遠回りしたからこそ見えた起業への道。ショート動画で札幌から企業の魅力をバズらせる

札幌
株式会社ショートムービー 代表取締役
Yukihiro Yoneta
米田 侑弘

動画編集を独学で学び、大学4年時に起業した米田 侑弘(よねた ゆきひろ)さん。動画編集やコミュニケーションスキルを武器に、TikTokやInstagramなどのショート動画を活用したSNS運用代行で、札幌の有名企業との実績を重ねてきました。「冒頭2秒」へのこだわりと徹底した現場主義で成長を続ける株式会社ショートムービーの歩みに迫りました。

動画編集との出会いと、ショート動画市場への着目

起業までの経緯を教えてください。

大学を3浪した経験から学歴コンプレックスを抱えていました。それを巻き返すには「普通のことをしていてもダメだ」と感じ、自分で会社を立ち上げることを選びました。
動画編集は、大学1年生のときに独学で学びました。最初は3DCGで面白い動画を作ろうと考えたのですが、難しくて挫折。そこからハードルを下げていき、ようやく自分にできると思えたのが動画編集でした。子どもの頃からYouTubeやTikTokをユーザーとして楽しんでいたので、慣れ親しんでいる分野だったことも後押ししました。

SNS運用代行という事業を選んだ理由は何でしょうか?

起業したのが2022年なのですが、YouTubeはすでに多くの人が参入しており、「大きなトレンドはもう過ぎた」という雰囲気もあって。そこで次のトレンドとして縦動画、つまりショート動画に目をつけました。その当時の源流はTikTokでしたね。市場の流れに合わせて、縦動画に特化したサービスを提供しようと考えました。

法人化の決断と、実績を積み上げた営業スタイル

大学4年生で起業されたとのことですが、個人事業ではなく法人化を選んだのはなぜでしょう?

自分を追い込むためです。個人事業でやるより会社にしたほうが、やり切るしかないという覚悟が生まれると思いました。
現在の取引先も札幌の企業が中心で、こまめに訪問して打ち合わせを綿密にしながら進めています。直接お会いして関係を築くことを大切にしています。

最初の案件はどのように獲得されたのでしょうか?

法人化前に、大学の友人が入っていた学生NPOの募集動画を制作したのが最初です。これは単純に動画制作のみで、運用までは担当していません。
起業後に初めて企画から運用まで一連で受けた案件は、ビジネスイベントで出会った企業からの受注です。先方からは「とにかくバズらせたい」という要望がありました。ちょうど世の中で「オフィスで料理」というコンテンツがバズっていたので提案したところ、スタッフの中に元料理人がいることもあり、一緒にショート動画を制作することになりました。それをきっかけに運用を継続させていただき、アカウントは結果的にトータル3万フォロワーを獲得するまでに成長しました。

ワンストップサービスで、地元有名企業での実績

具体的にどのような事業をされているのでしょうか?

縦動画・ショート動画の戦略立案から企画、撮影、編集、投稿、分析までをワンストップで提供しています。まず先行事例を調べて、戦略やコンセプトを作り、その後、動画の企画と台本を考え、実際に伺って撮影し、編集して投稿するという流れです。

他社との差別化ポイントを教えてください。

しっかりと結果を出している点です。
具体的には、バーチャルシンガー「初音ミク」で知られるクリプトン・フューチャー・メディア株式会社のSNS運用支援。初音ミク公式アカウントでは、支援開始から現在までにTikTokは約3.3倍、Instagramは約2.8倍のフォロワー増加に貢献しました。SONICWIREアカウントでは、TikTok立ち上げから3カ月目に1本の動画でTikTok・Instagram合計再生数250万回超えを記録しています。
また、札幌で不動産事業を展開する株式会社藤井ビルのSNS運用では、1本の動画がYouTube・TikTok・Instagram合計で約50万回再生を記録しました。Google検索で地域名と「賃貸」で検索した際に動画タブで上位表示されるなど、再生数以外の効果にもつながっています。
※2025年4月時点
※株式会社ショートムービーの公式ホームページより引用

再生数を伸ばす秘訣は「冒頭2秒」とクイズ動画

動画の再生数を伸ばすために、特に意識していることはありますか?

冒頭の作り込みです。よく言われる「冒頭2秒が勝負」という言葉のとおり、冒頭の作り方で再生数が変わります。例えば先ほどの「オフィスで料理」が伸びるのは、冒頭にひと目でわかる「違和感」があるからです。「これから何が起こるの?」という興味を引くんですね。
札幌の魅力をInstagramやTikTokで発信する自社メディア「サツナビ」では、ターゲットが北海道の人なので冒頭の映像もしくはテロップ文字で必ず「札幌」もしくは「北海道」というワードを入れています。いろいろな動画が流れてくる中で、いきなり地元の話をされたら「お?」となりますよね。映像でもススキノの看板を出すなどわかりやすい要素を入れ、最初の離脱をどう抑えるかを重視しています。

「サツナビ」

TikTok:https://www.tiktok.com/@satunavi_sapporo
Instagram:https://www.instagram.com/satunavi_sapporo/

得意な動画ジャンルはありますか?

