アニメ2025.11.26

アニメ業界未経験からの挑戦。起業を決意するまで。

東京
REC Animation Factory株式会社 代表取締役
Takeru Izaki
猪﨑 武尊

アニメの制作、原画、動画、仕上げ、撮影(線撮、本撮)業務を行なう東京のREC Animation Factory株式会社。アニメとは無縁だった代表取締役の猪﨑 武尊(いざき たける)さんは、コロナ禍を機にアニメに興味を持ち始めました。様々な技術を持つ多くの仲間と出会い、業界未経験ながらも会社を立ち上げました。企業の成り立ちから取り組み、さらに今後の展望について伺う中で、アニメ業界の次の世代を担う若き経営者から、業界全体の課題やそこに挑む熱い思いについてお話を伺いました。

どこで働くかより、誰と働くか。2人が起業を決意するまで

御社を設立したきっかけを教えてください。

私は四年制の大学を卒業したのち一般企業に就職しました。その会社では店舗運営、営業、人事など様々なセクションで様々な経験をさせてもらいました。このような経験の中で自分自身で会社を経営したらどこまで出来るのだろうかと、少しずつ起業への夢が大きくなりました。
入社後にコロナが流行り始め、休日に外出する機会が減ったため自宅でアニメや映画を見ることが多くなり、次第にアニメへの興味が大きくなっていきました。子供の時に何気なく見ていたアニメを見返したり、流行りのアニメを見ていく中で、技術の発展に感心したのを覚えています。自分の中でアニメーションへの興味が大きくなっていき、現取締役の間正や松井、ここでは言い切れないほどのたくさんの人々との出会いがあり、この人たちと会社を作りたい、という思いが強くなっていきました。そんな中、リモートでの業務が一般的に普及し始めました。リモートでの立ち上げであれば、すぐにでも動き始めることができるのではないかと考え、REC Animation Factoryを設立しました。

いつか会社を設立したい、起業したいというような思いはお持ちだったのでしょうか?

先ほどお話しした通り、いつかは起業をしたいと思っていました。ただ、私はアニメ制作会社で働いた経験やアニメを作る知識が無かったので、まさかアニメの会社を設立出来るとは思っていませんでした。設立当時はアニメのことに関して一から十まで聞いていた思い出があります。
私を含めた弊社の社員の多くは作品を作りたいという気持ちが強く、様々な分野に特化したプロがいます。そんな仲間たちがアニメーション制作に一団となって取り組んでいる姿を見ると、ゼロからの起業ではありましたが、これから先、どんな面白いものを彼らと一緒になって作り出せるのか私自身とても楽しみです。
設立当初から現在まで周りの人に恵まれて、様々なことを学んだり、教えてもらいながらの3年間でした。これからも誰一人欠けることなく会社が成長できるよう、より良い組織や新しいシステムを考えていこうと思います。

国内有数の線撮専門会社として、台頭を果たすことに成功

現在の事業内容を教えてください。

弊社では設立当時の2022年から線撮業務をメインに行ってきました。
線撮業務はリモートで作業をしている従業員が多い点が特徴で、これは他社様と比較しても大きな強みとなっています。
コロナが流行する前は、東京に来なければアニメ制作に携わるのが難しいという考えが一般的でした。 しかし、線撮業務においては撮影ソフトを操作できる環境があれば出来ますし、実際私も設立当初は自宅で作業を行っていました。実体験から得た確信をもとにリモートでの業務を推進したことがきっかけとなり、現在の体制に至っています。
求人募集をかけた初年度から多くの方に応募いただいており、約9割は地方在住の方です。採用活動、教育、業務などのすべてをリモートで行っているので、アニメ業界で働きたいと思っている地方在住の方にとっては、良いシステム作りができているのではないかと思います。皆さんアニメが好きで、どんな形であれアニメの仕事をしたいと仰っていますし、リモートワークを希望する方はかなり増えているので、今後もアニメ制作に携わる人材をさらに増やしていきたいです。

