“映像のチカラ”で企業を前へ。映画監督の感性でつくる、悩みに寄り添う映像制作

大阪
株式会社ワンダーストラック 代表取締役
Hisashi Sato
佐藤 央

映画制作で培った経験を生かし、新築分譲マンションのプロモーション映像などを手がけている大阪の株式会社ワンダーストラック。クライアントの夢や事業を力強く後押しするために、映像の企画から撮影、編集、そしてブランディングまでをすべて社内で担うなど、既存の映像制作にとらわれない事業を展開しています。今も映画監督としても活躍し続けている代表取締役・佐藤 央(さとう ひさし)さんに、映像作品が社会に与える可能性や事業への思いをお聞きしました。

映画に出会い、映画に賭けた20代。無名監督からプロへの転機

立ち上げまでのキャリアをお聞かせください。

大学進学を機に、地元・大阪から東京に移りました。映画に出会ったのも大学時代です。経済学部で学ぶかたわら、多くの映画を観るうちに「自分も作りたい」と思うようになりました。
当時は映画制作の仲間がおらず、また一般企業への就職も考えていなかったこともあり、大学院での映画研究を目指しました。しかし、東大や早稲田など志望校は狭き門。二度目の受験で行き詰まっていた時に出会ったのが「映画美学校」でした。感銘を受けた映画の監督が講師をしていたのです。それから2年間、映画美学校で映画制作を学びました。

大きな進路転換ですね。実際に映画を作り始めていかがでしたか?

映画監督の肩書きだけで仕事が舞い込むほど甘くはありません。アルバイトや派遣業で生計を立てながら、知人の紹介でいただく映画関係の仕事でやりくりしていました。

熱意を力に、映画づくりを実践されたのですね。

転機となったのは、2005年の映画『キャメラマン 玉井正夫』でした。映画美学校で制作した作品を評価してくださった、キャメラウーマン・芦澤明子さんが監督として声をかけてくれました。映画監督として初めてギャラを得た作品です。
その後、とある作品を制作するために、リスクを取って初めての借金もしつつ映画制作に取り組んでいく中で、冨永昌敬監督や、濱口竜介監督、三宅唱監督らと日々映画について語り合い、映画を制作する日々がしばらく続きました。
そして、2011年。映像の仕事が少しずつ増え始めた頃、東日本大震災が発生し、東京での仕事がほぼなくなってしまいました。そこで、苦渋の決断でしたが、大阪へ戻り一度生活を立て直す決断をしました。

大阪に移転後、どのように立て直しをされたのでしょうか?

東京で交流のあったプロデューサーから声をかけていただき、新築分譲マンションのプロモーション映像に、監督として携わりました。先方から「いわゆる“説明映像”にしたくない。面白いものを作りたい」と要望がありました。初めての経験ばかりでしたが、私自身“とりあえず船に乗る”主義。思い切って挑戦しました。これをきっかけに、次々と仕事がつながって、現在の事業の柱へと成長しました。

フリーでの活動から会社設立にいたったきっかけをお聞かせください。

フリーの監督として、企業映像の仕事を続けていく中で、次第に個人事業主の限界を感じるようになりました。営業力、作品の質、そして事業の拡大。そのすべてを一人で維持していく難しさです。
そこで、その時オフィスをシェアしていた1人会社を経営していた高校時代の友人に声をかけ、役員としてジョインすることにしました。それを機に、社名も株式会社イーストブローとし、映像制作事業部として事業化することにしました。事業は順調に拡大しましたが、コロナ禍をきっかけに体制の見直しをし、2021年に映像制作に特化した株式会社ワンダーストラックを設立しました。

映画監督の手腕が光る、ニーズに合わせた映像制作

現在の事業内容について教えてください。

企業映像の企画・構成から撮影、編集までをワンストップで対応し、ブランディングやプロモーション、販促、インナーブランディングなどの映像を幅広く手がけています。おかげさまで顧客数も50社を超え、提供するサービスもグラフィックツールやWebプロダクト、サイネージなど、幅を広げることで、よりお客さまにとって、最適なソリューションを提供できるように尽力しています。
そして、弊社の大きな特色は映画制作です。今年6月公開の映画『ぶぶ漬けどうどす』では、弊社として3本目となる製作委員会に参加しました。本作の冨永昌敬監督をはじめ、映画を通じて知り合った皆さまと引き続き仕事をさせていただいています。

御社の強みは何ですか?

