WEB・モバイル2026.05.07

仙台発・EC運営12年の知見で目指す「真の課題解決」。AI時代に勝つ“伴走支援”の神髄

仙台
株式会社トランバード 代表取締役
Daisuke Yamakawa
山川 大輔

仙台を拠点に中小企業のEC支援を行う株式会社トランバード。代表の山川大輔(やまかわ だいすけ)さんは、12年間のEC運営で培った「経営者視点」を武器に、戦略立案から実務代行まで伴走する独自の支援スタイルで多くの店舗を売上アップに導いてきました。現在は「もう一人のEC担当者」を掲げた新サービス「ストサポ」も立ち上げています。未経験の女性がプロとして活躍できる独自の組織作りや、AI時代の働き手の在り方について、その真意を伺いました。

バンド活動からWebの世界へ。中小企業の支援に情熱を注ぐための起業

Web業界に入ったきっかけと、これまでの経歴を教えてください。

Web業界でのキャリアは、気づけば20年ほどになります。現在43歳ですが、きっかけは20代前半から趣味でやっていたバンド活動でした。私はドラムを担当していたのですが、自分たちの活動を広めるためにホームページが必要になり、独学で作るようになったことがはじまりです。
そこから本格的にWebの道へ進み、モバイルオークションサイト「モバオク!」で派遣社員として働いた後、ソフトバンクに転職しWeb制作の実務を学びました。その後、東京に出て楽天市場に出店する店舗の店長を務め、株式会社いつもへ入社。EC事業者のサポートに携わった経験が、現在の事業につながっています。

株式会社トランバード設立の転機となったことと経緯をお聞かせください。

当時、いつも社が第二創業期としてターゲットを再定義し、ナショナルクライアント(大手企業)向けのコンサルティング体制を強化するタイミングに立ち会いました。
私は楽天市場にて集客責任者を務めていました。会社の方針が変わることで、これまで大切にしてきた中小企業の方々との関係性が薄くなってしまうのではないか。そう危惧したとき、「それなら、自分が理想とする支援の形を自ら体現しよう」と決意したのが、起業のきっかけです。

人材不足を機に仙台へ。実行支援サービス「アンドパトナ」の誕生

2018年に本社を仙台へ移転された理由を教えてください。

最大の理由は、東京におけるWeb業界の深刻な人材不足です。当時、東京では求人を出しても応募が数件しか来ない、あるいはまったく来ないという状況を目の当たりにしてきました。今後、人材を増やす必要が出てきたとき、東京にいては同じ壁にぶつかると感じたんです。
移転先に仙台を選んだのは、中学・高校時代を過ごしたゆかりの地であり、かつ東北は「EC支援の情報やノウハウがまだ広く浸透していない地域」でビジネスチャンスがあると考えたからです。実際に仙台で求人を出すと100件近い応募があり、移転の判断が正しかったと確信しました。

仙台に拠点を移してから、現在の主力サービス「アンドパトナ」はどのように生まれたのでしょうか。

地方でECセミナーを開催する中で、ある共通の課題に気づきました。経営者の方々は熱心に学ばれますが、社内にサイト更新などの実務を担う「手」がいないため、結局何も進まないことが多々あります。企業が求めていたのは、高度なコンサルティング以前に「日々の実務を確実に回してくれる存在」でした。
一方で、仙台では意欲の高い女性たちが多く応募してくれました。そこで、彼女たちを採用し、企業に代わって着実に実務を遂行する実行支援サービス「アンドパトナ」を立ち上げたんです。「止まっていた作業を動かす」というスタンスが、多くの中小企業のニーズに合致しました。働き手のニーズと企業の課題が、仙台という土地でうまくマッチしたことが現在の成長につながっています。

お客さまの「真の課題」に向き合う。AI時代に価値を増す「もう一人のEC担当者」

現在の事業内容と、支援のスタイルを教えてください。

ECサイトの運営支援が主軸ですが、単に「言われた作業をこなす」だけの会社ではありません。私たちは、お客さまの伴走者として、その企業のフェーズにおいて「本当に必要な施策」を提案し、実行まで責任を持つ会社です。
例えば、お客さまから「TikTokを始めたい」といったご相談をいただいても、まずは「なぜそれが必要か」を徹底的に深掘りします。「流行っているから」「若い人を集めたいから」といった安易な理由であれば、あえてストップをかけることもあります。
最近は特にTikTokやYouTubeの運用を希望される方が多いですが、実際には多額のコストがかかりますし、その企業のフェーズには必要ないケースも多々あります。
お客さまの目的を一緒に整理し、「それなら今はTikTokではなく、広告運用やサイト制作、あるいは実務を円滑に進める体制づくりを優先しましょう」と、最適な解決策を提案します。
言われたことをそのままやるのではなく、伴走者として「本当に必要なこと」を見極めるのが私たちのスタイルです。

