「ゲームは無駄」なんて言わせない。広島にeスポーツ文化を根付かせ、その価値を塗り替える
“この世の「ヤルキマン」を集め「突起」の如く突き抜ける”という思いを社名に込め、ゲーム業界をけん引し続けているヤルキマントッキーズ株式会社の代表取締役社長・板垣 護(いたがき まもる)さん。エンタメサービス開発を主軸にメタバースやNFTのコンテンツ開発、そしてプロゲーミングチーム「広島 TEAM iXA(イクサ)」の運営も手掛けながら、さらなる飛躍を目指す日々。「ゲームが上手いことが正当に評価される社会を目指したい」という板垣さんにこれまでの道のり、そして未来への思いについて、お話を伺いました。
自身の未来を切り拓くために出会ったゲーム開発の道
ゲーム業界へ進んだきっかけについて教えてください。
私の場合、最初から「ゲーム制作に興味があった」などというわけではないんです。高校卒業後、まずは自立を目指して学歴に左右されない就職先を探すために上京しました。やがて見つけたのがゲーム開発に関わる仕事、そして料理人の仕事でした。しばらくは、二つのアルバイトを掛け持ちしながら生計を立てていたのですが、ゲームシナリオライターとしての活動を業界の方から一定の評価をいただくようになり、仕事を一本化することになりました。ゲームと料理、どちらも興味を持って始めたアルバイトでしたが、「ゲームの方が自分には向いているのかな」と思うようになったのです。
そこから数年間、ゲームのデベロッパー企業でアルバイトなどを経験し、22歳の時、ある大手ゲーム開発会社に中途採用として就職することになりました。ちょうど同級生たちが大学を卒業し、新卒で就職する時期と同じタイミングでした。

ヤルキマントッキーズ立ち上げまでの道のりについて教えてください。
大手のゲーム開発会社で実績を積む中で、ベンチャー企業からのスカウトがあり、転職を決めました。そこでちょうど関心を寄せていたソーシャルゲームの立ち上げメンバーとして、事業に携わりました。
また、ある企業でeスポーツ事業の責任者を任され、所属する選手チームをアジアリーグ1位や世界大会上位入賞に導きました。
そうしてさまざまな会社でゲーム事業に携わる中で、2015年に数人の仲間とともにゲーム開発を手掛けるヤルキマントッキーズ株式会社を設立しました。
「ヤルキマントッキーズ」という社名の由来について教えてください。
元々、とがったことをするのが好きな性格なので、「とがった=突起=トッキーズ」を思いつきました。「『ヤルキマン』(やる気のある人)+『トッキーズ』(突起・とがった)=やる気のある人たちが集まって突起の如く駆け抜ける、とがったことをしよう」という思いで名付けました。
今でも「ゲームなんて無駄だ」という偏見があります。ゲーム開発に携わる以上、そんな偏見を払拭してもっとポジティブに捉えられる文化を作りたい。そのためには、とがるくらいの心構えが必要ではないかと思うのです。
当初は東京で事業を運営されていたそうですが、なぜ、東広島市に拠点を移すことになったのでしょうか?
当初は東京にある知り合いのゲーム会社のオフィスに間借りしていたのですが、諸事情により移転先を探さなければならなくなりました。ただちょうどその頃、世の中はコロナ禍でリモートワークの体制を整えていたので、東京にこだわる必要がなくなっていました。
そんな時、地域を巻き込むeスポーツのプロリーグ構想が浮上。出身地である広島にはeスポーツのプロチームが少なかったこと、自治体が企業誘致していたことなどいろいろな条件が上手くかみ合って2021年3月、拠点を東広島市に移転することに決めました。
地域の夏祭りイベントで 3,000人超を動員。移転の先に立ちはだかった壁を打破
現在の事業、また貴社の強みについて教えてください。
主軸となっているのはゲームやエンタメコンテンツの企画・開発・運営です。そのほかにも、eスポーツチーム「広島 TEAM iXA」の運営、リアルタイム通信エンジンの開発、人材紹介なども展開しています。
強みは、“何もないところから何かを生み出せること”です。他社にはないもの、面白いものを作りたいと思われている企業やクリエイターの方がいらっしゃったら、その思いには必ず応えられる体制はできている自信があります。良くも悪くも、常に新しいことをしたがる私の悪い癖でもあるのですが、とがりたい=トッキーズたる所以とも言えるかもしれません。

