな転機となったのが、小松市のインスタグラムアカウント「こまバズ」の運用を任されたことです。もともと市の職員の方がりみぽのアカウントをフォローしており、独立したタイミングで声をかけてもらいました。1年間で約7000人のフォロワーを獲得したことや、「自治体のSNSを運用している」という実績で信頼してもらえるようになり、企業からの運用代行やコンサルの依頼が増え始め、軌道に乗っていきました。

実歩さん:私たちも小松市に住んでいたので、地元のアカウントの運営に携わることができたことはうれしかったです。あの時に声をかけていただいたことが本当に大きかったですね。

現在の事業内容について教えてください。

実歩さん:現在の事業は、インスタグラムの運用を学べる実践型スクール「インスタの学校」、運用代行、コンサルティング、PR案件の大きく四つです。
なかでも「インスタの学校」が事業全体の約8割を占めています。「インスタの学校」最大の特徴は、対面で学べる点です。現在約130人が在籍しており、毎回のオフ会では直接顔を合わせながら情報交換をしたり、わからないところを直接講師に聞いたり、疑問をその場で解消できる点が好評です。

諒さん:オンラインでもSNSに関する情報はたくさん入手できますが、直接会うことで生まれる熱量や人とのつながりは全く違います。さらに成果が出づらい受講生を個別でサポートする「保健室」という仕組みも設けていて、どんな段階の人も最後まで置いていかない体制を取っています。

フォロワーを伸ばす上での「共通点」は何でしょうか?

諒さん:SNSも日々変化・進化していますが、原理原則は変わりません。伸びる投稿には「癒し」「笑い」「有益」「共感」の4要素が必ず含まれており、これはアルゴリズムがどう変わっても変わらない軸です。自分たちがインスタグラムを始めたころから変化しているのは「差別化」の重要性です。SNSの発信者が急増し、フォローしなくてもインスタグラム側が自分の好みに合うものをおすすめしてくれます。ユーザーが増えた今、選ばれるアカウントになるには「狭く、深く、刺さる」ポジションを取ることでフォローやリール動画の閲覧数が増えていきます。

実歩さん:その好例が、インスタの学校の受講生が運営する「福井のそば」だけを発信するアカウントです。最初は絞りすぎじゃないかと心配していたのですが、10投稿で1,000フォロワーを獲得しています。北陸では“そばなら福井”というイメージを持っている人が多いことから、関心を持つ人が一定数存在し、テーマを絞ったことでその層にしっかり届いたのではないかなと思います。
そのほかにもインスタグラムの運用で、売上が月商510万円アップしたケーキ屋さんや、開業当初からフォロワーが1万人を超えた宿泊施設もあります。

ほかのスクールと比べた御社の強みはどこですか?

諒さん:ノウハウを伝えるだけで終わらず、顔を突き合わせて一緒にアカウントを育てていける点が大きな強みです。東京や大阪ではオンライン中心のスクールが多い一方、金沢・富山・福井に集まり、リアルに学べる環境を作っています。

地方に仕事を生む仕組みへ。SNSでキャリアをつくる次のフェーズ

石川県で挑戦し続ける経営者・政治家・クリエイター・リーダーたちのリアルな声を届ける対談コンテンツをYouTubeチャンネルで発信しているそうですね。そのチャンネルを始めた背景を教えてください。

諒さん:2026年1月に石川県の挑戦する人の声を届ける対談番組「The Voice石川」を立ち上げました。背景にあるのは「北陸で働きたい人を増やしたい」という願い。石川には魅力的なお店や企業が多い一方で、リーダーの熱量やビジョンは来店するだけでは伝わりにくく、メディアにも十分に出ていません。だからこそ、経営者や政治家のリアルな声を届けることで、「ここで働きたい」「北陸に残りたい」という人を増やしていきたいと考えています。

実歩さん:インスタグラムのショート動画では社長の想いまでは伝えられないと思い、YouTubeを始めました。動画だからこそ届けられるリアルな熱量ってありますよね。

今後の展望について教えてください。

諒さん:SNSという軸は崩さずに、もっと「インスタの学校」を広げていきたいです。かつては「北陸にSNS革命を」というビジョンを掲げていましたが、北陸でのSNS認知が広まりつつある今、その舞台を全国の地方へと拡張していく段階に入ったと感じます。「インスタを学ぶなら、『インスタの学校』へ」と全国の地方に認知されるようになりたいです。
さらに力を入れたいのが、「インスタグラムを教えられる人」を育てる仕組みです。イメージは「SNS版の公文」。地域でインスタグラムを丁寧に教える先生を増やすことで、雇用を生み出し、地方の経済を動かしていくところまで役に立てたらいいですね。

クリエイターへのメッセージをお願いします。

実歩さん:今の時代、SNSはビジネスにおいて必要不可欠です。まずは自分でSNSの投稿をやってみることが一番大切で、最初の一歩だと思います。発信は、人生の選択肢を広げる手段になります。

取材日:2026年4月14日 ライター:高井 寧香

株式会社りみぽ

  • 代表者名:代表取締役 平吹 諒 / 副社長 平吹 実歩
  • 設立年月:2023年9月
  • 事業内容:Instagram運用支援、スクール事業(インスタの学校)、コンサルティング、PR事業
  • 所在地:〒923-1211 石川県能美市旭台2丁目13番地 いしかわクリエイトラボ209
  • URL:https://kanazawa-rimipo.com/
  • お問い合わせ先:https://kanazawa-rimipo.com/contact/

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