「リフォーム産業が伸びる」という新聞の一行で引き込まれ、内装業界へ。18歳の決断から約25年、受注高100億円超の空間づくり
ワークスペースやクリニック、住宅を中心とした空間の設計デザイン・施工を展開している東京のユニオンテック株式会社。代表取締役社長の大川 祐介(おおかわ ゆうすけ)さんは、新聞で目にした「これからはリフォーム産業が伸びる」という記事に影響を受け、今から25年前、18歳のときに内装業界へ飛び込みました。多重下請け構造や人材不足といった業界課題にも向き合ってきた大川さんに、職人としての原点やコロナ禍での転換、求めるクリエイター像などを伺いました。
新聞で見た「リフォーム」の言葉がきっかけに
18歳で現在の会社の主力事業となっている内装業のお仕事に就いたそうですね。
静岡県伊東市で生まれて、中学卒業後に上京しました。最初は調理師学校に入ったものの1カ月で辞めてしまって、その後も不動産仲介会社などさまざまな職を転々としていました。
転機となったのは18歳で結婚後、義父から「君は社会を知らない」と言われて、新聞を読みはじめたことでした。その新聞の、数行ほどの小さい記事でしたが「これからはリフォーム産業が伸びる」という記事をみかけて、その「リフォーム」という言葉が自分の目には直感的に目に留まり、光って見えたんです。その当時は「リフォーム」の言葉が今ほど社会に浸透しておらず、目新しさに惹かれた部分もあります。そして、知人のツテをたどって内装会社を紹介してもらったことが、私にとっての原点でした。
内装業のお仕事をはじめてからはいかがでしたか?
就職したのは、プレハブ事務所、従業員5人の小さな会社でした。最初の1年間は掃除を任されてばかりで、道具にも触らせてもらえなかったんです。それが悔しかったので、現場でゴミとなる端材を持ち帰って、自宅の壁や床を壊して、端材を使って貼り直すという練習を毎日夜遅くまでやっていました。
実際の現場で先輩たちと同じ量をこなせるまで自主的に練習して、1年で先輩たちの実力に追いついたんです。ただ、同じ量をこなせても給料には16万円の差があって、理由を尋ねても「お前にできていないことがあるからだ。自分で考えろ」 とだけ言われました 。

そこからもまた、努力を重ねたのでしょうか?
先輩たちの仕事ぶりを観察して、理由を自分なりに探りましたね。当時、物事の手段と目的を分析して書き分けるノートを付けはじめたんです。なぜそうするのか?本質はどこにあるのかと、一つ一つ自分で掘り下げていくことで、仕事に対する理解や、自分自身の「価値」への解像度も少しずつ高まっていきました。 この習慣は今でも継続しています。
仕事を掘り下げて考えていくうちに、工事現場には“つくる側”だけでなく、その過程や完成後の空間に関わる多くの人が存在していることに気づいたんです。がむしゃらに作業の正確さやスピードだけを追うのではなく、誰のために、何を実現するのかを考えて初めて、取るべき手段が見えてくる。
この気づきをきっかけに、言われたことをこなす職人ではなく、空間を使う人の課題や目的を起点に考え、提案できる存在でありたいと思うようになりました。自分の価値は、手を動かすことではなく、「考え、提案すること」で高まっていくということを実感したんです。そうして、20歳になった2000年には、周りの応援もあり独立にいたりました。
以降、事業はどのように広がっていったのでしょうか?
最初は職人として現場に入りながら施工管理を中心としていましたが、徐々に設計、デザインディレクションへと事業を拡大していきました。リーマン・ショックによって経営が危うくなった時期もありましたが、徐々に顧客も、案件の規模も自然と広がっていきましたね。また、2016年にはIT領域にも事業を拡大したのですが、きっかけは多重下請け構造や人材不足といった建設業界の課題です。
同業の経営者と会っても「求人を募集しても人が来ない」「若手が定着しない」「元請けに買い叩かれてしまう」と嘆く声ばかりが聞こえてきて、業界の構造そのものに問題があると気づきました。そこでまず、発注者と建設企業や職人を直接つなぐ、次世代型の組合のようなオンラインプラットフォーム「CraftBank(クラフトバンク)」など、業界の課題解決に向けたプラットフォーム事業に関するプロダクトを十数種類立ち上げたんです。
空間を手がける内装事業はもちろん、会社として新たな軸ができたんですね。
はい。「空間事業✕IT事業」の2軸へ切り替わる転換期でした。IT事業への参入によって内装業とは異なる分野に長けた投資家との出会いが生まれ、別業種からの人材が集まってくるようになったんです。彼らとの関わりによって、新たなビジネスサイドの知識をより深く学ぶようになり、私自身も大きく成長しました。
コロナ禍を経てスペシャリスト育成へ方針転換
2021年、IT事業を分社化して空間事業に再び特化されたのはなぜでしょう?
コロナ禍での苦渋の決断でした。前年2020年はコロナで建設産業全体の動きが軒並みストップしてしまい、結果として空間事業における売上がほぼゼロに。2020年末には事業の在り方そのものを見直さなければならない局面に直面し、約1年半にわたって経営判断の難しさを突きつけられる時間が続きました。
空間事業とIT事業のどちらかをクローズしなければ会社の存続が難しいという選択に迫られましたが、やはりどちらも残す価値があると判断し、2021年にIT事業は「クラフトバンク株式会社」として分社の上、当時の社長に託し、私は空間事業の再生に全力を注ぎました。会社を分けることで、それぞれに合った資金調達を可能にしたんです。