今まで手掛けた中で、特に印象に残っている案件について教えてください。
2024年に行った、東広島地域を盛り上げるための夏祭りイベントです。地元の学生たちに出店やワークショップなどを運営してもらったほか、eスポーツの大会をパブリックビューイングで観戦して「広島 TEAM iXA」を応援する企画を盛り込みました。西高屋駅前を歩行者天国にして開催したのですが、予想をはるかに超える3,000人ほどの人出となり、大きな反響を呼びました。当社にとってもひとつの転換点となりました。
東京から拠点を移した当初は、地域にはまだまだ受け入れられていない空気がありました。東広島だけでなく県東部や県内各企業へアプローチをしようとした際にも胡散臭がられたり、拒否されたりすることばかりでした。しかし、この夏祭りで地域からの認知が高まり、地元企業からのスポンサー契約もいただくことができるようになったのです。
イベントの成功を機に、“eスポーツを生かして地域の活性化へつなげよう”という動きも一気に高まり始めました。拠点を移してから愚直に少しずつ撒いた種が、ひとつずつ芽を出し始めたと実感したできごとでした。

ゲームがもっとポジティブに、ひとつの文化として受け入れられる未来を創造
今後のビジョンなどを教えてください。
まずは「広島 TEAM iXA」として”優勝”を目指したい、ということです。さまざまなプロリーグで日本一、そして世界一を狙えるチームにしていきたいと思っています。リーグでも個人でも結果を出すために必要なのはスポンサーを集めることです。才能のある選手を見出し、育てる力はリーグでもトップだと自負していますが、その選手を他チームに奪われないための資金力、チームの魅力づくりをしっかりとしていかなければいけません。
広島にはカープをはじめ、各種プロスポーツチームが存在しています。地元チームを応援する土壌は十分に育っているので、eスポーツもきっと広島のチームとして応援してもらえる将来が近いはずだと期待しています。

これから一緒に働くかもしれないクリエイターを目指す方やプロゲーマーを夢見る方たちへ、メッセージをお願いします。
東広島へ移った5年前から比べるとこの1~2年、この地域の方はもちろん世間全体のゲームに対する認知が大きく変わってきたと感じています。ゲームがようやく市民権を得た、という感じでしょうか。
ゲーム開発者になりたい、プロゲーマーになりたい、といった夢を持っている方は、ぜひ、やりたい気持ちを持ち続けてほしいと思います。偏見が残るゲームに関わる夢はあまり応援されず、むしろ反対される場合もあります。それはつまり、諦める理由が見つかりやすい夢であるとも言えるのです。だからこそ、あえて粘り強く夢を追い続けてください。20年あまりの間に「ゲームで食べていける」時代になってきました。やる気を大切に、とがって進んで行きましょう。
取材日:2026年1月28日 ライター:村上 雅水
ヤルキマントッキーズ株式会社
- 代表者名:板垣 護
- 設立年月:2015年7月
- 資本金:400万円
- 事業内容:スマートフォン向けゲームの企画、開発、運営/エンターテイメントコンテンツの企画・開発・運営/e-Sportsチームの運営/リアルタイム通信エンジンの開発/iXA ENGINEの提供/人材紹介
- 所在地:〒739-2125 広島県東広島市高屋町中島542-1 森本ビル1F
- URL:https://yarukiman.com/
- お問い合わせ先:070-4018-5822