再現性が高いという意味ではクイズ系の動画です。これはどのような企業が取り入れても比較的バズりやすいですね。企業の商品やサービスに絡めた業界ネタのクイズ動画もよく回りますし、ターゲットが北海道民なら業種問わず北海道クイズも展開できます。
「サツナビ」でも、北海道弁クイズ1本の動画で107万回再生を記録しています。みんなクイズが好きなようです。

24時間不眠で挑んだ、大型プロジェクトの舞台裏

今まで受けた仕事の中で印象に残っているものはありますか?

ある大型プロジェクトの直前に、プロモーション用の短尺動画を制作する仕事です。
ビジネスイベントで関係者の方とお話しする機会があり、その流れで「一緒にやろう」と声をかけていただきました。
ただ、正式な依頼が来たのは実施まで残りわずかのタイミング。しかも当時は案件が重なっていて、これまでで一番忙しい時期でした。
それでも「ここで結果を出せるかどうかが、今後につながる」と直感的に思いましたし、スケジュール的にも条件的にも、二度とない挑戦だと感じました。だからこそ、やると決めました。

かなりハードなスケジュールだったのではないでしょうか?

正直、相当ハードでした。ほかの案件も並行しながら、ほとんど休まずに移動と撮影、編集を繰り返す日々でした。
24時間近く睡眠を取らずに作業を続けて、なんとか公開当日に間に合わせることができました。
すると後日、視聴者のコメントを見て初めて気づいたことがありました。
動画の長さが、偶然にもプロジェクトにとって象徴的な数字になっていたんです。

それは偶然ですか?

完全に偶然です。でも「狙ってやったんでしょ?」と、多くの方がポジティブに受け取ってくれて。この仕事がきっかけになり、その後も継続して声をかけていただけるようになりました。
自分が作ったものを多くの人に見てもらい、「良かった」「面白かった」と反応をもらえる。それが、この仕事を続けていて一番やりがいを感じる瞬間です。例えば5万回再生されたら、それは東京ドーム満員のお客さんに届けているのと同じ。そう考えると本当にテンションが上がりましたね。

認知獲得から販売促進まで、ショート動画が担う二つの役割

ショート動画は、企業のビジネスの中でどのような位置づけになっているのでしょうか?

現在ショート動画はSNSの王道になっていて、「SNSをやる=ショート動画を作る」といえるような状況です。役割としては大きく二つあります。
一つは認知獲得やブランディング。ひたすらバズらせてフォロワーを集め、知ってもらうというもの。もう一つは購買行動の促進、つまりコンバージョンです。たとえ1回再生しかされなくても、その一人が商品を買ったり採用に応募したりすれば、販売や集客として非常に効果的といえます。
実際、自社でSNSを始めても「全然再生数が伸びない」と悩む企業さまはたくさんいらっしゃいます。そこが、僕たちのような運用代行者の出番になるのではないでしょうか。

自社メディア強化と採用特化で、次のステージへ

今後の展望を教えてください。

二つあります。一つ目は、自社メディア「サツナビ」をさらに伸ばしたい。会社として数万フォロワー規模のメディアを持っていれば、さまざまな事業展開ができます。自分たちで新事業を立ち上げたり、実績としてクライアントのSNS運用案件の獲得につなげたりしたいですね。
二つ目は、TikTokショップやTikTokライブコマースです。テレビショッピングのTikTok版のようなもので、ちょうど今伸びてきています。僕が顔を出して自社で展開するのか?クライアントの運用支援なのか?具体的にはこれからですが、そこにも関わっていきたいですね。

最後に、起業を考えている若い世代へメッセージをお願いします。

僕が言うのもおこがましいですが、「まずは1円でいいから、自分の力で稼いでみよう」と言いたいです。自分で案件を取って稼ぐのは本当に大変で、バイトでもらう給料とは全然違います。どうやって稼ぐかということに真剣に向き合うと、見える景色が変わっていきます。例えば動画編集のスキルを身につけて、自分で営業して案件を獲得する。そんな経験こそが、何よりもリアルで価値のある学びになると思います。

取材日:2025年12月9日 ライター:小山 佐知子

株式会社ショートムービー

  • 代表者名:米田 侑弘
  • 設立年月:2022年8月
  • 事業内容:SNS運用代行、TikTok運用代行、Instagram運用代行、ショート動画制作、SNSコンサルティング
  • 所在地:〒060-0061 北海道札幌市中央区南一条西16丁目1番地323 春野ビル3F
  • URL:https://shortmovie.co.jp/

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