YouTuberから起業へ。1000万再生のバズ動画を生む名古屋のSNS運用会社
名古屋を拠点に企業のSNS運用代行を手がけるスクラム株式会社。代表の明石 匡功(あかし たすく)さんは大学卒業後にYouTuberとして独り立ちし、映像会社勤務を経て2024年に法人化を果たしました。サブスク型SNS運用を軸に急成長を遂げ、現在は月間100本近い動画を納品しています。独立までのストーリーから同社の強み、未来への野心までを語っていただきました。
子どもの頃から“作ること”が好き。大学卒業後はYouTuberに
子ども時代や学生時代、どんな夢を持っていましたか?
小さい頃は「パイロットになりたい」と思っていたのですが、心のどこかで「どうせ無理でしょ」という思いもありました。夢を見る自分と現実的な自分の両方がいて、夢を本気で追いかける感じではなかったですね。
その一方で“何かを作る”ことが大好きで、小学校の写生大会では学年最優秀賞に選ばれました。その成功体験が子ども時代の大きな出来事でした。

大学時代の過ごし方を教えてください。
南山大学に進学し、在学中は居酒屋のキャッチのアルバイトを4年間続けました。成果報酬で多い日は1日で4~5万円も稼ぐことができ、忘年会シーズンの12月はアルバイト代が100万円を超えました。
大学卒業後は?
就職活動は行わず、卒業してすぐにYouTubeを始めました。当時はサラリーマンにはなりたくないと考えていたのですが、知っていたビジネスモデルがYouTubeの広告収益くらいしかなく…それで「YouTuberになろう!」と思ったんです。
ネタづくりのためにニュージーランドへ。コロナで引きこもった3カ月、見えてきた道
コンテンツはどのように生み出したのでしょうか?
自分自身にネタがなかったので海外の生活を届けようと思い、ニュージーランドに行きました。
しかし、半年で40本くらい投稿して登録者はわずか250人…。YouTubeでも発信していたのに結果が出せなくて、落ち込みました。そこに追い打ちをかけるようにコロナ禍のロックダウンが重なって、3カ月ほどアパートにこもりながらいろいろ考えました。
引きこもり生活を続けていくうちに「表現したい!」「作品を通じてコミュニケーションしたい!」という気持ちが強くなり、動画編集者として勝負したいと考えるようになりました。
そこからどのようにキャリアを築いていったのでしょうか?
ニュージーランドの映像制作会社に7カ月ほど勤務しました。日本人がオーナーの会社で、大手広告代理店のカメラマンから一念発起してニューヨークで個展を開き、アーティストとして成功した方でした。
VFX(視覚効果)制作にも関わる中で、Adobe After Effectsやモーショングラフィックスの世界を学びながら制作に向き合いました。撮影も経験することができました。

帰国後、個人事業主へ。電話やメッセージで売り込む日々
その後、日本での仕事はどのように開拓していったのでしょうか?
2021年12月に帰国後、すぐに個人事業主として仕事をスタートさせました。当時はパソコンを買うお金もなかったので、まずは催事での光インターネット回線営業を3カ月やって資金を作りました。そこからはインスタグラムで映像を作っている人に「編集だけやらせてください!」とDMしたり、求人サイトで正社員を募集している企業に電話して「業務委託でお願いできませんか?」とアプローチして得意先を開拓していきました。
社会人経験がゼロからの出発だったのでビジネスマナーも未熟で、電話口でボロクソに言われることもありました。それでも諦めずに続けたところ、1年目で売上400万円を達成できました。
2024年に法人化したきっかけは?また、現在の事業の柱を教えてください。
法人化に踏み切ったのは、法人化しないとお客さまと同じ目線に立てないと感じたからです。
事業については、SNS動画の運用代行がメインになります。企業が発信するショート動画を毎月決まった本数納品するサブスクリプション型で事業展開しています。15社程度の顧客がいて、月間トータル100本近い動画を納品しています。1社あたり月8本くらいですね。