新サービス「ストサポ」の立ち上げ背景と、強みを教えてください。

実は今、これまで主力だった「アンドパトナ」を発展的に解消し、新サービス「ストサポ」を開始しました。サブテーマに「もう一人のEC担当者」というメッセージを掲げています。
振り返れば、最初はとにかく作業をこなす「EC便利屋さん」から始まり、そこに寄り添いの要素を加えたのが「アンドパトナ」でした。新サービス「ストサポ」では、その良さを引き継ぎつつ、作業代行・ディレクション・コンサルティングの3つの軸をより強固に打ち出していきます。
この変化の大きな要因は、AIの台頭です。ここ1年ほどで「作業自体はAIを使って自分たちでやってみたけれど、この方向で合っているのか専門家に判断してほしい」という依頼が急増しました。指示や作業はAIで効率化できる時代ですが、最終的な「判断」や「戦略の優先順位付け」は、やはり経験豊富な専門家にしかできません。
「ストサポ」は、助言だけで終わる一般的なコンサルタントとは異なり、現状分析からアドバイス、そして実際の「実行」までをすべて担います。 専門家としての知見を持ちながら、実務も任せられる。お客さまにとって最も楽で成果に近い存在でありたいと考えています。

「女性の実行力」を信じ、未経験からプロへ。チャットを主体とした仕組みが柔軟な働き方を支える

従業員の約9割が女性で、多くの方が未経験スタートだと伺いました。この組織体制の背景を教えてください。

私自身、女性たちの実行力には絶大な信頼を置いています。起業のきっかけをくれた妻や、ともに歩んできた専門職の方々など、身近に素晴らしい能力を持つ女性が多かったことが原点です。
一方で、そうした高い能力が正当に評価されにくい社会の現状にもどかしさを感じ、「女性が主役として活躍できる場を作りたい」と考えた結果、自然と現在の体制になりました。

未経験の方をどのようにプロへと育てているのでしょうか。

この業界は経験者が少なく、むしろ未経験で柔軟な方のほうが新しい知識を吸収しやすい面があります。育成は「階段を一段ずつ登る」イメージで、最初の3カ月は座学、次の3カ月で実務経験を積む6カ月のステップで少しずつ理解を深めていけます。
また社内では、戦略を立てる人、タスクに落とし込む人、実行する人といった役割分担が明確です。そのため未経験からでも「今、自分が何をすべきか」を迷わず学べる環境になっています。

Web業界は「長時間労働」のイメージがありますが、子育て中の方も働きやすい工夫はありますか?

かつてのWeb業界は、深夜1時、2時まで働くのが当たり前という過酷な世界でした。 しかし、それでは女性、特に時間に制約のあるママさんは活躍できません。そこで私たちが取り入れたのが、徹底した「チャット主体」のコミュニケーションです。
基本的にお客さまとのやり取りは電話やWeb会議ではなく、チャットで行います。電話だとつい話が長引いてしまいがちですが、チャットであれば要件を整理して伝えられますし、何より「情報の共有」が容易です。誰かが急にお子さんの都合で休まなければならなくなっても、チャットの履歴を見ればほかのメンバーがすぐにフォローに入れます。
「誰か一人がいなければ仕事が止まる」という状況をなくし、チーム全体で穴を埋められる体制を作る。この仕組みがあるからこそ、限られた時間の中でも高いパフォーマンスを発揮し、未経験からでもプロとして成長していけるのだと自負しています。

「仕事」を「ライフワーク」に。楽しみながら成長できる会社を目指して

今後、どのような会社にしていきたいと考えていますか。

私は会社をただ大きくしたいとか、上場を目指したいという気持ちはあまりありません。大切にしたいのは、私を含めたスタッフ全員が自分たちの仕事に自信を持ち、胸を張って価値をお届けできていると感じられる状態であることです。
根底にあるのは「楽しむ」という価値観です。仕事ではありますが、単なる労働ではなく、人生の一部である「ライフワーク」に近いものにしていきたい。私自身もそうありたいですし、社員にもそう感じてほしい。楽しくなければ意味がないとすら思っています。

Web・EC業界を目指す方へメッセージをお願いします。

私がこの業界に入った12年前と比べると、今は格段に難易度が上がっています。
今はAIを使えば「それっぽいもの」が簡単に作れる時代です。しかし、そのアウトプットが「本当に正しいのか」をジャッジする力が求められます。AIが出した答えに迷う時間が増え、本質を見極めるのが大変な時代だといえるでしょう。
また、EC支援業界は非常に生存率が低く、3年で大半が消え、5年続けばすごいと言われる世界です。その中で私たちは12年走り続けてきました。変化の激しい業界だからこそ、一時の勢いだけでなく、地に足をつけた確かな仕事をしていくことが何より重要だと考えています。
これからのクリエイターには、デザインなどのクリエイティブと、数字や戦略の視点の両方を持つことが求められます。多角的な視点で物事を考えられる人こそ、変化の激しい業界で長く活躍できるのではないでしょうか。

取材日:2026年3月6日 ライター:今野 なつ

株式会社トランバード

  • 代表者名:山川 大輔
  • 設立年月:2014年12月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:EC運営サポート/Webコンサルティング/Webマーケティング支援/SNS運用代行/広告運用/Webサイト・コンテンツの企画制作
  • 所在地:〒981-3133 宮城県仙台市泉区泉中央1-9-3 クレセール泉中央5F
  • URL:https://tranbard.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://tranbard.co.jp/contact

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