監督とプロデューサーとして、全体の過程を把握できるからこそ、事業者の規模や目的に合わせた“ちょうどよいサイズ”でサービスを提案できる点です。事業者の思いや規模にあった高品質な映像づくりを実現しています。
とくに弊社が多く手がけている「新築分譲マンションのプロモーション映像」は、業界でも難易度が高いと呼ばれる分野のひとつで、実はこの映像制作を担える会社や監督は限られています。

なぜ、制作者が限られてしまうのでしょうか?

新築分譲マンションのプロモーション映像は、ブランドイメージ、立地価値や商品価値、資産価値など、非常に多くの要素を盛り込みつつ、5〜10分程度の映像に仕上げる必要があります。 情報量が多く、情報の質もさまざまなので表現方法のひき出しがないと難しいうえに、クライアントからの要求水準も高いので、制作を担える会社や監督が限られているのです 。

苦手に飛びこみ、掴んだ「ものづくりの面白さ」

監督としてチームでの映像制作を進めていくのはとても難しそうですね。

もともと一人で黙々と作業することが好きだったことや、監督という役割は「誰も頼らずに完璧にこなさなければいけない」という思い込みがあり、映画を作り始めた当初は仲間と協力して映像を作り上げる難しさを感じていました。
ただ映画美学校の卒業制作の際、現場スタッフとのコミュニケーションを怠ったうえに演出ばかりに夢中になってしまい、全体の現場管理をおろそかにしてしまったのです。次第に現場スタッフから不満が出てくるようになり、そこで、はっと気づきました。「これはいけない。自分がやりたかった映画作りじゃない」と。
そこで、“集団で意見を言い合いながら映像を作っていく”という自分の苦手に向き合うことを決意。突っ張った自分をやめて、「分からない」を伝えるようにしました。そう正直に伝えると、スタッフたちが次々にアイデアを出してくれるようになり、現場が自律的に動き始めました。

正直な気持ちで接したら、現場も変わり始めたのですね。

私も、スタッフの意見を積極的に受け入れました。自分のイメージと違っても、それでいい。すると、想像をはるかに超える作品が生まれました。それは、自分にとっても、スタッフにとっても、「本当にいいものができた」と思える瞬間でした。その光景に出会えたことがただ驚きで、胸が躍って、何よりもものづくりの面白さでした。この思いは今も変わらず根幹にあります。

「映像には人の世界を広げる力がある」。ワクワクとともに映像の可能性を届けたい

一緒に働くクリエイターに会社としてどのようなことを求めますか?

映像制作の技術があり、なおかつ挑戦を楽しめる人がいいですね。新しい発想で攻められる人と、業務をきっちり管理して守れる人。両方が必要だと考えています。会社としても、そのバランスを大切にしながら成長していきたいと思っています。

今後の展望について教えてください。

企業やお客さまが抱える課題を根本から解決し、成長を後押しできる会社を目指しています。多様化と忙しさで、ひとつの仕事にじっくり向き合う余裕がなくなっている時代だからこそ、私たちが思いや悩みに耳を傾け、ニーズに合った映像プロダクトをつくり続けたい。
そして、自社ブランドとしての映画製作にも、より力を入れていく予定です。
私自身、映画に心を動かされた経験がすべての原動力でした。映像には人の世界を広げる力がある。驚きや感動とともに、映像の可能性をこれからも届けていきたいと思っています。

取材日:2025年11月27日 ライター:大野 佳子

株式会社ワンダーストラック

  • 代表者名:佐藤 央
  • 設立年月:2021年4月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:映像プロダクト、Webプロダクト、Webマーケティング、サイネージの販売・設置、映画製作
  • 所在地: 〒540-0036 大阪府大阪市中央区船越町1-3-4 ツリーモントビル5階
  • URL:https://wonderstruck.co.jp/
  • お問い合わせ先:TEL 06-4397-3385 / FAX 06-4397-3386
  • お問い合わせ先:

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