線撮は一般的に海外に出してしまうケースもありますが、弊社は国内で作業しているのでクオリティーの面を高く評価していただいております。業界全体で言えば、線撮ひとつ取ってもクオリティーに差があるのも事実です。国内作業にこだわるには教育の場を整えるのがとても大事なことだと考えております。新人や経験者に関わらず弊社の教育システムを基に学んでいただき、一定のクオリティーが保証できたところで実務に入ってもらうようにしています。私を含めた役員全員が現場での作業経験があるため、未経験の方でも理解しやすいようなシステム作りを心がけています。まだまだ技術は進歩していくと思っているので、どの技術が進歩して変化しても、柔軟に対応出来るかが重要だと思います。何を教えるかよりもどのように教えるかを追及することで、次世代の教育に繋いでいけるのではないかと思います。
また、線撮業務をメインに進めてきた3年間でしたが、線撮を始めた当初から本撮部の開設を見据え準備してきました。その結果、2024年から本撮業務もスタートし、今では4作品ほどクレジットしていただいております。グロス請けを始めたのもこの頃からで、撮影だけではなくアニメーション制作会社として活動しております。

手がけているのはどんな作品でしょうか。

現在弊社が元請けで制作している作品はありませんが、撮影や制作でお手伝いしている作品は多くあります。もともと始めた線撮専門の会社というのが国内にあまりなかったので、多くの作品のお手伝いをする機会をいただいているのだと感じています。有名な作品に携わりたいからとアクションを起こしたわけでなく、いつどんな依頼が来ても対応できる準備は怠らないようにしていました。
準備こそが弊社の強みであり、次に挑戦するプロジェクトにもつながると思っています。
今後は弊社のオリジナルIPを制作予定ですので、活動の幅はさらに広がっていく見込みです。
国内だけでなく、世界中の方たちにも楽しんでもらえるような作品を考えておりますので、ぜひ楽しみにしていてください。

次世代の育成を視野に、次の挑戦は世界へ。

今後、会社として強化していきたいのはどんなところですか?

人材の育成に力を入れております。
まずは「報連相がしっかりできる」、「納期を守れる」など社会人として当たり前のことを当たり前にできるような人材を育てていきたいです。他業種を経験してきた私からすると、アニメ業界は仲が良く忙しいながらも和気藹々とした雰囲気を感じています。そこはとてもいい点だと思いますが、きちっとした方がお互い仕事がしやすいのではないかと思う場面もあります。信頼を大切に出来れば自ずと行動は変わってくるはずですので、まず社会人として一人前と言われる人材を教育できればと思います。
ただ、それだけでは終われないのがアニメ業界の面白いところだと思うのですが、実力主義な部分もあるのでクリエイティブな要素ももちろん大切です。先人たちの知識や技術をどうやって次の世代に繋いでいくか。アニメという技術を後世までしっかりと継承できるよう、会社として力を入れていこうと思っています。

これからどんな人たちと一緒に働きたいですか?

先ほどもお話ししましたが、国内だけでなく世界中の方々にも楽しんでもらえるオリジナル作品を作っていく予定です。私が思う名作は、長く続いていて世代を超えて愛されるような作品です。子供が見ている時に大人も一緒に見れる、懐かしんで楽しめる、そんな作品を世界中に送り出せたらと思います。
超大作や傑作を作ることは本当に難しいことだと思います。ただ、視聴者に飽きられずに作品を作り続けることもまた高いハードルを感じるので、長く愛してもらえるようなそんな作品作りに挑戦していきたいです。
私自身アニメを作れる技術があったわけではありませんが、会社を設立しアニメの制作に携わっています。アニメーターのように絵を描くことができなくても、映像編集ソフトに詳しくなくても、挑戦することで必ず人生は変えられると思います。私もそうでした。
私たちが挑戦していくことに興味を持って、一緒に楽しんでくれる方と出会えればいいなと思っています。

 

REC Animation Factory 株式会社

  • 代表者名:猪﨑 武尊
  • 設立年月:2022年4月
  • 事業内容:アニメーション制作
  • 所在地:〒185-0012 東京都国分寺市本町2-23-3 富澤ビル2F
  • URL:https://www.rec-animation-factory.com/
  • お問い合わせ先:042-312-2830

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