ユニオンテックの空間事業は、どのような強みがあるのでしょうか?
ワークスペース、クリニック、ビルバリューアップや住宅など、幅広い空間を作るうえでそれぞれの分野のスペシャリストが揃っていることが強みですね。背景には当社の育成方針があり、メンバー一人一人が自身の所属する事業分野の対応に特化しているんです。
特定の分野に集中することで、早ければ1年、遅くとも3年以内にはその分野の特性を理解し、企画〜設計に必要な専門知識も深まるため、スペシャリストに成長します。一度スペシャリストになってしまえば、その後ほかの分野へ移籍しても応用が効きますし、仮にキャリアの選択肢が広がったとしても、業界の中で通用する専門性を身につけられると考えています。これはIT事業への参入を経て獲得した経験則だったんですが、育成方針を見直した2021年以降、事業数は4倍になり、2025年12月には受注高が過去最高の100億円を達成しました。
提案力と調整力を持つ人に挑戦の機会を
現在の事業内容について、改めて教えてください。
現在はグループ経営体制へ本格移行しており、8つの事業と8つのグループ会社を擁しています。すべて空間づくりに関連していますが、ワークスペース事業やクリニック事業、顧客の不動産価値を高めるビルバリューアップ事業、そして新しいものですとラグジュアリー住宅事業。これらの企画から設計デザイン、施工までを、2000社を超える協力企業とも連携してワンストップで提供しています。また、建設業界向けに建築物や空間を立体的に表現する建築CGパースづくりを助ける「Pers GPT」や、内装業や建設業に特化した案件管理ツール「Craft Board」も提供しています。グループ会社においては、不動産仲介、地方の空き家活用、家具の輸入・製造、アート販売、そしてPM支援など、幅広く多くのチャレンジを進めています。

仕事の内容については、事業部ごとに多少の差はありますが基本的には営業、プロデューサー、設計デザイナー、施工管理といった役割があり、全員が一丸となり顧客の事業成長や資産価値の向上を叶えます。プロデューサーやデザイナーが丁寧なリサーチとヒアリングを通じて、顧客の思い、目標や描く姿を深掘りしていくプロセスが特徴です。依頼をそのまま聞くのではなく、提案と対話を繰り返し、潜在的な課題を特定します。「親身になってくれた」というお客様の声が一番多いですね。
先ほども少しご紹介しましたが、いずれの事業でも入社後は最長3年を目安に、単一の事業に特化した仕事のみを任せる仕組みをとっています。例えば、ワークスペースとクリニックでは空間の用途や要素が全く違いますので、もし両方を任せられるとなると、知識がどっちつかずになってしまうのは想像できると思います。早ければ1年でその分野を一人で任せられるレベルに達するケースも少なくなく、優秀なスペシャリストが揃っています。入社当初は、目の前の業務をこなすことで精一杯だったメンバーが、数年後には「この空間が、誰のどんな価値につながるのか」を自分の言葉で語れるようになる。その視点の変化こそが、私たちが考える成長です。
【オフィスデザイン実績】株式会社ギークリー さま
https://service.union-tec.jp/office/project/detail/170
【クリニックデザイン実績】La villa Hiro-o さま
https://clinic.union-tec.jp/clinic/la-villa-hiro-o
【クリニックデザイン実績】シオンビューティークリニック新宿 さま
https://clinic.union-tec.jp/clinic/shion-beauty-clinic-shinjuku
【店舗デザイン実績】株式会社わかさ生活 さま カフェ&ストア
https://service.union-tec.jp/office/project/detail/172
※上記の写真はすべて2024〜2025年竣工実績
理想とされる人材像、クリエイター像はありますか?
私たちが求めているのは、単にデザインだけを担うのではなく、プロジェクト全体を見渡しながらディレクションできる、いわゆる「デザインディレクター」です。
例えば、空間づくりにおいて顧客からのご依頼を受けてアイデアを形にする場合、作業系のプロセスは近い将来に生成AIが担う領域が増えていくと考えています。私見ですが、2030年頃にそうなったとき活躍できるのは、提案力が高く、顧客をはじめ、チームメンバーや外部のパートナーともスムーズに連携できる、プロジェクト全体をひとまとめにディレクションしていく調整力を持つ人だと思っています。

そうした方々と一緒に働いてみたい、ということですね。
そうですね。そうした人たちに、さまざまな分野や役割に挑戦できる土壌がある弊社で自由に活躍していただくのが理想です。決められた正解をなぞる仕事がしたい人や、与えられた範囲の中だけで完結したい人にとっては、簡単な環境ではないかもしれません。 一方で、自分で考え、周囲を巻き込みながら価値をつくっていきたい人には、大きなチャンスがあると思います。現在当社では、 “101人の事業責任者を育成する”という中期の成長戦略「UT101」を推進しており、実際に入社してすぐ、新規事業の責任者に抜擢した実例もあります。今ある空間事業やIT事業以外にも裾野を広げる計画が動いていますので、 新しい力をもたらしてくれる仲間との出会いを楽しみにしています 。
取材日:2025年12月4日 ライターカネコ シュウヘイ
ユニオンテック株式会社
- 代表者名:大川 祐介
- 設立年月:2000年6月
- 資本金:1億円
- 事業内容:オフィス・商空間・レジデンスの企画・設計・施工、CGパース・CG制作、オフィス家具メーカーの施工・BPO
- 所在地:
【本社】〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-25-12 道玄坂通 4階
【関西支店】〒550-0004 大阪府大阪市西区靱本町1-13-4 金丸ビル2階 - URL:https://www.union-tec.jp/
- お問い合わせ先:公式サイト「お問い合わせ」フォームより