動画編集からSNS運用にシフト。「求めているものを徹底的に届ける」大切さ
どのような組織体制で事業を行っているのですか?
代表の私が営業を担い、あとはディレクター、デザイナー、動画編集者2人の5人で、外部パートナーともうまく協業しながら事業を回しています。
現在はテレアポは行っていません。企業から継続して仕事をいただいたり、ご縁がつながってお客さまが増えたりしている状況です。
動画編集からSNS運用にシフトした理由は?
独立2年目で年商700万円ほどになったのですが、その時点で営業活動と制作の工数が限界にきてしまったためです。“自分がやりたいこと”よりも“企業(顧客)が求めてるもの”に事業を寄せていく必要がありました。その頃はちょうどSNSが盛り上がってきた時期だったので、動画発信のサブスクモデルに切り替えました。
名古屋には競合他社が少ないとのことですが、御社が案件を継続できている秘訣はなんでしょうか?
「相手が本当に求めているものを徹底して届ける」というシンプルな姿勢が継続率の高さにつながっていると思います。クリエイターのエゴは出さず、顧客やSNSユーザーが求めているものをまずは作ります。言っていることとやっていることが一致すると、お客さまにとって「2度手間にならない存在」になることができるんです。
もうひとつは「バズ動画の量産とリサーチ力」にあります。ショート動画を大量に作っていく中で傾向がつかめ、バズりのポイントが押さえられます。最新のトレンドも上手に取り入れるようにしているので、技術+リサーチの合わせ技で費用対効果の高い動画が納品できています。
犬用ケーキ店の売上を10倍に!その秘密は
明石さんにとって特に印象深い事例はありますか?
犬専用のケーキを売る案件が印象に残っています。最初は「ケーキをバズらせてください」という依頼だったのですが、再生数が5万~10万止まりでフォロワーも増えず、半年ほどで「契約を終了したい」と言われました。
しかし、再度リサーチを行ってみるとSNSユーザーは「ケーキより犬が見たい」というニーズが強いことがわかりました。そこで、ケーキではなく犬の紹介動画だけに振り切って投稿していくことにしました。
作戦を変えたことで1000万再生超えのヒット動画が生まれ、フォロワー数も2000人から一気に2.5万人に増えました。ケーキの売上も10倍近くになり、お客さまから「スクラムさんに頼んで本当によかった!」と言ってもらえました。
今後はペット商品の開発にも尽力。クリエイターにとって大切なのは「バランス」
今後、会社としてどのような姿を目指していますか?
名古屋拠点は変わらずですが、50人規模の会社にしたいと考えています。現在の10倍近い規模感です。
「財を成すは三流、業を成すは二流、人を成すは一流」という格言が好きなので、事業を通じて人を育てることをしていきたいです。そのために、世の中が求めていることを今は徹底して行い、まずは財を成したいと思います。
今後の事業の展望もお聞かせください。
SNS運用を突き詰めていく予定です。これまでやってきたノウハウをお客さまのために使うことはもちろん、自社コンテンツにも落とし込みたいと考えています。
最初に攻めるのは僕自身も大好きなペット領域で、すでに製薬会社と協業して「バウバウプレステージシャンプー」というペット専用ヘルスケア商品を開発しています。SNSを活用して人気や注目を集めるのが得意なので、集めた後にニーズに沿った商品を提供していくイメージです。

最後に、世の中のクリエイターへメッセージをお聞かせください。
「クリエイター」って、世の経営者からするとよく勘違いされる職種だと思います。でも、誰かが作らないと世界は動いていきません。
数字を追い続けながら、クリエイターとしてのエゴを織り交ぜていくのが大事だと思います。
100%我慢する時もあるけれど、トータルでバランスが取れればいいじゃないですか。僕もまだまだですが、同じように頑張っているクリエイターと一緒に成長していきたいですね!
取材日:2026年4月15日 ライター:いとう ともひろ
スクラム株式会社
- 代表者名:明石 匡功
- 設立年月:2024年5月
- 資本金:50万円
- 事業内容:SNS運用代行/動画制作/求人クリエイティブその他
- 所在地:〒461-0001 愛知県名古屋市東区泉1丁目21-18 ヴァンキッシュ 1004
- お問い合わせ先:08065004693






